結婚式の写真
我が家のリビングのカウンターの上には結婚式の写真が飾られている。
九年前に北海道で二人きりで挙げたときの写真だ。
今より若い、私と夫がケーキ入刀をしながら微笑んで写っている。
当時、結婚式を挙げるにあたってどうするか話し合いが難航した。
私が鹿児島、夫は大阪でお互い故郷は遠方。
知り合ったのは愛知。
加えて私はそのとき、ブラック企業に勤めており休みはおろか、残業が多く結婚式の話し合いもまったくすすまない状態。
ついには夫のご両親がしびれをきらして何度も式はどうするのか聞かれて私と夫は参っていた。
夫と話し合い、とりあえず私は仕事を辞め(辞めるときもなかなか辞められず大変だった)二人で結婚式を挙げることになった。
夫のご両親には申し訳なかったが、新婚旅行も兼ねての結婚式を挙げることに納得してくれた。
二人での結婚式は式場のチャペルで式を挙げて、その後写真撮影だけという簡素なものだったが、数人のスタッフさん達に見守られながらのアットホームな雰囲気だった。
スタッフと牧師さんに見守られながら指輪交換をするのはドキドキしたし、感動した。
二人だけだったからか写真撮影はリラックスして臨めた。
着ることがないだろうと思っていたドレスを着ることができたのも嬉しかった。
後から夫は
「二人で挙げることができてよかったね」
と言ってくれたことに私はホッとした。
友達が多い夫は、きっと式と披露宴は地元の大阪で挙げたかったただろうな、と思って私は少しモヤモヤしていたのだ。
なかなか結婚式の話し合いが進まないことで、私が申し訳なさから結婚式を辞めようと言い出したときも夫は「あんたのドレス姿をみたい」と言って頑張ってくれた。
私にはもったいないくらい素敵な人。
写真を見る度にあのときの思い出が蘇ってちょっとだけ、ほんのちょっとだけキュンとする。
息子はこの写真をみては
「いーなー。ぼくもケーキ食べたーい」
と言う。(そっち?!)
最近は「おおきくなったらママと結婚する」と言ってくれるようになった。
夫が息子に「どこで結婚式するの?」とたずねると
「北海道!!」
と言うようになってしまった。