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2024年度国家総合職(教養区分)受験体験記(基礎能力試験・総合論文試験・企画提案試験・政策課題討議試験・人物試験)

このnoteの目的:
(記憶が新しいうちに)自身の受験の振り返りと、今後受験する人たちの参考になれば

このノートでは、私が国家総合職教養区分を受験した際の感想を示す。
現場の雰囲気や実際の出題内容、面接で何を聞かれたか、一連の受験を通して思ったことなどを時系列順に書いていく。今後に受験する人たちの参考になれば幸いである。


受験しようと思ったきっかけ

令和6年の8月5日、日経平均が大暴落したことを覚えているだろうか?

“8月5日の日経平均株価は急落し、前週末比4,451円28銭(12.4%)安の31,458円42銭で取引を終えました。下落幅は1987年10月20日の3,836円48銭(米国株の急落が世界に飛び火したブラックマンデー翌日)を超え、過去最大となりました。”
(「三井住友DSアセットマネジメント:【市川レポート】日経平均株価の歴史的な急落と急騰~一体何が起きており今後どうなるのか 」より引用)

この時私は22歳、地方の大学院に通う修士1年生であった。博士課程への進学は考えていないので、就活生である。私はここから一気に就職氷河期が再来するのではないかと戦々恐々していた。

人生で新卒就活は通常一度しか行えないものである。そんな時期に就職氷河期が重なったら最悪だ。新卒カードが白紙になってしまう危険性すらある。理系にだけ許される(?)院進を選択することでの延命措置も使い切ってしまった。

なんとしてでも私は新卒の就活を完遂しなければならない。そのためには持駒が1枚でも多くあった方が良い。そう考えた。私はその日の夜に国家総合職試験を申し込んだのであった。

よく言われるように、公務員は不況に強く好況時に弱い。すなわちこの1枚の持ち駒は1枚以上の価値があるでしょう。(ビリミリオン風)
両取りが確定する桂馬、割り打ちが確定する銀のようなものだ。

私はTwitter(エックス)廃人なのだが、日々財務省を始めとする官僚が叩かれているのを見て正直公務員にはなりたくないと思っていた。親戚の集まりとかで「財務省で官僚やってます~」なんて言ったらヤジられそうである。だがにっちもさっちも言ってられない。民間就活が忙しかったため試験対策をする暇も気力もなかったが、なんとか前日の夜に試験概要とサンプル問題をチラ見し、眠りに落ちた。

第一次試験

第一次試験日は9月29日だった。今メールを見て確認したから間違いない。私の会場は札幌市だったので、政府系の官庁が密集している札幌駅の南側のエリアに足を運んだ。

余談だが、公務員試験はめちゃくちゃ時間に厳しい。1分でも遅れたら受験ができない。遅刻癖のある私はそれを重々承知していたので、死ぬ気で起きて頑張って現場に向かった。

一次試験は知能分野と知識分野の問題、そして総合論文試験(?)みたいなのがある。これら三つの試験と企画提案試験は問題が公開されているので、ぜひチラっと見てみてほしい。リンクが切れてたら「教養区分 試験問題」
とかでググれば出てくるはずである。以下ざっと説明する。

基礎能力Ⅰ(知能分野)

知能分野は、現代文・英語長文の読解と数学パズルみたいなやつだ。24題を2時間で解く。1題あたり5分だ。ある程度頭が良いか、頭が良くなくても市販の公務員用の問題集をやり込めば傾向が掴めるのではないだろうか。知能という言葉に騙されてはいけない。ボーダーも近年は低下傾向にあると聞いており、意外と対策可能な部分だと思っている。知能分野の方が知識分野より配点が大きいと考えられ、また知識分野は運ゲーになりがちである。ここで稼げる分だけ稼ぎたい。

知能分野の一問。現代文と英語の読解も出題される。

基礎能力Ⅱ(知識分野)

知識分野は、雑学問題がいっぱい出る。30題で1時間半だ。すなわち1問あたり3分である。いろんな分野の知識を広く浅く吸収してきた人が有利だろう。私はクイズ研究会に所属していたこともあり、そこまで難しさを感じなかった。

公民分野?の1問。数学理科地歴公民時事など何でも。

総合論文試験

総合論文試験は要は小論文だ。3つほど長文が渡されて、それらの長文の要約と「行政官はどのような点に注意して政策を進めていくべきか、あなたの考えを述べなさい。」という問題に対し記述する。回答時間は4時間だ。余裕だと思ってたら意外と時間が足らなかった。配点としてはそこそこ大きいらしい。まあよくわからないが、一次試験を突破すれば6割位の人は最終合格に至ると聞いていたので、気軽に受けた。

英語長文も出るよん

何とかギリギリ一次試験は合格し、二次試験を受けに東京に行くことになった。
勘弁してくれ。二次試験も札幌で受けれるようにしてくれ。地方への差別に他ならない。“国家“公務員の試験なのだから、地方出身者に一方的に不利益を背負わせる構図はやめて欲しい。交通費か宿泊費のどっちか位は出してくれ。受験料が無料なのは嬉しいけれど。

というかそもそも教養区分という試験は何なんだ? 地の学力が高い(?)が専門性を担保されていない学生(教養区分合格者)が、何らかの専門性を担保されている学生(春試験合格者)より官庁訪問で優遇されるのは、国を挙げての大学教育の否定ではないか。まあ実際には両方のタイプをバランス良く採用したいということなのだろうが。

まあいいだろう。文句を言っていても始まらない。サンクコストも鑑み私は渋々東京へ向かった。

第二次試験

第二次試験は霞ヶ関である。私は人事院本院で試験を受けた。試験は2日間で、1日目が企画提案試験(簡単なケース面接みたいなやつ)、2日目が政策課題討議試験(グループディスカッション)及び人物試験(事前に提出した面接カードを見ながら行われる面接)である。どちらも午前9時開始で、遅刻は厳禁である。何とか頑張って時間ギリギリに着いた。

企画提案試験

企画提案試験の内容としては、「高齢化社会を迎えるにあたりあなたは行政官としてどんな政策を提案しますか?」みたいなやつだった。これに関しても参考までに設問の写真を載せておこう。

1時間半の試験
参考資料。こんな感じのが10ページぐらいある。

形式としては、1時間半の小論文をやって、それをもとに20-25分くらい2人の面接官と討論する、という物だった。要はお気持ち表明の言語化と簡単なケース面接の複合だろう。

ケース面接を知らない人は以下の資料を読んでおくといいかもしれない。
このアクセンチュアの資料は当然ながら企画提案試験用に書かれたものではないので、抜けてる視点を拾う程度に参考にしよう。

まずは小論文だ。高齢化は今後ますます深刻な問題になっていくと考えられるので、来年以降も出題される可能性は極めて高い。先程も述べたが私はTwitterが大好きなので、日々Twitterに流れてくる重い社会保険料や高齢者世代への悪口を飽きるほど聞いていた。従って、正直書くことには困らなかった。

例えば「少子高齢化が進んでいるので、介護は今後贅沢品になっていくと考えられる。介護を受ける高齢者の数はほとんど変化しない一方で、少子化の影響により介護の担い手はどんどん減っている。より少ない人数で介護を回していくためには、RPAの推進や介護施設の集約によるノウハウの共有や経営資本の改善が重要である」みたいなことをそれっぽく書いていく。

企画提案試験のテーマは参考資料とともに第二次試験日より前に発表されるので、内容に自信がない人はそこら辺の知識をいっぱい吸収しておこう。
例えば、高齢者福祉に関しては以下のようなツイートを見てセルフ洗脳しておくと対応しやすくなるだろう。

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