山を舐めるな
RTAを知っていますか?
いやリアルタイムアタックじゃなくて
リアル“登山”アタック
のほうです。
ということでRTAのオマージュを登山でやろうぜ的なノリのもとで発生した文化ですね。
文化なので当然いろいろ細分化されたり新しく2次発生したりするもので、MBSP兄貴はRTAとミリシタを組み合わせたミリシタRTAという謎の文化を創出している。
ミリシタRTAは基本的なRTAを踏襲しつつ山頂でアイドルマスターミリオンライブシアターデイズをプレイする行いであり、その時々によって「フルコンボをしなければならない」などのレギュレーションが追加される。
リアル登山アタックの存在自体最近知ったのだが、RTA界隈特有のテンプレートとでも言うべきものがあって、動画中に「私もやったんだからさ?」等の言葉を挟み、動画を視聴したニキネキをRTA走者にさせ、RTA走者もまたその言葉(これは“呪い”と呼ばれている)のせいでRTAすることになったと発言するという一連のネタがテンプレートとして用意されている。
また、RTAが走者自体が少ないという事情、再走が難しいという事情、そもそも山が被らないといった事情が被り、明らかにRTAの履歴がない山のRTAに際して、既存のレギュレーションが「なぜか」なかったと発言するテンプレートも存在している(この際、レギュレーションを調べる際に使用した参考文献が明らかにリアル登山アタックのレギュレーションを調べるのに相応しくない文献を用いているという小ネタもある)。
そんなRTA界隈に広がる独特の空気感、また、ゲームを中心に発展した本来のRTAと登山という対極に位置するアウトドアの融合という異質を面白がって、昨日、noteを書き終わった後に長いこと動画を見ていた。
そんなこんなでわたしがRTA走者願望を抱くのに時間はかからず、わずか1日でRTA走者になることを決意した。
とは言っても登山自体未経験なわたしがすぐさま登山ができるわけもなく、登山の知識もなにもないため、諦めようかと思ったが、無理やり決行した。
標的は比較的近場にある標高278mの高尾山にした。理由は278mと低山であることや、登山難易度も低いという評価を散見したからだ。また、既に高尾山のRTAに挑戦している先駆者兄貴の動画があったので、参考にすることができた。
とりあえず高尾山の登山口まで歩いた。この時点で6.5km歩いた。まじで電車使えって感じだけどまぁ6kmくらいいいかと楽観的に歩いた。しかし、今日は気温が33℃、帽子も被らずタオルも用意していなかったためこの時点でもう山登った?ってくらい疲弊していた。
この時点でわかると思うが
わたしは登山を完全に舐め切っていた
・気温33℃なのに帽子タオルなし
・虫除けスプレーや制汗剤もなし
・そもそも普段着
・靴もローファー
・ビデオカメラ持ってないので常に片手にiPhoneをもって録画
と、完全に手ぶらで登山した。
いくら高尾山が低山といってもこれはさすがに舐めすぎだとわかりそうなもんだが、わからなかった。ちょっとぱーっといってすぐ帰ってこれるくらいの気持ちでいた。
標高278mだから3分くらいで終わるな!くらいに思ってた
そんな頭お花畑のRTA、はーじまーるよー
とりあえず登山口前にある「鐸比古鐸比賣神社(ぬでひこぬべひめじんじゃ)」に向かった。ぬでひこときくともう( **՞ةڼ◔ )ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョしか思い出さないんだけど誰からも同意は得られていない。同意をくれ。
道中
という名の店を見つけた。風野灯織さんが真乃とセイク(酒)に助けを求めてたらめちゃくちゃ嫌だな。
6.5km走破した後には( ՞ةڼ◔ )ヌベヂョンヌゾジョンベルミッティスモゲロンボョ神社が見えた。
先駆者兄貴の動画ではこの神社から左に進んでいくと登山口(つまりはタイム計測開始地点)があるようだったので、そこまで向かった。
道中地図があったので間違いがないように何度も確認した。先駆者兄貴は「くつろぎの道」を選択していたのでわたしも習ってそうした。
この時わたしの思考は完全に「くつろぎの道はきぼうの道の右隣」に支配されている。
少しあるくと「きぼうの道」の入り口と思わしき看板を見つけた。ははーん「くつろぎの道」は「きぼうの道」の右隣なのでここは入るべきではないな。と判断してここをスルーし、より右へ歩いて行った。
さすがに気づく
これから山に登ろうとしているにも関わらず風景が池とマンションなわけがない。
これはどう考えても道を間違えた。そう思い直し先駆者兄貴の動画を見返すとどうやらさっきの「きぼうの道」の入り口で正しかったようだった。というかよくみたら地図にもそう書いてた。
そうだ、僕は重度の方向音痴だ。体が回転するとさっきまで頭の中にあった地図が全て消える。地図から現在地を割り出すことにひどく難儀する。
結果として、まだ登山口にたどり着いてすらいないのに再走を余儀なくされることとなった。
気を取り直して先程の地点へと戻った。ここまでで既に33℃の中7km以上歩いているので相当に疲れていた。はっきり言って帰りたかった。なんで山頂でミリシタしないといけないのか意味がわからない。なんで?
人生初の登山はかなり過酷だった。登ること自体はそこまで苦ではなかったが照りつける日差しに容赦なく体力が奪われていった。
登山開始から15分、わかりにくい写真だが缶に石を詰め込んだだけの段差が設けられており「あ、マジでこのレベルなんだ」って思った。
今回の登山で間違いなく一番の苦痛だったのは虫だ。歩けば何をしなくとも手に無数の虫がぶつかるのがわかる。耳元では常に虫の羽音が聞こえて意識しないことができない。長袖長ズボンだったのであまり虫に刺されるようなことはなかったが確実に虫はわたしのメンタルを削ってきた。
登山開始から45分、車道に出た。嫌な予感がして振り返ると。
「高尾山山頂へ」という文字の横に今来た方向に矢印が立っている。
もうはっきりいって帰りたかった。吐くほどきつかった。ヒッチハイクして帰りたかったが、山頂でミリシタをプレイするためだけに山へと戻った。全ては山頂でミリシタをプレイするため。二度目の戻し作業、この時点でわたしはRTAに挑戦したことをかなり後悔した。
どうやらここで「いにしえの道」を選択しなかったことが間違いだったらしい。やはり古のルールは守らなければならない。レベル5以上の通常モンスター特殊召喚できるし。
「いにしえの道」は今回の高尾山RTAの中で確実に最難関の箇所であった。
虫の量が桁違いだった。蚊の大群の中に身を放り投げられたかのような感覚だった。また蜘蛛の巣の量が尋常でなかった。ペットボトルを叩きつけ、蜘蛛の巣を破壊しながら進んだ。危険だとはわかっていたが、早くこの場から解放されたすぎて道を駆け抜けた。
この頃持ってきていた水分が底を尽きた。ちなみに水分とはスコール(マンゴー味)1本である。マジで舐めすぎである。
登山開始から1時間以上が経過した。無我夢中で走っていると鳥居がみえた。なにも根拠はなかったが本能的に終わりが近いことを悟り、日差し、脱水、虫、脚の疲れの全てに目を瞑り、突き進んだ。頭の中は山頂で「断崖絶壁チュパカブラ」をプレイすることでいっぱいいっぱいだった。
「マジで…!?」と思った
ロープだ、ここにきてロープ。悪い冗談だろう。ここにきてのロープ。アスレチック施設かなにかに迷い込んだのかと思ったがそこは確かに山だった。
わたしは左手でのiPhoneによる録画を維持しつつ右手でロープを手繰り寄せ登った。
「ほんまに?」と叫んだがほんまだった。
ほんまに小さな梯子がかかっていた。ここら辺からもう疑うことをやめた。大自然と一体になり、大自然の全てを、あるがままに受け入れようと思った。梯子やロープは人工物だけど。
ダメ押しと言わんばかりによく滑る足場にロープが設置されていた。もうあまりにも疲れすぎて、はやく終わりにしたすぎて、録画のことも気にせず一心不乱に登った。俺自身が、チュパカブラとなった。
頭の中で盛大に「山頂晴れて(平沢進)」が流れた。
正直にいうとここが山頂であるかどうか自信がなかったのだが通りすがりのおじさんが山頂っていってたので山頂だった。通りすがりのおじさんはこの世で最も正しい。
景色を楽しむ前に「はやく帰りたい」と「帰りがだるい」と「水を飲みたい」という感情しかなかった。しかしわたしにはまだ1つ大役が残っている。ミリシタのプレイだ。このためにここまできたのだから。
天海春香担当なので当然天海春香でチュパカブラをフルコンした。
しばらく山頂に立ち尽くしていると、あることに気づいた。
「あれ?これアイカツ!178話じゃね?」
アイカツ!178話とえば言わずと知れたアニメアイカツ!の最終回だ。最後、いちごとあかりが崖登りをするかなり大切なシーンがあるのだが、
これ完全に一致じゃん!
だからなんだよ
まとめ
・山に登るならまじで虫対策をしろ、両耳を覆え
・暑い日は避けろ、日照りで死ぬ
・飲料は多めに持っていけ、頭の中に水のテーマが流れ出すぞ
・山を舐めるな
今回の高尾山RTAは後々動画にするのでみんな見てくれよな!もう二度とやりたくないです。
でもみんなはRTAしよう?
わ た し も や っ た ん だ か ら さ ?
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