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『金剛番長』にはサンデーなのにジャンプの全部がある‼︎
鈴木央のサンデー連載作品『金剛番長』を読みました。ジャンプでした。
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■作品概要、知ったことか‼︎‼︎
作品名:金剛番長
作者:鈴木央
掲載誌:週刊少年サンデー
発表期間:2007年から2010年
巻数:全12巻
個人的な点数:73点
■あらスジは通したぜ!
私立雷鳴高校に転校してきた金剛晄は曲がったことが大嫌いな番長気質の大漢。生徒いびりを生きがいにする陰険生活指導教員を「あんたにも、家族がいるんだろう?」と鉄骨の落下から助け改心させ、女の子が描いた絵を破ったからという理由で単身、ヤクザを解体しに行く。まさに番長の中の番長。そんな金剛番長の元には次々に刺客が送られてくる。全ては「日本を再生する新たな指導者を決めるため、23区に配置された番長でデスマッチを行う」ことを決定した日本政府の「23区計画」によるものだった。金剛は己のスジを通すため、「23区計画」を打ち砕くことを決意する。
■『金剛番長』にはジャンプの全部がある!
ジャンプ三大原則といえば「友情・努力・勝利」であり、これはもはや一般常識といって差し支えないが、物語を「友情・努力・勝利」に導くためのお決まりの展開が金剛番長には全て詰まっている。
ということで、金剛番長にあるものを1つずつ見ていこうと思う。
①『金剛番長』には「勧善懲悪」がある!!
「あらすじ」で紹介したように、金剛番長には弱者を救い強者を挫く、そして罪を憎んで人を憎まずの勧善懲悪の精神がある。たとえ相手が誰であろうと殺しを好まず、しかし敬意をもって全力で戦う。そんな彼が本気で怒るその時とは、まさしく仲間を傷つけられた時なのだ。
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まぁこれくらいなら他の漫画にも全然あるしバトル漫画に限ったことでもないね。次行こ次。
②『金剛番長』には敵を倒すにしたがって仲間が増えていくやつがある!!
たった1人から始まった戦いが敵を倒すにしたがい、倒した相手が仲間になっていつしかかけがえのない存在になっていくやつが金剛番長にはある。
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これは必須でしょ。敵の光堕ちはジャンプには必須でしょ。キャラクターデザインこそかなり個性的ではあるが、主人公の漢気に触れて、心を改め、運命を共にする覚悟を決める展開は、ジャンプバトル漫画の鉄則である。
③『金剛番長』には冒頭に出てきたモブの雑魚敵が後々になって主人公のために立ち上がるやつがある!!
これありがて〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!
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冒頭で出てくるただ主人公の強さを描写するためだけに悪事を働きやられる雑魚敵が
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たとえ敵わないと分かっていても叩き込まれた『信念』を貫くために立ち上がる展開が嫌いなオタクなんているわけないんだよな〜〜〜〜!!!!!
これ、モブが序盤で卑劣なら卑劣であるほど光堕ちのリバウンドがデカくなってマジで好き。全部の漫画でこれやってほしい。
④『金剛番長』には体躯の小さい女の子が一番怪力なやつがある!!
これ好き
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正義感が強いのに論理的な思考ができないから独善的なやり方で正義の実行をしてしまう小柄な女の子を嫌いなオタクいる?嫌い?じゃあもう読まなくていいよおわりおわり。
こういう子が後々ヘテロ落ちさせられると萎えるけど『金剛番長』においてはそのようなことはないので安心して読むことができる。安心して拳ちゃんをすころう。
⑤『金剛番長』には幼な子のためにダークヒーローにならざるを得なかった男との確執がある!!
言ってしまえば『金剛番長』はこれが一番良い。
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「卑怯番長」という直球すぎる名前が面白いが、この卑怯番長、『金剛番長』で人気投票が行われたなら間違いなくぶっちぎりで1位に輝くこと請け合いである。
というかなんなら「卑怯番長の魅力」を語り尽くすだけでnoteを1記事書けてしまうのだが、孤児院に預けられている弟妹13人を養うために犯罪に手を染め、「卑怯」にならざるを得なかったダークヒーローと知ってしまえばそれも納得だろう。
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卑怯番長は本当に良くて、卑怯なだけではなく普通に戦闘面においても優秀なのがまず良いし、金剛番長のことを本気で慕っているにもかかわらず、いや慕っているからこそ嫌われ役を自ら引き受けるところが良すぎるし、というか『金剛番長』の重要なシーンにはほぼ必ずといっていいほど卑怯番長の影があり、「金剛番長の活躍に卑怯番長の姿あり」と言っても過言ではない。
多分『バクマン。』でも言ってたけど、こういう主人公やラスボスを抑えてより輝くダークヒーローがいる漫画こそマジなんだよなぁ〜。『バクマン。』で言ってたよね?多分言ってた。言ってなかったらごめん。
⑥『金剛番長』には主人公が勘違いで復讐されそうになるけど戦いの中で誤解が解けて仲間になるやつがある!!
『北斗の拳』?
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『北斗の拳』のケンシロウとレイ?
⑦『金剛番長』には血で血を洗う兄弟の死闘が最後まである!!
『北斗の拳』?
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『北斗の拳』のケンシロウとラオウ?
⑧『金剛番長』には味方グループと敵グループで1対1のデスマッチをするやつがある!!
『HUNTER×HUNTER』?
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これはジャンプ
これをやってないジャンプ漫画、ある?
「◯◯トーナメント編」とか「◯◯デスマッチ編」とかで一旦区切られるやつじゃんね。
こういう総力戦で片付けるんじゃなくて各々の特性とか戦術を利用して戦うのキャラクターの限界とか逆に新たな可能性を知れて好きなんだよな。
⑨『金剛番長』には心の無い殺戮マシンが小さな女の子を護るためだけに意識をもつやつがある!!
これこの世で一番好き
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こういうのが結局一番いいんだよな。圧倒的な力を制御することができるのが悪徳も野心もない純真な一人の女の子って構図が結局一番いいんだよな。『メロンパンナちゃん』と『ロールパンナちゃん』なんだよな。アンパンマン、ジャンプで連載されてないけど。
⑩「ギア4」みたいになる
なる
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なっとる
⑪『金剛番長』にはめちゃくちゃ強いジジイがいる!!
むしろいないほうが不自然
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めちゃくちゃ強い
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漫画の各巻最後に掲載されているキャラクターファイルでもめちゃくちゃ強いことがうかがえる。
⑫『金剛番長』には一番最初のボスが後々最強になるやつがある!!
一番最初のボスって、世界観の説明のために使われガチだけどシンプルに主人公が乗り越えるべき関門として機能しているので、終盤になってもう一度そのキャラクターとしての機能を全うするのがめちゃくちゃ好き。『金剛番長』だと、仲間として力を発揮しているが。
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1巻では最強だった敵ボス。次第にその影を潜め、新たなる強敵との戦いが始まるが、
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最終巻では作中最強クラスの敵と一騎討ちで戦うなど、新たな活躍を見せる。
「居合番長」本当にカッコいい、多分人気投票したら卑怯番長に次いで2位になる。
見てきたように『金剛番長』は「友情・努力・勝利」に至るまでのテンプレートをこれでもかと踏襲しており、「ジャンプよりジャンプらしい」ゆえに「サンデー作品として面白い」ものに仕上がっている。
■バイバイジャンプ
『バイバイジャンプ』という用語をご存知だろうか?バイバイジャンプとは『週刊少年ジャンプ』と専属契約していた漫画家が打ち切られ、ジャンプを去ることを指した言葉だ。
この言葉の生みの親が『金剛番長』の作者『鈴木央』である。鈴木は『Ultra Red』という作品をジャンプで連載していたが、最終回、モブキャラの服に「BYE BYE JUMP」と忍ばせ、その後ウルトラジャンプに読み切りを掲載したのちにジャンプを去ったことに由来する。
後に鈴木は『週刊少年ジャンプ』『週刊少年サンデー』『週刊少年チャンピオン』『週刊少年マガジン』全てで連載作品を掲載しており、4つの週刊少年漫画誌に連載漫画を掲載した作家としても知られる。
『金剛番長』は鈴木なりのジャンプへの想いを形にした結果なのかもしれない。
■まとめ
『金剛番長』はジャンプを全部詰めたサンデーとして成立している漫画。使い古された展開を個性的なキャラクターと作者の手腕で新たな面白さへと昇華させた本作は王道バトルを求める読者には魅力的に映るのでは!