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【分割版】ボカロとかいうクソデカい物語の主人公『初音ミク』【その7】

※本noteは、7.4万字も書いたせいでnoteがクラッシュしてスマホで読むことができなかった以下のnoteの分割版その7です。内容は同一ですが、有料部分は元noteにのみ付属しています。

■前回


けんまP

 ここでは本当に酷い話しかしないので真っ当なボカロPの話以外は聞くに堪えないという読者は次の項目まで飛ばすことをおすすめする。本当にボカロの負の話しかないので。

 まず「パカソン」をご存じだろうか。ボカロnoteでありながらもう既に幾度となく恒心の話をしてきたが、ボカロと恒心教を深く結びつけたのがこの男、けんまPである。そしてパカソンとは、言うならば恒心教布教の楽曲路線であり、尊師や恒心教、チンフェにまつわる歌詞を散りばめた楽曲の総称である。

 ご存知の通りパカソンは最初、Orpheusによって作曲されていたが、けんまPの登場により明確にVOCALOIDと結びついた。けんまPはまるで原始VOCALOIDがMV技術やイラスト技術を獲得することでプロに劣らない高クオリティな楽曲を手にしたように、Orpheus時代では考えられないほどの調教と、美麗なイラストやMVを用いてパカソンのグレードを何段階も上げた。

 代表曲『UNDER CONSTRUCTION』はパカソンでありながらなんとミリオンを達成しており、まるで甘い香りで誘い出し罠へとハメることで生きながらえる食虫植物のように、迷い込んだ真正のボカロ厨のコメントを食らい、ちっぽけな恒心教徒の自尊心を肥大化させた。

 『UNDER CONSTRUCTION』はまだなにかがおかしいことを感じ取れるとしても『DIGITAL-TATTOO』はもはやただの良質なダブステ楽曲なので恒心に明るくなければ異常性に気づかないと思う。

 個人的には『おるすばんけんま!』が一番好き。

 もう言っちゃうけどもれも昔は例のアレ聖地巡礼しまくってたので(「聖地巡礼すること」以上の迷惑行為はもちろんはたらいてないが)、MV中の一般家屋には見覚えがありすぎる。
 『おるすばんけんま!』に至ってはもう取り繕う気がなさすぎてすごい。奇跡的にけんまくんと初音ミクのビジュアルがちょっと似ているのもずるい。
 そしてこういった恒心とボカロの融合が恒心とボカロの対立を生み、前述した『ゴーストルール』のコメント欄のような地獄へと変貌していくのである。

 もちろん道徳的に許されるはずもない行為だが道徳的に許されるはずもない行為で栄華を極めたニコニコ動画なのでいつまでも残り続けてほしい。最近の唐澤貴洋ももはや自分で言っちゃってるし、語録を。


『千本桜』

 酷い話題のご視聴お疲れ様でした。ここから2項目にわたって、ボカロP単位ではなく曲単位で話をしていきます。

 なぜ急にボカロPで語ることをやめたかというと、私が「黒うさP」に明るくないという事情があり、しかしさすがに『千本桜』なしでボカロnoteの体裁を保つのは無理だろうと判断した次第です。

 ていうか逆に『千本桜』を知らない人っているの?

 タグ「VOCALOID」で検索し、再生回数が多い順に並び変えてみてほしい。この曲がトップに表示される。つまりはそういうことです。
 再生回数は2023年3月9日現在で驚異の1631万回再生。つい3日前の3月6日に『みくみくにしてあげる♪』を抜き、とうとうボカロ楽曲再生回数でトップに躍り出た。

 『千本桜』の魅力を如何にして語ればよいだろう。この曲はボカロやニコニコ動画といった畑に限らず、もはや音楽史に残る伝説である。週刊VOCALOIDランキングでは投稿された当初から居座り続け、何週連続で掲載されたのかはわからないが動画内ではあまりの不動の地位に敬して「門番」と呼ばれていた。独特な和のテイストから「和楽器バンド」によって非-ボカロ厨にまで人気の波は押し寄せ、非-ボカロ厨どころか非-オタクすらもカラオケで歌う事態に発展した。今でも地下ライブとかで全然聴く。

 黒目のぱっちりした大正ロマンに身を包む初音ミクはすべてのオタクの性癖にぶっ刺さり私のDIVA Arcadeのモジュールを『千本桜』のそれに固定した。以来これを10年以上変更していない。

 当然といえば当然だが全ての歌い手が『千本桜』を歌ってみた。しかしあまりにも全ての歌い手が歌うので平坦化させないようにと個性が求められた。中でも「ぐるたみん」のそれは間奏の「にっぽん!にっぽん!」という合いの手が好評を博し、今でもオタクがカラオケで『千本桜』いれたら「(゚∀゚)o彡゜にっぽん!にっぽん!」とバカ騒ぎしたりしなかったりする。

 こんなものだろうか。筆がのってない?そうではない。『千本桜』は投稿日に視聴したあの日から私の中で変わらず"神話"なのだ。「VOCALOID神話入り」とあるが、当たり前に生活に溶け込んだ"神話"をわざわざ語り直す必要があるだろうか。
 ボーカロイドには当たり前に『千本桜』があり、『千本桜』のないボーカロイドは、それはもはや"ボーカロイド"とは呼べないのだ。


『ODDS&ENDS』

 「なんでもうryoについて語ったにも関わらずこの位置で『ODDS&ENSD』を?」とお思いだろうが、なんてことはない。このnoteもそろそろ終わりを迎えます。この位置で語りたかったのです。『ODDS&ENDS』のことを。

 『ODDS&ENDS』はryo氏によって書き下ろされた「Project Diva f」のオープニングテーマだ。

 ※公式動画が非公開に設定されている関係上、一般的に「『ODDS&ENDS』のPV」といった時に指す動画を掲載します。

 泣くだろ、なあ。もういちいち言わんでもわかると思うけど、こういう曲に弱い。初音ミクが"初音ミク"を歌うから。

 2012年当時、まだVOCALOIDに対する風当たりが強かった時代である。自称「一般人」の彼らに"なんて耳障り ひどい声"とバカにされ、"ガラクタ"に成り下がった初音ミクが"きっと君の力になれる" "だからあたしを歌わせてみて"と私たちに語り掛ける。初音ミクに出会い、それ故に毛嫌いされた私たちの人生を"聴こえる?この声 あたしがその誹謗(コトバ)を掻きけすから" "わかってる本当は 君が誰より優しいってことを"と肯定してくれている。

 もうほんとうに、100回言ったけど、ここまでで100回言ったけど、101回目を言わせてほしい。当時は、どうしたって、「ボカロ(初音ミク)が好き」というだけで、クラスではいじめられ、親からは嫌われ、先生からたしなめられ、野球部に殴られる、そういった時代だった。私たちが救いを求めた初音ミクの歌声を聴くだけで彼らは不機嫌になり、「こんな曲流すな!」と弾圧した。
 それでも、ボカロ厨に救いは、ボカロしかなかったのだ。初音ミクの歌声に身体を委ね、数少ない友人と言葉を交わし、新しい楽曲を今か今かと待ちわびる。そのサイクルにしか救いが用意されていなかった。
 その、救いの対象である「初音ミク」が、"わかってる本当は 君が誰より優しいってことを"と肯定してくれることが、どれだけ生きる上で励みになったか、きっと当時の劣悪を経験したオタクしか理解できない。

 DIVA fオープニングテーマということで当然DIVA内のMVのクオリティも高い。

 ごめん、ほんまに泣いてええか?
 理屈じゃないんだよもう。お前らがどれだけ「ボカロで感動www」ってバカにしても、もう理屈じゃなくなってんだよ。"初音ミクに救われた"というこの経験は、私の、精神の奥の、奥の部分に根差して、どうしても涙がこぼれ落ちてしまう。
 本当に神秘的で、初音ミク。あなたは美しすぎる。


ika

 気づけば6.4万字です。もしここまで読んでくれた人がいたなら、本当にお疲れ様でした。ありがとうございます。

 このnoteを書き出したのがかれこれ去年の5月とかですが、最後はこのボカロPの話で終わろうとその時から心に決めていました。たった2曲しか話題にしませんが。

 コンテンツが巨大になるにつれて、古いものは新しいものによって淘汰されていき、フレーズの知名度とは反比例してなかなか「原点にして頂点」と発する機会は少なくなっていきます。
 しかし、ボーカロイドにはあるのです。「原点にして頂点」、の曲が。

 『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』とはボカロ楽曲の中で初めてミリオンを達成した楽曲であり、3日前に『千本桜』によって越されるまでは全ボカロ曲の中で最高となる再生回数を誇っていた、まさしく「原点にして頂点」というに相応しい楽曲だ。

 "みくみくにしてあげる"と中毒性の高いフレーズを初音ミクがポップに楽しそうに歌うことで多くのニコ厨をボカロ沼へと誘った曲であり、もちろんDIVAにも無印から収録されている。

 サビの連続パンチのような振りやネギを振り回す振りはシンプルでありながらシンプルであるからこそ真似しやすく踊ってみたを主戦場に当時の踊り手たちによって広く拡散された。

 『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』のPVというとこちらも忘れてはならない。

 当時まだMMDの無かった時代に、MMD登場時のクオリティをはるかに凌ぐ出来で活躍する3DPVは、完全にプロの犯行です。本当にありがとうございます。

 変わり種だと演歌歌手「小林幸子」が「さちさちにしてあげる♪」とタイトルを変え、替え歌を披露した歴史もある。

 当時は「期待の神人」と言われてた。

  さて、なにも「みくみく」が原点にして頂点だからというだけで最後にika氏を語ろうとしたわけではない。もう1曲、「みくみく」を語るうえで外すことのできない曲がある。今から久々に聴くので、泣く覚悟をしています。

 "VOCALOIDを愛する皆様のお陰で、「みくみくにしてあげる♪」はとても幸せな曲になりました。"と主コメにあるが、これは当時、『みくみくにしてあげる♪【してやんよ】』がVOCALOID神話入りした経緯を含んでいる。本楽曲は、「みくみく」の大反響を受けて、5年越しに作成されたリメイクソングなのである。

 泣く。

 これを泣かずに直視できる古参おるのか?私がここまで65000字に渡って表現したかった

全部合わせて、kemuとかほぼ日とかおにゅうとかも全部、れるりりとかぐるたみんとかももうそんなことも一切合切全部含めてボカロの良いとこ悪いとこ凄いとこキモいとこ全部含めて「VOCALOID」ってデカい物語があってその全部に「初音ミク」とかいう女が全部の想いを受け止めて存在しているの美しすぎる

救済

 この想いを、たった5分間の動画で余すことなく全て、表現しきっている。

 初音ミクが、これまで装着してきた様々なモジュールをまとって、「原点にして頂点」である「みくみく」を歌っている。様々なイラストレーターの書いた絵で、様々なモデリングで踊っている。たったこれだけのことがあまりにも、あまりにも美しい。

 ごめん、もうほんまに手震えて文字うてんくなってきた。美しすぎる。美しい。本当に美しい。ありえないほど美しい。ダメだろ、こんなに美しかったら。

 初音ミクのモジュール、そしてMMDモデルの数だけ、いいや。そのモジュール、モデルを使った動画の数だけ、ニコニコ動画に「初音ミク」という一人の少女に想いを託した人がいるのです。
 初音ミクに歌詞を吹き込み、曲を作り、絵を描き、モデルを作り、動かし、歌ってみて、踊ってみて、ただ聴くだけだっていい。「VOCALOID」を愛した人の数だけ初音ミクに託した想いがあって、その想いのすべてがたった5分に全部凝縮している。

 その、全てのオタクの想いを指して"幸せな曲になりました"と言ってくれるika氏はもうどうなっとんねん。

 そんなの、もう、泣かないわけがないじゃんか

 僕はもうどうしてもボーカロイド全ての曲の中でみんみくで一番泣いてしまうんです。この曲には全てが詰まっています。
 VOCALOIDの、俺らの、お前らの、そして初音ミクの想いの全てが詰まっているから、僕は声をあげて泣いてしまいます。

 それも全部、あの日、みくみくにされてしまったから。


おわりに

 ここまで読んでくださって本当にありがとうございました。

 このnoteは、私がボカロ厨をやってきた中で感じてきた全てを共有したいと思い書き始めました。まだまだ語り足りない曲もあるので、そちらは有料部分で話していこうと思います。本編ほどがっつり書かないし、だいぶ砕けてますが、「価格は200円」にしておくのでもし興味があれば読んでみてください。

 ここまで読んでみてどうだったでしょうか。全くボカロを知らない人にも初音ミクのなにが美しいのか理解してもらえたでしょうか?ボカロに明るい人は「あったあったwそんなことw」と喜んでもらえたでしょうか?もしそうならこれ以上の幸せはありません。

 記憶だけを頼りに書いている個所も多分にあるので、事実と異なる場合はコメントやTwitter(@amamiharukasan2)のDMなどで教えていただけると助かります。それ以外になんでも、コメントやリプライで感想をもらえるとありがたいです。そんなに読まれないと思うけど。

 あとリンク切れとか非公開設定とかもあったら教えてください。


 それでは、このnoteがあなたをみくみくにしますように。


※分割前の元noteでは以下に有料部分が続きます。興味のある方は、PCで元noteにアクセスの上、ご購入ください。


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