甘やかし
家には今年17歳の老犬がいる。彼は人間でいうと70歳のおじいちゃんだ。名前は、チョコさん。よぼよぼである。そして17歳にもなっても、まったく日本語を理解できない。本当に残念だ。小学校後半のころにご近所からもらってきたチョコさん、もうすでに成犬となっていたチョコさんは、毎日私たち家族に人見知りしていた。脱走しては、元の家に帰ったりしていた。兄弟や母が恋しかったのであろう。今考えると悪いことをしたなあと思う。そして、全然吠えなかった。なつかないし、番犬もしない犬をうちの死んだ爺様はいじめていた。本当にサイテーの男である。1年くらいすると自宅はここかと、覚悟を決めたようにめちゃくちゃなついてきた。なついてくれることを夢に見るほど願っていたから本当に本当にうれしかった。そしてチョコさんはめちゃくちゃかわいい。よく自分の犬は一番かわいいというが、本当に日本一かわいい。世界一とは言わないが、日の丸を背負っても申し分ないと思う。餌をくれと甘えれば餌をやり、散歩に連れて行けと甘えれば連れて行った。そんな甘やかし生活を17年も続けたものだから、こじれたかまってちゃんになってしまった。けたたましいほどの欲求で餌をくらい。後髪を猛烈に引く甘えで撫でろやら、散歩いけやら、、、今では常時吠えまくるいい番犬となった。死んだ爺さんも本望であろう。