大根
私は他に本業で違う仕事をしている。その仕事はお給料が少ないが気にっている。人と言い距離感で親密になれるし、何より面白いことの宝庫でもある。詳しくは言えないが、その一つのエピソードを紹介しよう。毎日シンナーのような臭いのお客さんがいる、別にヤッチャッテル人ではないので安心して欲しい。彼の職業はペンキ屋さんなのだ。まあしかし毎日有毒な職場環境にいるわけなのでイッチャッテル人ではある。見た目は好青年なのだが、仕草、喋り方が挙動不審なのである。奇妙な人ではあるが、彼とは気が合った。そして彼は唐突に質問してきた。
「のんさん、大根の種ってどうやってとるんですかね。」
唐突すぎてびっくりしたが面白しそうなので会話を続けた。
「どう作るんですかね。科学的に今進歩してるから大根ふやかして種とるんじゃないですか?」
面目ない。私もイッチャッテル人である。本来大根は花が咲くので大根の実の中から種をとることはない。同じように考えてしまった人はイッチャッテル人の称号を与えよう。
「なるほどう。のんさん、あたまいいですね。」
この時は誇らしかったが、後から顔から火が出るほどに恥ずかしかった。
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