「のさりの島」の人インタビュー。金子晴彦さん。#2
こんにちは。映画「のさりの島」上映プロデュースプロジェクトのnoteをご覧いただきありがとうございます!私達は、熊本県天草市で撮影された映画「のさりの島」を一人でも多くの方に見て頂きたいと思い活動しています。
▼活動の経緯はこちら
このnoteでは、天草で映画撮影に関わった方々や、東京や天草以外で上映プロデュースに関わる方々を紹介しながら、映画やプロデュース企画の裏側をお伝えしていきます。
今回は熊本県天草市で「美容室かねこ」を経営し、天草の「のさりの島上映準備実行委員会」の中心で動いていらっしゃる、金子晴彦さんです。
金子さんに、「のさりの島」撮影時からどのように関わってこられたのか、映画を見る人に何を伝えたいか、お話を伺いました。
金子さんが「のさりの島」と関わり始めたきっかけ
ーーー金子さんはどのようなきっかけで映画撮影に関わったのか教えてください。
金子:きっかけは1本の電話でした。
映画が撮影されるずっと前に、天草フィルムコミッションの小山さんから急に電話がかかってきたんです。
「ちょっと金子さんとこに行くから」と。
その後、今回映画を撮影された山本監督を始め、関係者の方々十数人がぞろぞろと美容室にいらっしゃったんですよね。
「なんが始まると!?」ってその時は思いました。
よくよく話を聞くと、天草を舞台にした映画を撮影する予定で、そこに美容室のシーンがあるとのことで場所を探していたみたいなんです。それで、私が経営する「美容室かねこ」を見に来られて、「ここでいこう!」とすぐに決まりました。
そんな経験は初めてだったので「えっ、こんな風に決めると!?」って驚きましたよ。そして実際に自分のお店が映画で使われることになったんです。
もともとは映画の中で美容室の名前も配役の名前もあったみたいなんですけど、そのまま使おうということになり、「金子美容室」っていう名前で「のさりの島」に出ることになりました。
ーーーそこからどのようにして、映画上映を成功させるために動いてくださるようになったのでしょうか。
金子:別の日に、美容室の仕事の様子なんかを取材するために、取材クルーと役者の子が美容室にやってきたんです。少し話をしたあと、取材クルーの方々から「夕方までに帰ってくればいいから」と告げられて、役者の子が一人で美容室に残されたんですよ。取材も兼ねてなんでしょうけどね。
そこでその子と2人で色んな話をしましたよ。
話をしていると、その子の父親が自分と同い年だったりとか、共通点や似ていると感じる点がたくさんあって、他人事でいられない感情を持ったんですよね。
「なんかしてやらんば」って。
それからですね。映画撮影のために色々と自分でも協力出来ることはないかって動くようになったのは。
映画を「伝える側」になり、どのような活動をしてきたか
ーーーそこから、上映準備実行委員会として、どのように活動を進めてきたのでしょうか。またこれまでの印象的なエピソードも教えてください。
金子:映画「のさりの島」は2019年に撮影されて、2020年に公開されるスケジュールだったんですが、コロナの影響で1年延期になりました。
公開延期が決まったあとに、今後の進め方について、天草で映画に関わる人達と集まって色々と話しをしたんですけど、「天草は映画館が1つしかないのに、このままやったら誰も見に来ん。」という話になりました。
天草って意外と広くて、東京都23区くらいの面積があるんですよ。だから「映画を見にきてもらうだけじゃなくて、見てもらうために映画が地域をまわらんば」っていう想いが沸いてきました。
そう考え直すと、自分一人だけでは到底できないから、知り合いを含め、色んな人に声をかけて、自然と「チーム」になっていったんです。
”たくさんの人に届けたい、見てもらいたい”という気持ちで皆手伝ってくれているから、変なプレッシャーではなく、「楽しみながら自分の得意なことや強みが活きる」ようになればいいなと思いながら活動しています。
(3/22の熊本県天草市での関係者試写会での一コマ)
ーー映画上映に向けての活動は、初めてのことだらけで慣れないことも多かったのではないでしょうか。
金子:そうですね。普段は美容室ですからね(笑)。
でも、活動する中で嬉しいこともありました。3月上旬、天草の中でポスターやチラシを広めていこうって段階になった時のことですが、友人たちのLINEグループに「ポスターやチラシを掲示してくれるところありませんか!」と投げかけたんです。
すると、「うち協力するよ!」っていう通知が止まらなかったんです。「このままだとポスターとチラシが足りんくなるけん、ちょっと待って!」って止めちゃうほどになりました。
映画の舞台にもなっている「山西楽器店」には自分の同級生もいましたし、今回の映画に出てくる場所は我々の青春の1ページでもありますから、何か力になりたいって思ってくれる人が沢山いるっていうことを感じ、皆が協力的に反応してくれたことは、素直にとても嬉しかったですよね。
一方で、上映準備実行委員会としては時間がない中で期限までに色々と形にしていかないといけない。同時進行で色んなことを決めて進めていかないといけないから、ドキドキする気持ちもあります。
だけど、集まって話せば皆意見も言ってくれるので、助かっているし頼もしいですよ。
映画を見る人に伝えたいこと
ーーー映画「のさりの島」を見る人に何を伝えたいですか
金子:そうですね。舞台となっている天草の商店街「銀天街」は、脚色されていない、「今」の銀天街の普段のままの様子が映っていると感じます。だけど、昔の天草を知っていて今は少し天草から離れている人にとっては、もしかすると映画の中の銀天街を見て、「そんな風になったの!?」とちょっとびっくりしてしまうかもしれません。
それくらい、時代とともに「目に見える風景」は変わってきているかもしれません。
でも、映画の中に出てくる「人の生き様や人間性」などは、天草という土地で暮らしている人の様子をそのまま現わしていると思うし、そこは昔も今も根っこの部分は変わっていないと思います。
なので、天草を知らない人には、映画を見ていただいて天草という土地や人を知ってもらいたいですし、それだけでなく天草で生まれ育ったけど今は少し離れているという人には、自分が育ってきた天草の時代の変遷や当時の様子を思い返してもらうきっかけになればと思います。
あとは、この映画の撮影が行われたのは2019年、コロナが流行する前だったんですよね。今でこそ考えられませんが、映画の撮影期間中は合宿所のようなところに皆が毎日雑魚寝しながら、スケジュールや人手がぎりぎりな状態で撮影されたんです。
京都芸術大学の学生さんもたくさん来られて、出演してるメンバーだけでなく、監督助手や衣装等々、学生たちが一生懸命一つの作品をつくるのを天草の地域の皆で支えたんですよね。
もしかすると、コロナが終息してもこれから先、こんな映画の撮り方はもうできないかもしれない。そういう意味でも、この映画に関わった「映画には映らない多くの人たち」にも思いを馳せながら見てもらえればと思います。
ーーー金子さん、天草での様子をお話し頂きありがとうございました。これからも上映に向けてよろしくお願いします!
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4月30日、映画『のさりの島』公開記念イベントin天草!開催!
○映画「のさりの島」公式HP
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○上映プロデュースプロジェクトについてのメッセージや取材依頼はこちら
amakusagp+nosari@gmail.com(担当:渡邉・金子)
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インタビュー:渡邉健
文・編集:Minako Ishibashi