あまくち物語④
ゲーム音楽をエレクトーンで弾いている
超ニッチなYouTuber
【あまくち / amakuchi Electone】
この物語は、彼女が誕生し
成長していく軌跡を描いた
フィクションとノンフィクションが
混ざった物語である。
あまくちのYouTubeデビュー作は
【チームあまくち】メンバーに好評だった。
みんながとても喜んでくれている。
すぎやまこういち先生の曲は
ドラクエ10で初登場の新曲も
過去作で使われていた曲も
素晴らしい曲ばかりだった。
あまくちは次々と演奏してみたくなった。
【チームあまくち】メンバーとの
思い出の曲やリクエストされた曲など
様々な楽譜を【耳コピ】で起こし
エレクトーンで音を作って演奏して撮影。
このサイクルを何度も繰り返した。
演奏動画を1曲完成させるだけで
かなりの時間がかかるが
ものすごい集中力で、次々とアップしていく。
その度に【チームあまくち】のメンバーは
喜んでくれた。
次第に【チームあまくち】とは全く関係ない人
からYouTubeのコメント欄に応援コメントが
届くようになった。
不思議な感覚だった。
小さな小さなコミュニティが
少しずつ、本当に少しずつだが
外に広がっていく。
YouTube初投稿から約1年の月日が流れた。
いつの間にか21曲も動画をアップしていた。
そのために、いったい、どれくらいの時間を
かけたのか検討もつかない。
とにかく膨大な時間をYouTubeに費やした。
この頃になると
あまくちは特に時間がなくなっていた。
仕事も私事でも、とにかく多忙になった。
YouTubeの投稿も止まり、ドラクエ10も
やらなくなっていた。
できなくなっていた。
いつだって終わりは突然訪れる。
だから、当たり前に思わない方が良い。
今、この瞬間の当たり前を。
更に3年の月日が流れた。
ドラクエ10は完全にフェードアウトして
YouTubeもほとんど更新していない状態。
そんな時に、発売日が近づいてきた
ドラクエ11のプロモーションビデオを
YouTubeで見た。
みんなが期待しているドラクエの新作。
期待に応えてくれそうな
超えてくれそうなドラクエだった。
そして、何より印象に残ったのが
新しいアレンジの序曲。
子供の頃、学習発表会で演奏したあの名曲。
ゲームをしない人でも知っている
そんな有名な曲が
よりカッコ良い音で鳴っていた。
あまくち
「この曲、弾いてみたい」
あまくちの新しい序曲が始まった。
あまくちは、さっそく耳コピに取り掛かった。
ものすごい集中力で、聴き込んでいる。
良い音楽を聴くと、あまくちはやる気になる。
いや、ただ単に、忙しさのピークが過ぎて
落ち着いてきたから、という理由かもしれない。
タイミングが良かっただけ。
でも、それが一番大事。
人生においてもね。
あまくち物語⑤に続く
作 あまくちのマネージャー(MG)