「人間をお休みしてヤギになってみた結果」T・トウェイツ著(新潮文庫)を読んでみた結果
結論的に、この本を知人におススメするとしたら、星ひとつ(三つが満点として)です。
星ひとつの理由は、とにかく読み終えることはできたから。
本を手にしたとき、「草から栄養を取る装置を開発」とあったので、なるほどそこまで本気でヤギになろうとしたひとの話ならおもしろそうだと思って読むことにした。
著者の前作「ゼロからトースターを作ってみた結果」は、文字通り、トースターの部品の鉄やらを作るところから始めた取り組みについて書いて、それをたしか大学の論文か何かにした(たぶん)。
「ゼロからトースター」は、全然触手が動かなかった。タイトルや説明書きや本の紹介文やらを読んでも、だからどうしたって思ってしまうのだ。
「ヤギになってみた」にしても、だからどうしたで片づけられなくもない。
「ゼロからトースター」は、当時それなりに好評を博したようで、「ヤギになってみた」の冒頭でも、その当時のことを著者トウェイツは懐かしそうに振り返っている。まるで一発屋のような感じ。
それにしても、トウェイツは、取り組み方がハンパない。四足歩行について知るために、アカデミアの生物学者を訪ねたり、動物になりきる人間の気持ちを知るため(?たぶんそんな理由だったかと)に、シャーマンに会いに行ったり、とにかく類まれなる行動力でもってヤギになるプロジェクトを遂行していく。
最後は、アルプスにあるヤギ農場でヤギの群れとともに彼は山を上り下りし、草を口ではんだ後、人工第一胃液(ヤギには4つの胃があり、1つ目の胃にセルロースを分解する酵素セルラーゼが入っているのだとか)の中で消化したものを圧力鍋で糖に変えた汁を彼はすするのである。
「君が都会の人間だから」と彼が訪れたヤギ農場の農家はいう。
都会に暮らしているから、ヤギになるなどとクレイジーなことを考えるのだろうと。ここ(アルプス)に住んでいたら、そんな考えは必要ないのさ、とヤギ農家の彼はいった。
彼のこの言葉が胸に響いた。
自然から離れれば離れるほど、私たち人間はどんどんクレイジーになっている……たしかにそうなのかもしれない。
だからといって、私はヤギにはならないけど。
でも、リクガメならなってみたい……