【乗船記】新日本海フェリー あかしあ・舞鶴→小樽・ステートB和室
北海道と本州を日本海でむすぶ新日本海フェリー。今回は同社最長距離の、京都府舞鶴ー北海道小樽航路に乗船します。最後までどうぞお付き合いください!
乗船日:2024年6月29日(土)~30日(日)
※設備、サービス内容は現在変更になっている場合があります。
乗船まで
インターネット予約
今回の乗船は5月中旬、公式サイトで予約しました。新日本海フェリーは往復で乗る場合の復路は割引がありますが、基本的に割引がありません。7月からは繁忙期扱いになることもあってか、「通常料金が安い週末」はこの日が最後。空室も残りわずかでした。
当日、港へ
神戸三宮から高速バスで約2時間、舞鶴港にやってきました。3列独立シートの新しいバスでしたので快適な移動です。港の駐車場ではかなりの数の自家用車やバイクが乗船を待っていました。バスから降りた人は少なかったのですが、皆さん車で北海道をドライブするのでしょう。
乗船当日
22:10 舞鶴港
新日本海フェリーの最初の航路が舞鶴ー小樽でしたので、舞鶴港のターミナルはかなり年季が入っています。
ターミナルの待合室も人がいっぱい。関西圏で遊び倒した帰りと思われるファミリー層や、これからバイクで北海道ツーリングに行く人、年配グループなど様々な顔ぶれです。出航時刻が遅いので、小さい子供たちは眠気と疲れでストレスマックス状態になっており、そこここできょうだい喧嘩が発生していました。
船と航路について
船名:あかしあ
船籍港:小樽
就航:2004年7月
建造:三菱重工業 長崎造船所
長さ:224m × 幅:26m
総トン数:16,810トン
航海速力:30.5ノット
旅客定員:746名
積載車両台数:トラック158台、乗用車66台
運航:新日本海フェリー株式会社
ターミナルのうしろに、これから乗船する「あかしあ」が停泊しています。今回はちょうどドック(整備)明けだったので、船体は化粧直しされていてピッカピカ!20年前のデビューとは思えない外観です。
大きさは国内フェリー最大級で、日本海の荒波のなかを高速航行するためにはこれだけのサイズが必要なんだとか。
航路と所定時刻
舞鶴港 23持50分発
↓ (距離1,061km、20時間55分)
小樽港 20時45分着(翌日)
およそ1,000kmの長距離航路を1日で走り切ってしまう、驚きの速さです。国内のカーフェリーでは最速で走る性能があります。弓なりになった日本の内側を一直線で結びます。
23:10 乗船
乗船開始は出航の40分前から。待合室いっぱいに居たお客さんたちが船の中にどんどん乗り込んでいきます。ターミナルは1階が発券カウンター、2階が待合室、3階が乗り場(搭乗橋)になっていて、2階から3階に行く階段の前でチケットを読み込んでもらいます。
搭乗橋を渡ると、少しだけ船の横デッキを歩いてロビーに向かいます。過去に1度乗ったことのある船ですが、客室に入る際のわくわく感は何度経験しても変わりません。
乗り込んだところでほかのお客さんに続いて案内所へ行き、客室の鍵を借ります。就航からおよそ20年経っているので、カードキーやQRコードではなく、物理的な鍵です。ホールには記念撮影用に浮き輪やインスタ風の顔はめパネルが置かれています。
鍵を借りたらいよいよ自分の部屋に移動します。今回はステートB和室を予約しました。客室は4~6階の3層に分かれており、利用する部屋は中間の5階右舷側。畳に布団で寝るスタイルです。
窓の障子を開けてみると、目の前には通路があるものの海がしっかり見えました!他の方の乗船記などを見ていると、部屋の前には救命いかだがあったりして海があまり見えないこともあるようですが、今回は当たりの部屋です。
部屋の細かい観察は、また別記事でしますね!
23:50 舞鶴港出航
乗船後にサッサとお風呂に入ってしまおうかとも思ったのですが、やはり出航シーンは見ておきたいものです。無線や笛の合図でロープが解かれ、本船は小樽にむけて時刻通りに出航しました。後部デッキにはたくさんのお客さんが出てその様子を見ていました。
出航後、ようやくお風呂に入って今日一日の汗を流します。ステートB和室にはトイレ・シャワーが無いため、浴室を使うことになります。時刻も遅めだったので、浴室はすいていました。まだ出航したばかりですので、湯舟はもちろん凪でした。バスタオルは客室に備え付けは無く、案内所で200円で借りることができます。脱衣所では100円リターンロッカーを使うので、100円玉は必携です。シャンプー類やドライヤーなどはすべて無料で使えます。
お風呂上りの楽しみといえば、自販機でアイスを買って食べること。今までは上等級客室ばかり乗っていたので、部屋のお風呂からベッド直行でしたが、浴室からだとアイスを買って帰るのも億劫ではありません。本船4階のホール横には自販機コーナーがあるので、そちらでアイスとお酒を買って部屋に戻りました。
アイスとお酒を楽しんでいると、もう1時。そろそろ寝ることにします。新日本海フェリーの長距離便は、明るい間は陸地からはるか遠いところを走る為、携帯の電波がなくなります。SNS投稿などは電波のある今の内にしておいて、明日の夕方までは強制デジタルデトックスです。
今回は1人利用なので比較的自由に部屋を使えましたが、2人だとちょっと手狭かもしれません。なにかの本に「船で寝る際は枕を船首向きにすると酔いにくい」とあった気がして、それにならって布団を敷いてみました。
それではおやすみなさい!!
8:20 朝食
おはようございます。朝はレストランの営業開始を知らせる船内放送で起きました。船の心地よい揺れのおかげか(?)ゆっくり眠ることができました(とはいえ、ここまで大きな船ですと波や風が無ければほぼ揺れません)。部屋にある洗面台で顔を洗って、レストランに向かいましょう。
本船のレストランは、5階の後方左舷側にあります。右舷側には特別食堂(グリル)とカフェがあり、スイートに乗ると航海中の3食はグリルでサービスで提供されます。
新日本海フェリーのレストランは、もともとはカウンターに並んだ小皿をお盆に取って行き、最後に会計するカフェテリア方式でした。しかし、ここ最近はタブレット端末によるテーブルオーダー・食後のセルフレジ清算に変更になっています。
レストランは大きく、メインの部屋(左舷側)と少し小さめの(中央の)部屋になんとなく分かれています。メインの部屋はたくさんお客さんが居たので、ガラガラな中央の部屋に陣取りました。
テーブルに設置されたタブレットを使い、モーニングセット(700円)を注文。今回は夕食を豪華にしたので、朝昼は控えめで行きます。
パンとサラダとヨーグルトとコーヒーのセットで、普段朝食を食べない私には丁度良い量です。パンは暖かい状態で出されて美味しかったです。レストランのある位置はエンジンの近くなので、結構な振動があります。コーヒーやヨーグルトがプルプル言っていました。
美味しくいただき、セルフ会計をしてレストランを後にします。ごちそうさまでした!
食後、後部デッキに出てきました。本船は高速船のため、外に出られる場所は限られています。バルコニー付きの部屋の方は自分のバルコニーと、それ以外の方は5階の後部デッキのみ。横方向には窓付きの壁があり、風が巻き込まないようになっています。朝から曇りでしたが、だんだん小雨が降ってきたので船内をぶらぶらしてきます。
9:00 船内散策
朝食後は船内散策の時間。今日は夜に小樽に着くまで何もないので、お客さんたちも思い思いの場所でくつろいでいるかと思いきや、人が少なかったです。2度寝してるのかな?
5階には前方の景色を楽しめる「フォワードサロン」があるのですが、今回は窓が鉄板で塞がれており外が見えず。ドック明けたばかりだったので、窓板のペンキを乾かしていたのかもしれません。
5階のプロムナードのソファはずっと満席でした。窓の近くのソファ席はここしか無いので、当たり前といえば当たり前です。10時前に、舞鶴行きの姉妹船「はまなす」とすれ違う案内放送が流れます。船旅の記念にぜひご覧くださいという言い回しが好きです。
10時ごろ、汽笛を交換しながら「はまなす」とすれ違います。雨が強かったので、みなさん屋根のある所で見学です。お互い時速50km以上で走っているので、あっという間に遠ざかってしまいます。
午前のいちばんの見どころが終わったところで、マッサージチェアに乗ったり部屋に戻って休憩(昼寝)したりしてお昼に備えます。
12:00 昼食
お昼になり、レストランの営業を告げる放送が流れたので昼食を食べに行きましょう。私は徒歩乗船ですので、降りるギリギリまでお酒を飲む権利があります!その権利を行使させていただきます。
注文したのは、特性ザンギプレート(1,400円)。ザンギとチャーハンとサラダにスープが付きます。完全に吞む人用のメニューですね。チャーハンの形がカカオみたいな不思議なものでしたが、味は良かったです。ザンギをつまみにビールも美味しくいただけました。
陸から遠いところを走っていますが、セルフレジではクレジットカードが使えます。ついこの前までは船でカードなんてありえない話で現金が無いと何もできなかったものでした。しかし最近はキャッシュレス対応の船が増えていて、これも時代ですね。
お昼美味しかったです、ごちそうさまでした!
14:45 おやつタイム
本船の5階後方右舷側にはカフェスペースがあります。主にレストランがやっていない時間帯の営業で、おやつや軽食の提供があります。ちょっとしたステージもあり、夏休みなどの多客期にはイベントをやっているようです。
ちょうどおやつの時間だったので、ケーキセットをいただきます。昔ながらの軽めのチーズケーキはコーヒーと相性が良く、暇な午後のいい気分転換になります。
船内の公室部分はキラキラな装飾が多く、これぞ新日本海フェリーといった趣です。LEDが出てくる前の船ですので、電球の使い方が懐かしい感じです。
そのあとは船内を歩いたり、昼寝をしたりでゆっくりと何もしないぜいたくな時間を過ごしました。ホールにあったガチャガチャを回すと、すずらん・すいせんのマグネットが出てきました。今も会社の机に貼っています。
船内散策の詳しい記事は、こちら!
昼の3時過ぎ、北海道奥尻島が遠くに見えてくるとスマホの電波も徐々に復活です。この先は小樽まで、だいたい電波があります。
18:00 夕食
夕食はグリルでフルコースを予約しました。カーフェリーでコース料理を出しているのは新日本海フェリーの船くらい(いちぶ横須賀ー新門司の時も含む)で貴重な存在です。
グリルの中は絨毯敷きにテーブルクロスですが、まあフェリーの中なのでガッチリおめかししていく必要はありません。「水天一碧の日本海 北の幸のフルコース」のスタートです。
入店したとき、すでにテーブルにはアミューズと前菜がセットされていました。私のほかには2テーブルほどお客さんが居ましたが、おそらくスイートに乗っている方だと思います。
アミューズは北海道産赤肉メロンと早来産生ハム 塩ヨーグルトソース。要は生ハムメロンです。貴族が食べている料理です。
季節のかんぱちマリネ 柚子胡椒風味。グリルディナーは原則、北行きが洋食で南行きが和食、ランチはその反対になります。
ドリンクは白ワインでスタート。飲み切りの小さい瓶なので助かります。本来はスパークリングが良かったのですが、フルボトルしかなかったので流石にこの時間で1人で飲み切るのは困難。もっと精進しないといけません。
グリルは完全予約制なので、途中で人の出入りがありません。おちついて食事が楽しめます。惜しむらくは、客席から外の景色が見えないこと。グリルと外窓の間がプロムナードになっているので、壁にある曇りガラスからは人の気配しか見えません。
北海道産帆立のポワレ。魚料理で帆立が出てきたのは初めてでしたが、ソースがとても美味しかったです。ちょうど北海道の帆立を食べましょうという時代の流れもあったので出てきたのかもしれません。
帆立が出てきたタイミングで白ワインがなくなったので、ビールに乗り換えました。帆立のソースがとてもおいしく、パンが減っていきます。
本日のメインコース、北海道産牛ネックのグラーシュ 夏野菜添え。コース料理で1卓あたりの接客時間にゆとりがありホールの方がいろいろ話してくれるので、一人でいても退屈はしません。話し込みすぎには注意ですが。
やはり肉には赤ワインでしょうということで、赤ワインも注文しました。今までのドリンクは当然把握されているので、大宴会ですねとコメントをいただきました。ありがとうございます。
デザートはホワイトチョコのムースと桃のシャーベット。小樽にある新日本海フェリー系列のオーセントホテルから持ってきているようです。
北海道の食材をふんだんに使ったコース料理を心から楽しみ、夕食はフィニッシュ。追加で頼んだお酒代を支払ってグリルを後にします。ごちそうさまでした!
20:40 小樽港入港
6時から1時間ちょっとの夕食を楽しみ、あとは小樽入港を待つだけです。部屋を片付けて、いつでも降りられるようにしておきます。
入港前に船員さんが部屋の鍵を回収に来ます。借りていたバスタオルもロビーで返却し、もうやり残したことはありません!
周りが暗く、波しぶきがかかっていたのでホールの窓から外の様子は見えませんでしたが、8時45分、時刻通りに小樽港に到着しました。これだけ長距離を走って1分も違わずに着けるのは凄いことだと思います。
下船後
小樽港フェリーターミナル
搭乗橋がかけられ、下船が始まりました。小樽港の搭乗橋はとても長く、ガラス張りで途中の窓が換気のためところどころあけられていました。その隙間から、乗ってきた船をパチリ。スマホでないとできない技です。
本船はおよそ3時間後、舞鶴にむけてまた出航します。ターミナルにはその便のお客さんが少しずつ集まってきていました。ターミナルの売店でお土産にTシャツを買って(船内ではサイズがありませんでした)、小樽駅に向かいます。
小樽のフェリーターミナルからJRの駅まではタクシーで行きますが、夜なので待機車両ゼロでした。乗り場にはタクシー会社のリストが貼られており、3件目くらいでやっと予約ができて迎えに来てもらえました。
感想
国内最速のフェリーの旅、今回はとても快適で楽しいものでした。海が穏やかで大きな揺れもなく、混雑していたもののレストランなどは多くの人が来ても大丈夫なようにできているので、待たされたりすることはありませんでした。
船のスピードはもちろん魅力ですが、私の中ではやはりグリルでの夕食が一番の楽しみです。落ち着いた雰囲気と美味しい料理で、ぜいたくを漫喫できるのは素晴らしいことだと思います。グリルは春から秋にかけてしか営業していませんので、乗船の計画を立てる際はお気を付けください。
ほぼ一日かけて走り、船旅の魅力がたくさん詰まったこの航路、ぜひまた乗りたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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今後も船旅にまつわる記事を製作してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
乗船中にかかったお金
◆乗船料金
ステートB和室/期間A
22,500円
◆いろいろ
レンタルバスタオル 200円
マッサージチェア 100円
◆朝食
モーニングセット 700円
◆昼食
特製ザンギプレート 1,400円
ビール 700円
◆おやつ
ケーキセット 700円
◆夕食
グリルディナー 6,000円
生ビール 750円
白ワイン 980円
赤ワイン 980円
合計 35,010円