【乗船記】ジャンボフェリー あおい・高松→神戸・プレミア席(コンフォートリクライニング席)
兵庫県神戸から小豆島を経由して香川県高松をむすぶ、ジャンボフェリー。今回は同社最新の「あおい」に乗船します。最後までどうぞお付き合いください。
乗船日:2024年6月29日(土)
※設備、サービス内容は現在変更になっている場合があります。
乗船まで
インターネット予約
この旅を計画したのは5月の中旬のことです。今回乗船する「あおい」には、一般/共用席(自由席)とプレミア席の2等級があります。ちょっとぜいたくにプレミア席を利用しようと計画していましたので事前にインターネット(公式サイト)で予約、クレジットカード決済を済ませました。決済後、シートマップから席を指定します。私が予約を入れたときはまだどこにも予約が入っておらず、座席は好きな場所を選びたい放題でした。
乗船の2日前になると、QRコードのアドレスが書かれたメールが届きます。それをスマホに表示させることで乗船券になります。
自由席も予約することができ、超繁忙期で乗れない!ということを回避できるようです。
当日、港へ
乗船券が届いてしまえば、あとは港に行って乗るだけです。最近はインターネット予約が発達して、窓口に行かずにスマホで予約、決済、乗船が済む会社が増えています。
高松港へは私は札幌から飛んでいきましたが、普通の方むけにはJR高松駅から無料の送迎バスが船に合わせて出ています。
乗船当日
13:30 高松港
香川県高松港は瀬戸内の島々にむけてたくさんの船が発着しています。今回乗船するジャンボフェリーは、高松駅から少し離れた高松東港から出航します。
フェリーのりばに着くとまだお客さんの数は少なく、駐車場ではトラックの積み込みの真っ最中でした。この後高松駅からの送迎バスがつくと、少し賑やかになりました。
ターミナルビルは全体にきれいに維持されており、快適です。待合室の一角にはゲームコーナー(おもにスロット)があります。
船と航路について
船名:あおい
船籍港:神戸
就航:2022年10月
建造:内海造船 瀬戸田工場
長さ:132m × 幅:21m
総トン数:5,200トン
航海速力:18.5ノット
旅客定員:620名
積載車両台数:トラック84台
運航:ジャンボフェリー株式会社
白い船体に紺碧色の曲線、前後のハッチと煙突には前から7本、5本、3本の縞模様が施されています。船名は瀬戸内の海、空、風からイメージされる蒼と、過去に運航されていた「葵丸」への想いも込められているそう。従来船よりも客室面積が大幅に広くなり、船内には小豆島をイメージさせるオリーブ、棚田、石、醤のモチーフがちりばめられています。
航路と所定時刻
高松東港 14時00分発
↓ (距離29km、1時間15分)
小豆島坂手港 15時15分着・15時15分発
↓ (距離96km、3時間25分)
神戸港 18時40分着
13:45 乗船開始
出航の15分前、ターミナルで乗船開始の案内放送がされると、いよいよ船に乗り込みます。初めて乗る船でしたので、とても楽しみな瞬間です!
ジャンボフェリーといえば、従来の「りつりん2」「こんぴら2」のような、客室は船首側に寄せて、後ろ側はオープン車両甲板と煙突で平べったいというスリッパのような形をした船をイメージします。本船も大まかなイメージはそれを踏襲していますが、従来船よりも客室部分が広くなっておりスリッパみは少ないです。
タラップの途中にQRコードリーダーが置かれており、そこで改札です。プレミア席を利用する場合、乗船確認メールで「乗船用QR」と「座席用QR」の2つが配信されます。乗船時に座席用を読ませても乗れませんので、面倒がらずに2つともスクショしてすぐ出せるようにしておきましょう。
乗り込んだ先は1階上甲板で車両置き場。客室のある範囲は屋根あり、後ろに行くとオープンの車両甲板です。客室は2階から上なので、さらに階段を上ります。荷物の大きい方や階段がキツい方には、エレベーターも用意されていますのでご安心を。地上から乗り口までは階段オンリーだったような気もしますが、バリアフリー対応の別ルートがあるのかもしれません。
客席(プレミア席/コンフォートリクライニング席)
船内の階段で客室のある2階に上がると、オリジナルアロマの香るきれいなロビーに出ます。「瀬戸内海に浮かぶテラスリゾート」をコンセプトにしているだけあり、香りの演出も抜かりありません。入ってすぐにプレミア席への改札機があり、自由席のお客さんと別動線になります。ここでプレミア席用のQRコードをかざして改札を抜けます。
本船はセキュリティの兼ね合いもあるのか、どこに行くにしてもQRコードが必要です。自席にスマホを忘れて廊下にでると容赦なくロックアウトされますので気を付けましょう。
今回の乗船は、そんなプレミア席のなかから「コンフォートリクライニング席」を選びました。一人でプレミア席に乗ろうとすると、こちらか和室の「のびのび席/一般」になります。個室やコンパートメントもありますが、ホームページを見る限り最低利用人数が設定されていて表立っては1人で乗れないようです。
乗船口→プレミア席入口→2A客室入口と3度の検問を通過してたどり着いた客室は、大きなリクライニングシートが76席並ぶ開放的な空間。2階の先頭部分に位置しており、左~前方の景色が楽しめます。船室の右側には3人用のコンパートメントがあり、その外は自由に出入りできるデッキになっています。
選んだ座席は01H。シートマップではだいぶ右寄りな席ですが、先述したような左右非対称の構造のため船の中ではど真ん中の先頭席です。基本的にジャンボフェリーでは他のお客さんのプライバシー保護のため、個室以外の船室(客席部分)内の撮影はご遠慮くださいという姿勢です。ところが今回はなんと、小豆島まで私ひとりで(コンパートメント以外)この部屋を貸切!!誰も居ないのをいいことに、少し写真を撮らせていただきました。
座席は全席独立タイプで、リクライニングした上でさらに座面ごと傾く「ゆりかご式チルト機構」を搭載。座面も蒸れにくい素材が使われています。レッグレスト、コンセントも装備されて超快適でした。背負っていたバックパックは、隣の席との間のテーブル下に収まりました。
プレミア席の入り口でQRコードを読ませるとき、今日の運勢が出てきます。当たりだとカフェコーナーのコーヒーが1杯無料になるとか。
14:00 高松港出航
乗り込んできれいな客室に興奮していると、もう出航の時刻です。自席に居てもいいのですが、落ち着きのない私はプレミア席専用、4階のフライングブリッジ「光のテラス」に出てきました。
ここは操舵室の屋根の上で、左側にはレーダーマストが立っています。本船の鼻は極めて短く、前方の景色は特徴的です。
また、前向きの手すり(壁)は風よけの機能もついています。航海中、この風よけの有難みを感じることが多々ありました。
客席のある2階にもフォワードデッキ「風のテラス」がありますが、フロアが2層違うだけでだいぶ景色の見え方が違います(屋根の有無も関係あると思います)。フライングブリッジというだけあり、光のテラスから後ろを向くと爽快なガラス張り。滅多に見られない、船長さんとまったく同じ景色を楽しめます。
船体から張り出したフライングブリッジに立っていると、無線でロープを解く指示が飛ぶのが聞こえます。
定刻の2時ちょうど、本船はゆっくりと動き出し高松港を出航しました。距離にして125kmの航海が始まります。行ってきます!!
高松港の岸壁の前方では何やら絶賛工事中。現在の「りつりん2」が置き換わるタイミングで、岸壁側も新しくなるのかもしれません。
船内では名曲「二人を結ぶジャンボフェリー」をバックに、本船の説明や注意事項が放送されていました。土曜の昼便ですが、お客さんはガラガラ。小豆島で遊ぶ人はもう渡っているでしょうし、帰るには1日早いしで普通に利用するには中途半端な時間帯なのかもしれません。
客室の様子
今回の席は先頭にあるので、目の前には瀬戸内の大パノラマが広がります。座席のさらに前には「キャプテンシート」といわれるベンチ席があり、この部屋に席がある人は自由に座れます。
キャプテンシートはとても面白く、窓の上にはプロペラの回転計、翼角指示器、舵角指示器、傾斜計、時計、速度計が並びます。窓の手前にはコンパスとナビゲーション、こんぴら2で使っていた双眼鏡が置かれて船長気分になれます。
向きが変わるたびにコンパスから「ガシャッガシャッ」という音(駅や学校の時計の針が進むときのような音)がするので、大きくカーブするときはガシャガシャガシャガシャ賑やかです。
船室の左側もフリースペースになっており、こちらは「サニーサイド」と呼ばれます。ロビー以外は「禁麺」ですが、お茶やお菓子でピクニックくらいはしても大丈夫でしょう。
14:30 船内散策
本船の共用スペースは、映えそうなところがたくさん。さすが最新の船です。紹介したいところが多すぎるので、別の記事にいたしました。
「瀬戸内海に浮かぶテラスリゾート」のコンセプトのとおり、船内には様々なテーマのテラスがあります。見どころがたくさんあって、船に興味のない人でも探検したくなると思います。
14:50 昼食
船旅の楽しみといえば、船内での食事です。本船は長距離フェリーではありませんが、うどんコーナーとカフェがあり、軽食が提供されます。
詳細は別記事にいたしますが、クレジットカード対応で工夫されたメニューが揃っていて楽しかったです。地域柄、レモンとオリーブを使ったものが多くてあれもこれも食べたくなってしまいました。
ちょうど私が船内をうろうろしているとき、多くの方がうどんを食べていました。入港前にいったん閉店しますが、私が行ったときはその間際でお客さんは誰も居ませんでした。
15:15 小豆島坂手港寄港
うどんをすすっていると、高松行きの「りつりん2」とすれ違いました。本船はまもなく小豆島坂手港に入ります。坂手港の曲はSTU48の「瀬戸内の声」。「ふたりを結ぶジャンボフェリー」とは違う系統の曲で、これはこれで良いものです。
本船はおおよそ予定通りに坂手港に入港しました。瀬戸内周辺にはたくさんのアート作品が点在しており、坂手港には「スター・アンガー」というピカピカのものが置かれていました。港の周りののどかな雰囲気の中で異彩を放ちます。
公式サイトを見ていると、小豆島坂手港は到着時刻と出航時刻がどちらも15時15分になっています。要はお客さんが乗り次第出航ということなのでしょうが、繁忙期だと神戸到着がすこし遅延してしまいそうだと思いました。
今回は坂手港からのお客さんも少なく、比較的すぐに出発しました。プレミア席にも1人乗ってこられました。
15:50 足湯
小豆島坂手港を出航し、神戸まではおよそ3時間半かかります。プレミア席内には波の音と心地よいヒーリングミュージックがかかり、リゾート感を演出しつつ完全に寝かせに来ています。
少し休んだあと、プレミアエリア内にある「雲の湯」に行ってみました。
プレミア席利用者は無料、自由席利用者も売店でお風呂券を買えば利用できる「雲の湯」は、男女の浴室と共用の足湯があります。今回は足湯だけ利用しましたが、バルコニーに設置された足湯は最高でした。
ジブリのオルゴールが流れ、ホンモノの海の音とともに丁度良い温度のお湯に足を浸けていると、もうそこは天国です。
島々の景色も素晴らしく、気づけば結構な時間をすごしていました。タオルの備え付けはないので、各自で用意しましょう。また、浴室には高級シャワーヘッド「ミラブル」がついているらしいですよ。
16:30 おやつの時間
足湯で昇天した後は、おやつの時間です。本船の神戸到着が18時40分と夕食どきで、食事は着いた後にしようと思っています。小腹満たしにロビー横のカフェでジェラートとコーヒーを買ってきました。
ロビー横のテーブル席で食べてもいいのですが、せっかくなのでカフェラウンジ「こまめ」も使ってみます。6席の小さな空間ですが、セルフコーヒーマシン(無人・カメラ付きでPayPayと現金対応のお賽銭方式)があります。
今回いただいたのは「醤油クランブル」と「島レモン」ジェラート。観光客がいちばん選びそうな組み合わせになりました。小豆島の「MINORI GELATO」というお店のものだそうです。コーヒーは高松のトイ珈琲の豆を使っています。地元の名店から仕入れるとは、こだわりが感じられていただくのが楽しいです。
17:45 明石海峡大橋くぐり
ジャンボフェリーの景色のハイライトといえば、明石海峡大橋くぐりです。フェリーに乗り始めてから何度くぐったか分からない明石海峡大橋ですが、今回も謹んでくぐらせていただきます。
くぐる10分くらい前に船内放送で「これからくぐりますよ」と案内があり、お客さんもぞくぞくとデッキに出てきます。最前方の「光のテラス」で見るのも良さそうでしたが、せっかくなら橋+煙突の後ろ向きも撮りたいので、中央屋上にある空のテラスで待機します。
公式ホームページなどではスマイルステージと明石海峡大橋を絡めた映え写真が掲載されていますが、みなさん前方の景色に集中していました。
思い思いの写真を撮りながら橋の下を通過、大阪湾に入っていきます。ちょうど阪神発、北九州ゆきの夜行フェリーの各社1便が出ていく時間帯でした。
18:40 神戸港入港
ハイライトである明石海峡大橋くぐりも終わり、まもなく神戸港に入港します。まだまだ日が長い時期ですので神戸の夜景に迎えられることはありませんが、それは冬のお楽しみ。
暗くなってくると前方の安全確認に差し支えるため、キャプテンシートの後ろにカーテンが引かれるそうです。到着まで自席から前が見えたのはラッキーでした。
「二人を結ぶジャンボフェリー」が流れると、もう航海はおわり。宮崎カーフェリーが泊まっている向かい側の岸壁に着岸します。着岸の様子は風のテラスから見ることにしました。
最徐行で停止位置に近寄り、船は静かにとまりました。高松、小豆島、神戸の3港とも右舷側をつけて停泊します。煙突が左舷側にあるのはそのためでしょう。下甲板の自動車は出入りしやすいように、高松と坂手は後ろ側から、神戸は前方から乗り降りするようになっています(これで多くの方は船内で方向転換する必要がありません)。
下船後
バスで三宮へ
フェリー到着後、すぐにフェリーターミナルから三宮まで連絡バスが出ます。ターミナルビルの屋上テラスから船の写真を撮れるのですが、バスに乗る方はすぐに乗ってくださいという雰囲気だったので断念。現金210円で三宮駅に行くことができます。
時間がある方は駅まで歩くこともできますが、私はあとの接続がタイトだったのでバスを使いました。
感想
「瀬戸内海に浮かぶテラスリゾート」をコンセプトにした本船は、その狙い通りのリゾート感を心行くまで楽しむことができました。新造船なので船内の清潔感はもちろんのこと、アロマやBGM(環境音含む)の演出までしっかりと配慮されていて感激しました。
また中距離航路のフェリーにもかかわらず、軽食やスイーツの選定にもこだわりを感じました。当地らしさ全開のメニューで、次に乗った時は何を食べようかという楽しみもあります。
今回は運よく(?)お客さんの少ない便だったため、船内設備にもゆとりがありました。全体的に時間はのんびりと流れ、約4時間半の乗船時間はあっという間に過ぎてしまいました。
同じ区間をむすぶ陸上の交通機関に対して時間はかかってしまいますが、その時間をしっかり楽しめるのでぜひまた乗船してみたいと思います。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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今後も船旅にまつわる記事を製作してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。
乗船中にかかったお金
◆乗船料金
コンフォートリクライニング席/土休日料金/ネット割
3,890円
◆昼食
オリーブうどん 450円
浮かぶタコ焼き(ネギ) 350円
さぬきレモネード(カルピス) 450円
◆おやつ
ジェラート 550円
コーヒー 100円
合計5,790円
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