【船内散策】ジャンボフェリー あおい
高松・小豆島・神戸をむすぶジャンボフェリー「あおい」の船内を散策してみましょう。「SNS・写真映え」という新しい価値観が浸透した現代に考え出された最新の設備の数々。見どころ盛りだくさんです。
本船のデザインコンセプトは「瀬戸内海に浮かぶテラスリゾート」。4か所のテラスを中心に、小豆島をイメージさせる「石」「棚田」「オリーブ」「醬」の4つの要素がちりばめられている楽しい空間です。
2階
本船の客室は2階から4階で、屋根があるのは2階と3階です。下の階から順番に見て回りたいと思います。
ロビー・売店・軽食コーナー
乗船してすぐに出るのが、ロビーです。本船の顔ともいえる部分で、2層吹き抜けになっています。中央の吹き抜けホールのまわりには、売店、案内所、軽食コーナー、キッズスペースがあります。
ショップは船の規模に対して広く取られている印象です。キオスクのような対面売店のみかと思いきや、しっかりと陳列棚があってオリジナルグッズからお土産品、お菓子やドリンクまで品ぞろえは豊富だと思いました。
ショップのレジとカフェコーナー、うどんコーナーは1か所に集約されており、基本はクレカ、QR決済対応のセルフオーダー・セルフレジです。最新船かつ電波があまり途切れない瀬戸内航路ならではだと思います。御船印もこちらの売店で売っています。
うどんコーナーは「ふねピッピ」。香川では、うどんの幼児語が「ピッピ」なんだそうです。地元のオリーブやレモンを使ったうどんが提供されますが、種類の豊富さには驚きです。うどんカウンター前の席は「うどん優先席」で、船内でうどんを食べる際は基本的にこちらで。客席は出汁が撥ねたりするからか、禁麺です。
いわゆる自由席は和室スタイルですので、足腰がキツい方むけに椅子の優先席があります。
吹き抜け横には自動演奏のピアノが置かれ、一定時間ごとに演奏があります。「二人を結ぶジャンボフェリー」を期待したのですが、私が通りかかった時には別の曲が演奏されていました。
3階に向かう階段下のスペースは「棚田のベンチ」。ベンチの上には大量のコンセントが設置されており、全部に充電器をさしたらすごい景色になりそう。
キッズコーナーは「石の遊び場」。壁の装飾やプレイマットの色使いなど、とても楽しそうです。子供って、こういう秘密基地みたいな場所が好きですよね。
サイクルピット
車両甲板からのエレベーターの正面にはサイクルピットがあります。条件を満たしたスポーツ自転車をこちらに引っかけて留め置くことができます。また、ペダルとくっつく靴を履いている方向けにサンダルもおいてありました。
後部デッキ
本船は各階の後部に外デッキがあります。2階のデッキにはベンチと自販機が設置されていますが、誰も居らず。行き方も地味なので、混んでいるときは意外と穴場なのではないでしょうか。
後ろを眺めると、特徴的な煙突と車両デッキを見ることができます。
3階
3階にはプレミア席扱いの「のびのび席アネックス」と各種個室があります。基本的な用事は2階で済んでしまうので、3階は比較的静かで落ち着いていました。
ロビー
2階から3階に階段を上ると、「醬(ひしお)のロビー」に出ます。醤油樽を並べたような装飾が左右いっぱいに施され、樽には間接照明が仕込まれていました。のびのび席アネックスは団体・多客期用でふだんは開放されていません。
ロビーの吹き抜け周りは、一般的なフェリーとだいたい同じような構成です。椅子が並び、現在地を示す大きなモニターと広いゴミ箱があります。
自販機・ゲームコーナー
3階の前方には自販機コーナーとゲームコーナーがあります。ロビーから進んで手前側が自販機コーナー。ジュースと軽食として「ど冷えもん」自販機が置かれています。写真には写っていませんが、電子レンジもきちんとあります。
ピンバッジや有料送迎バスのチケット、耳栓の入っているガチャガチャもおいてありました。
奥側には喫煙室とゲームコーナー。UFOキャッチャーにはジャンボフェリーのおふろぬいぐるみが入っていました。かわいい。
後部デッキ
3階の外デッキがいちばんコンパクトです。ちょうど煙突が目の前にくる高さです。最近の船の煙突は排ガス浄化装置をつけたりする都合でどんどん大きくなっています。もはやひとつの建物みたいです。
客室の出入口の扉は、強風を巻き込んでバタンと閉まらないように風防がしてあります。
4階・屋上階
4階はすべて出入り自由のオープンデッキ。暖かい瀬戸内海の日差しを浴びながらくつろぐことができます。
2階からの吹き抜けホールを4階まで上がると、オープンデッキに出ます。中央には階段室の上に設けられた「空のテラス」があり、その前後とも出入り自由です。強力なダウンフォースを発生しそうな風防板が並び、その裏にはオリーブの苗木が植えられています。
空のテラス
船内に4つあるテラスで、すべてのお客さんが出入りできるのはこちらの空のテラス1か所。範囲が少しわかりづらいのですが、階段室屋上の芝生スペースと、スマイルステージと呼ばれる橋部分、その下の芝生の広場までを空のテラスと呼んでいるようです。
芝生の上にかかる半円形の「スマイルステージ」が船内いちの映えスポット。明石海峡大橋とこのステージを絡めた写真が宣伝でも使われています。
私がこのあたりをウロウロしていた時は幸いだれも居らず、しばらく人工芝の上でくつろいでいました。爽快感があり、とても気持ちよかったです。
空のテラスの屋上部分に登ってみました。操舵室よりも2段高い位置で、本船最高所です。ナントカと煙は高いところが大好き。四角いスペースには人工芝とウッドデッキが敷き詰められ、こちらに限っては鉄板の床が見せません。360度遮るものがなく、ものすごい解放感と美しい景色を楽しめました。小さい子が走り回るのに、ちょうどいい広さだと思います。
せっかくなのでスマイルステージの橋を私も渡ってみました。柵がしっかりついているので、幅は狭いですが怖いということはありません。わたってしまえば普通で、あくまで下から写真を撮ってもらうことが大事なようです。
プレミア席エリア
4つのテラスのうち、3つはプレミア席エリアにあります。続いてはそちらを見ていきましょう。
プレミア席入口
乗船して吹き抜けホールに出ますが、いちばん手前に自動改札機が置かれています。そこを通るとプレミア席のエリアです。乗船券とは別にプレミア席の座席用QRコードをかざすと改札を通れます。
改札を抜けて通路を進むと、外に出る扉があります。その先が風のテラスと光のテラスです。
(プレミア席2階)風のテラス
まずは客室と同じ高さにある「風のテラス」から。最近は前方のデッキに出られる船は少ない印象ですが、本船は出られます。前からの風よけが有る為、テラスの部分だけ1段高くなっています。
見える景色は前方のみ。後ろをむくと客室とブリッジがそびえます。離着岸の際は無線の声やロープを扱う作業が間近に感じられ、興味深い場所です。
(プレミア席4階)光のテラス
風のテラスの手前にある階段を2階分のぼると、そこは光のテラス。ちょうど操舵室の右舷側真上にあたります。本船は高松、小豆島、神戸とも右舷付けなので、船長とおなじ景色を楽しめます。
屋根は無く、後ろ側の角部分はなんとガラスになっているため、空を飛んでいるようです。操舵室同様、船体よりも出っ張っているので、後ろ側を見るほうが楽しいです。
(プレミア席2階)カフェラウンジ こまめ
2階右舷側にはプレミア席専用のカフェラウンジ「こまめ」があります。名前はきっと、小豆島から取っているのでしょう。
6席(と子供椅子2つ)という空間ですが、とても居心地が良かったです。コーヒーマシンがありますが、現金かPaypayをカメラに見えるように決済するクラウド型の良心市スタイル。ちなみにコーヒーの種類と価格はロビーの売店で買うのと一緒です。
(プレミア席2階)雲の湯・海のテラス
2階左舷側にはお風呂コーナーがあります。男女浴室と、その間には足湯が登場。船内に足湯があるのは珍しいと思います。
雲の湯ののれんのところで靴を脱いで入ります。足湯のある海のテラスへは備え付けのサンダルを借りて出ます。
テラスに出ると、4~5人が横並びできるくらいの足湯があります。景色が素晴らしいのはもちろんですが、こちらは側面に位置しているので風が強く吹き込まないのと、屋根があるので雨でも濡れなさそうなのが良いところです。
すのこの前でサンダルを脱いで、ベンチに座るともう天国です。お湯はホワイトイオン泉で、お風呂コーナーの入り口に泡を混ぜ込む装置が置いてあります。うっすらとオルゴールのBGMがかかり、ここに居ると時間がたつのを忘れてしまいます。
足元のガラスを見ると、下は海!このデッキ部分は外側に出っ張ている構造で、このような仕掛けは国内フェリー初だとか。この窓だけでも見ていて楽しいです。
(プレミア席2階2A)キャプテンシート・サニーサイド
最後に、プレミア席2A区画の席のお客さん専用、キャプテンシートです。2階の最前部はキャプテンシートと言われるベンチスペースになっています。
前の景色を楽しめるのはもちろん、ほんもののコンパスやナビ画面、フェリーこんぴら2で使っていた双眼鏡が置いてあり、テンションが上がります。
窓の上にはこちらもリアルタイムで動いている計器類が並びます。お客さんにはいっさい必要のない情報なのですが、キャプテンシートというだけあり本格派で驚きました。いつまでも観察していられます。
左舷側はボックス席が並ぶスペースで、こちらもフリースペース。客席がすべて前向きのリクライニングシートなので、同行者と話しながらお菓子を食べたりする場合はこちらが重宝することでしょう。
以上、ジャンボフェリー「あおい」の船内散策でした。最後までお付き合いいただき、どうもありがとうございました。
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今後も船旅にまつわる記事を製作してまいります。どうぞよろしくお願いいたします。