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【早稲田大学文学部・文化構想学部】3方式のデータ分析と合格戦略

はじめに

この記事は、早稲田大学文学部・文化構想学部を志望する方を対象としています。文学部・文化構想学部の3つの入試方式を理解し、戦略的な合格を目指す上で必要な情報を提供します。早稲田大学の出願学部・方式選定のご参考になれば幸いです。


1. 各方式の併願率

1-1. 3つの入試方式

早稲田大学の文学部・文化構想学部には、「一般選抜」、「英語4技能テスト利用方式」、「共通テスト利用」の3つの入試方式があります(以下、「一般」「4技能」「共テ」)。これらの方式は、それぞれ定員や試験科目が異なり、独立した入試方式です。そのため、3つすべての方式を併願することが可能で、それぞれ個別に合否が判定されます。

「4技能」や「共テ」の受験資格がある場合、複数の方式を受験することが、入試戦略としては定石です。特に「4技能」の出願資格である「英検スコア2200以上」は、早稲田を目指す多くの受験生にとってはハードルが低く、出願資格を満たしやすい点も特徴です。


一般選抜
「一般選抜」は、英語、国語、選択科目(世界史または日本史)の3科目で構成されています。この方式は受験者数が最も多く、文学部・文化構想学部の主要な入試方式です。


英語4技能テスト利用方式
「英語4技能テスト利用方式」では、英検などの英語4技能テストのスコアを提出することで、英語の試験が免除され、国語と選択科目(日本史または世界史)の2科目で合否が判定されます。提出スコアは英検の場合、各スコアが500以上、合計スコアが2200以上であることが条件です。英検2級の合格スコアが1980、準1級の合格スコアが2304ですので、2200というスコアは2級のハイスコアに相当します。

2021年度以降、受験生の英検スコアは全体的に上昇傾向にあり、準1級を持つ受験生も珍しくなくなりました。したがって、スコア2200で出願できる「4技能方式」は、早稲田大学のようなトップレベルの私大にしては、比較的低めの基準と言えるでしょう。また、文学部・文化構想学部の英語は難易度が高く、合格点の70%を取るのは難しいため、英語試験を免除できる「4技能方式」は、英語が苦手で国語が得意な受験生にとって有利です。


共通テスト利用方式
「共通テスト利用方式」は、英語、国語、選択科目(共通テスト科目)の3科目入試です。英語と国語は「一般選抜」と同じですが、選択科目は早稲田大学の個別試験ではなく、共通テストの科目から選択します。世界史・日本史は選択不可ですが、地理・公民・数学・理科・情報など選択の幅が広い点が特徴として挙げられます。ただし、選択科目の共通テストのボーダーは毎年90-95%とハイレベルです。

出典:河合塾「早稲田大学|偏差値(ボーダーライン)」


1-2. 3方式の併願率

各入試方式は併願が可能です。以下のデータは、早稲田大学文学部・文化構想学部における各入試方式の併願者数と併願率を示しています。

出典:2024年度 早稲田大学 学部間併願データ


傾向とパターン
併願率が高い組み合わせとしては、以下のパターンが挙げられます。文学部・文化構想学部の主な受験者層は、世界史または日本史を選択する私文専願の受験生が多く、「一般&一般」「一般&4技能」の組み合わせが特に高い併願率を示しています。

一方で、「一般&共テ」「4技能&共テ」の併願率はやや低めです。これらの併願者は、「英語・国語・世界史 or 日本史」に加えて、共通テストで公民や数学などの科目を受験する必要があるため、その大部分は国公立大学を志望する受験生になります。

■ 併願率の高い組み合わせ
・文学部(一般)&文化構想学部(一般)
・文学部(4技能)&文化構想学部(4技能)
・文学部(一般&4技能)
・文学部(一般&共テ)
・文化構想学部(一般&4技能)
・文化構想学部(一般&共テ)


2. 各方式の受験者平均点・合格最低点

次に、各入試方式における受験者平均点と合格最低点についてご紹介します。以下では、英語4技能テスト利用方式が導入された2017年以降のデータを掲載にしています。各方式では、試験科目や配点はもちろん、受験者の平均点や合格最低点も方式ごとに違います。


3. 受験者平均点・合格最低点毎の比較

3-1. 各得点・受験者レベルは「共テ>4技能>一般」の傾向

上記のデータを基に、各科目における受験者平均点と合格最低点の比較を行いました。傾向として、得点は「共テ > 4技能 > 一般」の順で高くなっています。例えば、英語の場合、同一の問題で一般選抜と共通テスト利用方式では約4点(5%)の差が生じています。この「共テ > 4技能 > 一般」の傾向は全科目に当てはまり、得点の高さはそのまま各入試方式における受験者レベルの高さを示していると言えます。

共通テスト利用方式の得点が最も高い理由
共通テスト利用方式の得点が最も高い理由として、主に国公立大学を志望する受験生が多く受験する点が挙げられます。さらに、選択科目の共通テストのボーダーが90-95%と非常に高いため、この水準の得点を獲得できた受験生が出願していることが理由の一つです。そのため、共通テスト利用方式の受験者は全体的にレベルが高いと予想されます。

英語4技能テスト利用方式の方が一般選抜よりも高い理由
また、英語4技能テスト利用方式の方が一般選抜よりも全体的に得点が高い傾向があります。英語4技能テスト利用方式では、出願資格として英検スコア2200以上が求められるため、少なくとも英検2級のハイスコアレベルの英語力を持つ受験生が対象となります。このような受験生は、英語に限らず、国語や選択科目においても一般選抜の受験者より高い学力を持っていることが予想されます。一方、一般選抜は出願資格がなく、誰でも受験することができるため、全方式の中で最も受験者のレベルが相対的に低くなる傾向があります。


3-2. 文学部の受験者平均点・合格最低点比較データ


3-2. 文化構想学部の受験者平均点・合格最低点比較データ


4. 文学部・文化構想学部の出願戦略

文学部・文化構想学部は、早稲田大学の中でも人気が高く、合格難易度も非常に高い学部です。特に、慶應義塾大学の文学部よりも入試難易度が高く、人気も上回っています。そのため、私立文系の中で最難関の文学部系統であり、戦略的な対策が求められます。


戦略1:「文学部」&「文化構想学部」を併願

英語の対策を個別に行う必要がない
1つ目の戦略は、「文学部」と「文化構想学部」を併願することです。これらの学部は英語の出題形式が全く同一であるため、英語の対策を個別に行う必要がなく、最も負荷の大きい英語対策を1つで済ませられるのは大きな利点です。

文学部・文化構想学部(一般)の併願率
文学部(一般)と文化構想学部(一般)の併願率は約70%と、それほど高くありません。文化構想学部の試験日である2月12日は、立教大学(文系)や法政大学多摩キャンパス(経済・社会・スポーツ健康)などMARCHの試験日とも重なりますが、文学部・文化構想学部を第1志望とする場合、文化構想学部の受験が基本的な選択肢となります。


戦略2:「一般」&「4技能」を併願

2つ目の戦略は「一般」と「4技能」を併願することです。前述の通り、4技能の出願資格は英検スコア2200(2級ハイスコア)であるため、比較的簡単に条件を満たすことができます。文学部・文化構想学部を第1志望とする方は、4技能に出願する目的のためだけにスコア2200を取得する価値があると言っても過言ではありません。また、2級ではなく準1級(スコア2304以上)を取得できれば、立教大学の共通テスト利用入試では英語が85%以上、上智大学の共通テスト利用入試で英語が90%に換算されるため、私立文系の入試戦略として大きなメリットがあります。したがって、準1級合格を目指しつつ、文学部・文化構想学部の4技能の出願資格であるスコア2200を満たすことを目標にするのが良いでしょう。

一般&4技能併願によるリスクヘッジ
「一般」と「4技能」を併願することで、英語が失敗した場合のリスクをヘッジできます。例えば、一般入試で合格するには、英語・国語・選択科目の3科目で受験者平均点+20%を得る必要があり、いずれか1科目でもその基準を下回ると合格は難しくなります。しかし、4技能を併願していれば、仮に英語で失敗しても、国語と選択科目の2科目が合格点を超えていれば合格が可能です。実際、試験本番で英語の成績が振るわず一般では不合格となったものの、4技能で合格するケースもあります。4技能は一般入試に比べ、国語が生命線となるため、国語が得意な場合は4技能を併願することが有利です。

一般&4技能の併願率
一般と4技能の併願率については、以下のデータが参考になります。文学部(4技能)志願者に占める文学部(一般)の併願者の割合は85.1%ですが、逆に文学部(一般)志願者に占める文学部(4技能)の併願者の割合は26.1%と低くなります。つまり、一般の受験生の約4人に1人しかスコア2200以上を持っていないことがわかります。このことから、一般の方が4技能よりも受験者のレベルが相対的に低いと予測され、実際に合格最低点も低いです。しかし、上述の通り、英語が免除となるため、国語が得意な生徒には4技能の方が合格しやすい可能性があります。


結論:文学部(一般&4技能)+文化構想学部(一般&4技能)の計4方式を受験

私立文系専願者で文学部・文化構想学部を受験する場合、最適な戦略は「文学部(一般&4技能)+文化構想学部(一般&4技能)の計4方式」を受験することです。これにより、合格の可能性を最大限に高めることができます。国立大学を志望する受験生は、共通テスト利用方式を含めた全3方式を併願することが最適です。複数方式を受験することにはデメリットがないため、可能な限り複数の方式に出願することを基本戦略とすることをおすすめします。


おわりに

この記事では、各入試方式の特徴や併願の重要性、受験者平均点・合格最低点の傾向について詳しく解説しました。早稲田大学文学部・文化構想学部への合格を目指す上では、戦略的な出願と対策が不可欠です。

入試は単に学力だけでなく、適切な情報と戦略的な計画が成功を左右します。この記事が、皆さんにとって早稲田大学合格の一助となれば幸いです。


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