早稲田合格へのロードマップ【STEP2:現在地と目標とのギャップを把握する】
はじめに
この記事では、「早稲田合格へのロードマップ」【STEP2:現在地と目標のギャップを把握する】について解説します。前回の記事はこちらです。
STEP2の概要
第1志望学部の最新年度の過去問を解き、現在の学力と目標とのギャップを把握します。受験者平均点や合格最低点と比較することで、合格に必要な得点を明確にイメージします。
1. 第1志望学部の最新年度の過去問を解く
1-1. 過去問を解く意義を理解する
早稲田大学を目指すうえで、最も信頼できるツールは「早稲田の過去問」です。学校で受験する共通テスト模試や記述模試の得点はあくまで目安に過ぎず、最終的に2月本番の早稲田大学の入試問題で合格最低点を1点でも超えることができれば、早稲田に合格することが可能です。単純に聞こえるかもしれませんが、この事実をしっかりと理解している受験生は多くありません。
早稲田を目指す受験生が最初に行うべきことは、早稲田の過去問に挑戦することです。この段階での目的は、良い点数を取ることではなく、本番と同じ条件で解くことで、入試問題の難易度やレベルを体感することにあります。現在では、インターネットやYouTubeなどで早稲田大学の過去問に関する情報を得ることができますが、実際に解いてみる体験とは大きく異なります。まずは過去問に取り組み、自分の現状の点数が早稲田受験生の中でどの位置にあるかを把握しましょう。そして、この得点を受験勉強の指標として活用してください。
ここでは、最初に第1志望学部の最新年度の過去問を全教科解いてみます。必ずしも最新年度である必要はありませんが、過去3年以内のものを使用するのが望ましいです。特に、商学部や教育学部では英語の難易度が毎年変化しているため、できる限り最新年度のものを使用しましょう。
1-2. 過去問を入手する
過去問を入手する方法は主に2つあります。
方法①:赤本 or 青本を購入する
早稲田の場合は、赤本(教学社)に加え、一部学部では青本(駿台)が出版されています。青本のほうが解説が詳細ですが、収録年度数が少なく、刊行時期が遅いため、こだわらなければ赤本でも問題ありません。
方法②:「東進過去問データベース」で入手する
「東進過去問データベース」では、早稲田以外にもMARCHや成成明学など他大学の過去問を無料で印刷できるため、登録をおすすめします。
1-3. 第1志望学部の最新年度の過去問を解いてみる
過去問を入手したら、第1志望学部の最新年度の過去問を解いてみましょう。その際は、以下のルールに沿います。
過去問を解く際のルール
制限時間は実際の試験時間に従います。
英語:90分 / 国語:90分(一部学部は60分) / 選択科目:60分解き終わらなかった場合は延長しても構いません。ただし、制限時間内に解き終えた部分に印をつけ、制限時間内と延長時間で解いた部分を区別できるようにします。
選択科目の範囲が未履修の場合、この時点で解かなくても構いませんが、最終的には3教科の合計点を算出し、合格最低点と比較するため、可能な限り解いてみてください。
2. 採点・得点の算出を行う
過去問を3教科分解き終わったら、次は採点と得点の算出に移りましょう。早稲田大学では特有の得点調整が行われるため、計算が少し複雑に感じるかもしれませんが、順を追って進めていけば問題ありません。ここでは、商学部2024年度(地歴・公民型)の過去問を解いたという仮定で説明します。各学部のデータについては、下記の情報を参照してください。
※教育学部は受験者平均点を公開していない都合上、得点調整の計算が不可能のため、得点ランクの設定を行っていません。①~④のプロセスのみを行い、各科目の素点の合計点を算出してください。
① 採点する
3教科すべて解き終わったら、解答を確認して採点を行います。「記号問題」、用語の記述問題や抜き出し問題など正解が明確な「記述問題」は○×を付けます。自由英作文や要約問題など正解が不明確な「論述問題」は採点対象から省くか、自分の判断で○×を付けてください。
② 「問題数」と「正答数」を数える
採点が終了したら、各教科の「問題数」と「正答数」を数えます。早稲田大学では、各設問の配点が公表されていないため、各教科の問題数と正答数をカウントし、仮の得点を算出する必要があります。ここでは、シンプルに「記号問題」「記述問題」「論述問題」いずれも1問として計算します(論述問題は採点対象から省いても構いません)。
③ 各教科の「得点率」を算出する
次に、「得点率」を算出します。得点率は以下の式で求められます。
上の式に①で求めた「問題数」と「正答数」を当てはめ、「得点率」を算出します。
④ 各教科の「素点」を算出する
次に、③で算出した得点率を各学部の満点(配点)と対応させ、各学部の満点における「素点」を算出します。
各教科の満点は以下を参照してください。商学部の場合、英語80点、国語60点、選択科目60点です。
⑤ 各教科の「調整後の得点」を算出する
次に、④で求めた素点を「調整後の得点」に変換します。早稲田大学では、全教科に得点調整が適用されるため、元々の「素点」と「調整後の得点」に乖離が生まれます。合否判定はこの「調整後の得点」の合計点に基づくため、素点だけでなく、「調整後の得点」を把握することが重要です。「調整後の得点」を求めるにあたっては、④で算出した「素点」に加え、各教科の「受験者平均点」と「満点」の3つの情報が必要となります。
次に、以下の式を用いて、各教科の「調整後の得点」を求めます。計算にあたっては、「満点の半分」である点に注意してください。
⑥ 「合計点」を算出する
次に、⑤で求めた「調整後の得点」を足して、「合計点」を算出します。この時、合計点の得点率(%)も同時に算出しておきます。商学部(地歴・公民型)の場合、合計点の満点は200点です。
これで、「各教科の得点(素点)」と「合計点(調整後の得点)」を求めることができました。
⑦ 自分の「得点ランク」を確認する
次に、自分の各教科の「得点(素点)」と「合計点(調整後の得点)」のランクを確認し、自分の得点が早稲田受験生の中でどの位置に属するのかを把握します。この「得点ランク」の概念については、以下の記事で詳述しています。
では、今回解いた学部・年度の過去問の得点ランクを参照し、自分のランクを確認してみましょう。
今回の例では、英語の得点が「34.9(43.6%)」のため、ランクC以上・B未満となります。この場合、ランクBに達していないため、英語は「ランクC」となります。
以上の流れで、英語・国語・選択科目・合計点の4つの要素について、「得点ランク」を確認しましょう。ランクEの基準を下回っている場合は、ランクEとします。今回の例では、次の通りになりました。
英語と国語は【C】(受験者平均点+5%)と早稲田受験者の中で中位レベルでした。早稲田合格には最低でも【B】(受験者平均点+10%)以上が必要であるため、早稲田合格レベルには達していませんが、初めて解いた過去問としては十分なレベルです。他方、日本史は【E】と早稲田受験者の中で下位レベルでした。
早稲田では、受験者平均点を下回った場合、得点調整により大幅に得点が下降します。今回は日本史が受験者平均点を下回っていますので、英語と国語が【C】にもかかわらず、合計点は【E】(合格最低点-15%)となりました。
このように、早稲田合格のためには、3教科すべてで受験者平均点を超えることが必須条件です。また、受験者平均点を超えるだけでなく、得点調整の下降補正を最小限に抑えるために、受験者平均点を大きく上回ることが求められます。
⑧ 早稲田合格者の得点ランクを把握する
次に、早稲田合格者の得点ランクを把握します。早稲田合格者と一口に言っても、その得点帯には幅があります。ここでは、早稲田合格者を得点帯別に3つのパターン(上位層・中位層・下位層)に分類しました。同じ問題に対して早稲田合格者がどの程度の得点を取るのかを確認し、早稲田合格に必要なレベル感を認識しましょう。
早稲田合格を目指す受験生にとって、目標として適切なのは「中位層」の得点帯です。この中位層の得点帯は、早稲田合格に必要十分であり、かつ現実的に達成可能な範囲です。
もちろん、可能であれば上位層を目指しましょう。上位層を目標にすることで、自分の力を最大限に引き出し、合格の可能性をより確実なものにすることができます。上位層を目指すという高い目標を掲げることで、日々の勉強においてもモチベーションを維持しやすくなり、結果的に学習の質が向上することが期待できます。
一方で、下位層は早稲田にギリギリ合格する層であるため、この得点帯を目標にすると、合格ラインに達しないリスクもあります。特に、受験は一発勝負であり、試験当日の体調やメンタル状態、問題の相性など、予測できない要因が結果に影響を及ぼす可能性があります。下位層を目標にすることで、試験当日に少しでも実力を発揮できなかった場合、不合格になるリスクが高まります。
そのため、目標を設定する際は、下位層の得点帯を「最低限クリアすべきライン」として捉え、あくまでも中位層や上位層を目指して勉強を進めることが安全策です。より高い得点を目指すことで、少しのミスや予測できない状況にも柔軟に対応できる余裕を持つことができ、合格の可能性を確実なものにすることができます。
おわりに
この記事では、早稲田大学合格に向けた第一歩として、過去問を解くことの重要性と、その結果から得られる自己評価の方法について詳しく解説しました。受験勉強の初期段階で自分の現在地を正確に把握し、目指すべき目標とのギャップを確認することは、合格までの道のりを見定めるために欠かせません。
過去問を解いた結果が期待通りでなかったとしても、落ち込む必要はありません。この記事で解説したように、初めて解く過去問はあくまで現状を把握するためのものです。早稲田合格という目標に向けて、どのように学力を伸ばし、次に進むべきステップを計画するかが重要です。
受験勉強は決して一朝一夕で結果が出るものではありません。大切なのは、冷静に自分を見つめ直し、努力を積み重ねていくことです。過去問の結果から得た教訓を元に、自分の弱点を克服し、強みをさらに伸ばしていくことが、最終的に合格への道を切り開きます。
次の【STEP3:早稲田合格に向けた受験戦略を策定する】では、自分の現在地と目標とのギャップを埋めるために、どのような具体的な戦略を立てる必要があるのか、その方法についてお伝えします。目標達成に向けて、引き続き頑張っていきましょう。
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