【声劇台本】星凪キリカの黒歴史冒険譚
ここは、グランテルと呼ばれる世界
かつて最強とうたわれていた魔族王グレズと黒騎士王ディストは、
決着をつけるため戦いを始めようとしていた。
そこに、天空から光が降り注ぎ、星瞳(せいどう)の女神が降臨する
コメディファンタジーです
語尾変更などは可
展開を崩さない程度のアドリブであればOK
楽しんでいただければ幸いです
性別不問
キャライラストはNovelAIで作成
キャラ紹介
キリカ 女
グレズ 男
本名 グレズ=グリード
元魔族王。
男
不良系で血を好む
とげとげしいサメ歯が生えている最強の魔族
ディスト 男
本名 ディスト=R=ジェノサイド
元黒騎士王
クール系で少し上から目線
メガネと長髪が似合う最強剣士
ヒデじい様の
声劇台本置き場にも置いてあります
シナリオ本文
グレズ:よう、メガネ
グレズ:相変わらずそのいけすかねえクール顔は健在だな
ディスト:ディストだ。名をいい加減に覚えろ。サメ歯
グレズ:キッハハハハ!! 今日こそ、てめえと決着をつける時だぜ。元黒騎士王
ディスト:強がっているぞ、元魔族王。それに戦わずとも、勝敗などとっくのとうについている
グレズ:オイオイ! 前にてめえとやりあった時はボロボロだったの覚えてねえか? それともあんまりにも恥ずかしいから忘れちまったか?
ディスト:残念ながら、その前の前は、俺に完敗していたな
グレズ:あ?前の前なんて覚えてねえよ。俺の勝ちでいいだろ
ディスト:勝手に勝ちにするな
グレズ:めんどくせえ! どっちが真に強いか! 今日がそれを決める時だ! ……そろそろ、命が消えるくらい、互いに本気出そうぜ? 黒騎士王?
ディスト:感情に身を任せるな。なぜ、魔族が我ら黒騎士の一族に勝てなかったか? その理由は、お前が今発している、好戦的な感情だ
グレズ:キッハハハハハ!!!! 残念だなぁ!! それが魔族の醍醐味だってのによぉ!! だが忘れてねえか?
グレズ:元来、人間は自分達より強い生物に淘汰されてきた。それこそ黒騎士の一族なんていない時代の、もっと昔の話だ。……残念だが、語るには歴史が浅いんだよ……!
ディスト:その浅い歴史も、今日を持って深く切り刻もう
ディスト:……?
0:ふとディストは空を見上げた
グレズ:おい、隙だらけだぞ?
ディスト:……
グレズ:ナメてんのかてめえ!?
ディスト:なぁ
グレズ:あ? んだよ?
ディスト:お前、宗教は?
グレズ:んなもん信じねえよ
ディスト:星瞳(せいどう)の女神の存在は、信じるか?
グレズ:何かと思えば、世界の創造神くらい知ってるけど、俺はおとぎ話はしんじえねえんだよ
ディスト:女神が舞い降りる時は、空が割れるというそうだ
グレズ:あ? ……って!?
0:グレズの見上げた先、空が二つに割れ、大きな光が現れている
グレズ:なんだありゃ…
0:そのあと、一直線に柱が地上に突き刺さり、ディストとグレズの前に落ちた
0:瞬間、土埃が舞い上がる
ディスト:!?
グレズ:おおっ!? なんだ、何が出てきやがった?!
ディスト:……あれは……女
0:視界が開けてくる
0:そこに見えてきたのは、一人の女
0:変わった服を着た少女はあおむけの状態、気を失っている様子だった
グレズ:なんだこいつ?
ディスト:神に向かってよく平気な口を利けるものだ。恥をしれ
グレズ:は? というかこいつ、神か? 神確定なんか?
ディスト:いや、しらん
グレズ:なんじゃそりゃ
キリカ:……んん……ん
グレズ:おい、目ぇ覚ましたぞ
ディスト:教えと実際で見るのとは、わけが違うな
ディスト:女神といえば、巨大な女の姿をしていると思っていたが、まさか等身大とは
グレズ:ただのクソガキじゃねえか。お前、ガセネタつかまされてんじゃねーの?
ディスト:神の信仰歴なめるなよ?
ディスト:何なら信仰の強さで決着をつけてもいい
グレズ:いや、やらねえから
グレズ:にしてもこいつ、ずっと気絶してっけど、死んでるんじゃね? 喰うか?
ディスト:こんなにも綺麗なお顔をされているのだ……。何をくだらないことを……
キリカ:……?
キリカ:……こ、ここは?
グレズ:おい、目ぇ覚ましたぞ
ディスト:おお、麗しき星の瞳、これこそ女神か……
キリカ:誰、あんたら?
ディスト:……口が悪いな
ディスト:コホン……失礼。女神様、私の名は、ディスト=R=ジェノサイド。貴方が天空にいる間、黒騎士王をつとめておりました
グレズ:元、だろ? 盛るなよメガネ。
グレズ:俺は、グレズ。グレズ=グリード……人間を貪る魔族の王だ!!
ディスト:元をつけろサメ歯。お前こそ盛るな
キリカ:……え?
キリカ:え……え?
ディスト:おい、お前のせいで困っているじゃないか
グレズ:先に経歴詐称したのはてめえだろ!!
グレズ:そんなに女神大好きなら助けてやれよ! 俺は興味ねえ!
ディスト:……女神様。時として、なぜそなたは天空から……
キリカ:ちょ、ちょちょちょ!! ちょっと待って!!
グレズ:うっせえ女神だな
キリカ:……あなた、グレズっていった?
グレズ:? ……へぇ。なんとまぁ、女神さまが魔族の王たる俺の名前を知ってるとはな!
グレズ:天空で血の争いでも見物してたか? いい趣味してるぜ! キッハハハハハ!
キリカ:!!
キリカ:……そっちは、ディスト?
ディスト:おっしゃる通りです
キリカ:……嘘、でしょ……
キリカ:……ねぇ、もしかして
キリカ:……こ、こ、こ。ここって、まさか……「グランテル」?
グレズ:てめえ自分の国も知らねえのかよ
ディスト:ありえない……。これは、記憶の混乱が……
グレズ:やっぱガセだろ。こいつ偽物だ
キリカ:あ……あああああ
キリカ:……ここって、やっぱり!
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0:
0:
キリカ:あたしが作った世界じゃないのよおおおおおお!
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0:時を戻し!
0:キリカが死ぬ前のこと!
キリカ:さて、大晦日だし、とっとと部屋を片付けますか
キリカ:ふんふんふーん。……あら?
キリカ:……うわ……。これ
キリカ:懐かしいというか……嫌なもの思い出した
キリカ:あたしが中学2年生の時に書いていた黒歴史ノート
キリカ:うっ、思い出すだけで嫌になるわ……。もうこんなもの捨てましょ、うん
キリカ:よし、ゴミ袋に包んでっと
キリカ:そういえば今日ゴミ回収の日だし、そのまま捨ててこよーっと
0:
キリカ:これで、やっと! 過去とおさらばできるわね。まさかまだこれが残っているとは思っていなかったわ
キリカ:……自分が女神だと勘違いして、ノートの中の自分を演じて、中学校の時はそれこそ……あー無理思い出したくない
キリカ:……?
キリカ:え、待って、トラッ…
0:キリカはトラックにはねられた!
0:キリカは目の前が真っ暗になった!
キリカ:(うっそ……あたし……の人生……ここで、おわ……り?)
0:
0:キリカが女神として、異世界転生し、一か月後
0:
グレズ:……はー
ディスト:……
グレズ:……だああああ!
キリカ:うっさ。耳割れるんですけど?
グレズ:つまらねえ!!
キリカ:当たり前よ。鍵探しなんて、地味なものだから
ディスト:と、……この女は言っているぞ
グレズ:くっそつまらねえ……戦いに飢えて仕方ねえぜ
キリカ:そこらの雑草でも狩っときなさい
ディスト:と、いうことらしい
キリカ:ディスト……あんたさ、他人事みたいな態度でいるけど
キリカ:一応、あなたもグレズと同じ、私の「管理下」にあるの、忘れてない? そこまで馬鹿じゃないよわね?
ディスト:……全く持って口の悪い女だ
ディスト:まさか、女神様がこんな可愛げのない奴だったとは……神々しいもへったくれもない……俺の女神像を返してくれ
キリカ:なんかいったかしら?
ディスト:貴様はやはり、ここで斬るしかない……!
ディスト:永遠の暗黒へ葬り去れ!!
キリカ:ホーリーテンペストー(だるそうにいう)
0:キリカが適当に手をかざすと、ディストは簡単に吹き飛ばされた
ディスト:ごふぅー-----!?
グレズ:……キッハハハ……馬鹿だなぁディスト。そういう時はもっと狡猾にいかねぇとよぉ……!
キリカ:いやあんたも馬鹿だから
グレズ:んだとクソ女!!! コロス!!!
キリカ:はい、ホーリーテンペストー(だるそうに言う)
グレズ:あぐァー-----!?
キリカ:……もうほんとやだもう、なんで自分が設定した技を自分が作った痛いキャラにあてなきゃいけないのよ!!
キリカ:なんなのよこれぇ!!! どういう異世界転生よ!!!!
キリカ:転生するならもっとまっとうなファンタジー世界が良かったのにいいいいいい!!
キリカ:あー--もうやだー--!!!!
キリカ:(しばらくでかい声で泣く)
ディスト:神聖さの欠片もない泣き方をしおって……
グレズ:もう置いてこうぜ
キリカ:変な言葉が聞こえたわねぇ!!
グレズ:い、いやぁー。何もいってねえけど! あ! 雑草がなんか喋ってたんじゃねえか?!
キリカ:うわ、つまんな
ディスト:雑草が喋るわけないだろ
グレズ:素直につっこむな!
グレズ:……チッ。てめえがこのわけのわからねえ呪縛魔法をかけなかったら、今頃ミンチにしてやるってのによ……
キリカ:あーはいはいミンチねー。かっこいーかっこいー
グレズ:このクソアマぁ……!!
ディスト:辞めろグレズ……落ち着け。気持ちはわかる
ディスト:だが、今はこの女に従うしかない……この腕につけられた魔法が解けるまでは、手を組むしかないのだ
グレズ:まさかあれだけ血を争ってたテメエと組むことになるとはな……
キリカ:ま、別にどうとでもできないけどねー。あたし女神だし……。っておおおうぇ……自分で女神っていうのも恥ずかしい
0:
キリカ:(この世界から出られる方法は1つ……。確か、あたしが設定していた「天空の鍵」を見つけること。それを使ったら世界のことわりから出られるとかなんとか書いてたっけ……?そんな気がするような……)
キリカ:(まぁそれで戻れるとは限らないけど……少なくともこんなクソイタイ世界から抜け出せる可能性があるなら、よっっっっっぽどそれのほうがましよ!)
キリカ:(はぁ、ほんとに何なのよもう……何であたしはイタイ創作キャラ二人と旅しなきゃいけないのよぉぉぉ!!!)
ディスト:頭を抱えている。今だ
グレズ:隙ありじゃああああ!!
キリカ:うっさい! ホーリーテンペストォォォ!
0:(ディストとグレズは吹き飛ばされた)
キリカ:……はぁ。あんたらさ。分かってると思うけど
キリカ:もし変な事したら、あたしのこの力でぶっ飛ばすから……ってもうこの力って発言自体がくっそサムイのよぉぉぉ!!
グレズ:たまにさっぱり、わけわかんねえ事をいいやがる
ディスト:神の言葉は理解できん。俺たち生物はそれに従うしかないのかもな
グレズ:それっぽくまとめてんじゃねえよ
キリカ:(とにかく、この二人を散々に、ボロ雑巾のように使って、この世界から抜けてやるわ……!!)
キリカ:(……でも、この二人……)
0:キリカはふと、二人の顔を見やった
ディスト:なんだ? 顔が赤いぞ
グレズ:気持ちワリィ
キリカ:(我ながら思うけど……二人とも……イケメンよね)
キリカ:(衣装のデザインは……あたしが思っている以上に良い感じ……ディストのメガネとロングへアが性癖(せいへき)になってて……グレズのサメ肌と切れ味の鋭い目がまたそそる……)
キリカ:(ってダメダメダメ!! 駄目よあたし! 何自分が作ったキャラに見とれてんのよ! キモッ!!)
キリカ:はぁ……ほんと最悪
ディスト:最悪なのはこっちだがな
グレズ:そいつは同感
キリカ:口が絶えないわねぇ……。黒騎士王だろうが、魔族王だろうが、私の呪縛(じゅばく)魔法の前では無駄なの
キリカ:あんたらは、私が、ここから抜けるために使う、こ・ま。わかる?
グレズ:一生分かりたくねぇ
ディスト:女神に駒にされるのは……悪くはないが、お前のような小娘はごめんだな
グレズ:Mかお前
ディスト:その神々しさを想像するたびに、俺は信仰心を胸に灯し、黒騎士王としての力を発揮することができたのだ
キリカ:あ、そういえばそんな設定仕込んでたっけ……でもキモイわ、うん無理。流石に。
ディスト:絶対に化けの皮をはがしてやる……小童め
キリカ:はぁ、ディスト、グレズ。少し疲れたわ。
キリカ:休めるところ探して
グレズ:お前が探せよ
キリカ:あのさ、一応あたし、神なんですけど?
ディスト:しらん
キリカ:テンペスト撃たれたいの?
ディスト:撃たれたくはない
グレズ:チィ……何でも強硬手段使いやがって……下手したら魔族よりタチが悪いぜこいつは……
ディスト:……そうだ。待て、グレズ
グレズ:? んだよ
ディスト:これはチャンスだ……聞け。奴の寝込みを……ゴニヨゴニョ(声を小さく)
グレズ:ふむふむ、なるほど、休んでる間にってか……
グレズ:闇討ちも嫌いじゃねえ。いいぜ。よし、そうとなりゃ……。
0:
グレズ:……おい女神! あっちに休めそうな場所があるぜ!
キリカ:どこよ?
ディスト:あそこだ
キリカ:へー。確かに。案外あんたらも役に立つわねー!
0:
キリカ:……はー。ここの草の感じ、気持ちいい! いいわね。気に入った!
ディスト:我ら黒騎士の軍団も、長い旅路はこういった場所で休息をとったものだ。まぁその間にどんな敵がこようとも、この俺にかかれば一網打尽であったがな
キリカ:自慢話おつ~。あ、眠たくなってきた……。
キリカ:あたし、ちょっと寝るわ
キリカ:……でも
ディスト:なんだ?
キリカ:胸揉んだらぶっころすから
グレズ:興味ねえよクソガキ
キリカ:……それも腹立つわね。まぁいいわ
キリカ:じゃ、お休みー……スヤァ
0:
グレズ:……寝たか?
ディスト:……寝たようだな
グレズ:……キッハハハ
グレズ:残念だな女神ちゃん。てめえの胸揉むどころか、命をここで狩ってやらあ
ディスト:好機は今しかない。ここでしとめる
ディスト:こんな尻の青い、口から毒を出すような女神など、信じられん。野蛮な猿だ。
グレズ:ただ人肉としては、価値がありそうじゃねえか?
グレズ:意外とこいつ、美人だろ? 美人はうめえらしいぜ? 知ってるか?
ディスト:お前のグルメ事情に興味はない
グレズ:魔族の中では常識なんだがなぁ~
ディスト:俺の女神の常識は……覆されつつあるがな
グレズ:あー。そいつは……お疲れさん。知らんけど
ディスト:ただそれも、この小娘の存在を消し去れば終わること。
グレズ:よし、行くぜ
ディスト:ああ
グレズ:……死ねやァ!!クソアマ!
ディスト:消えろ!偽りの女神よ!
0:キリカに攻撃を加えようとした瞬間、バリアのようなものが張られ
グレズ:は!? なんだこりゃ!?
ディスト:守護魔法!?
0:それに触れた瞬間、全身に大きな衝撃が走る
0:再び吹き飛ばされた
グレズ:ギャアアアアア!!!
ディスト:ぐおおおおおお!!
キリカ:……だから言ったでしょ。触れるなって
グレズ:テメエ、起きてやがったのか……
ディスト:……なんという、ダメージだ。たかが防護壁でこのような威力とは
キリカ:あ。一応このバリア、攻撃強めで行くほど跳ね返されるから、気をつけてねー
キリカ:(ってあたしの作った設定なんですけどね! 我ながら張っててよかったものの、ただ恥ずかしいだけじゃないのよおおおおお!)
キリカ:さ、旅の再開。とっとと探すわよー
0:
グレズ:つーかよ
ディスト:ん?
グレズ:俺たちフツーに歩いてばっかだけど
ディスト:ああ
グレズ:鍵なんてどこにあんだよ
ディスト:歩いていて見つかるなら、苦労しないな
キリカ:あぁー、言われてみれば確かに! そうね!
グレズ:おい! 主犯者!!
キリカ:は? 何よ?
ディスト:言ってはならんことをいいおった
ディスト:てっきり知っているものだと思っていたぞ
キリカ:何を?
ディスト:鍵のありかだ
キリカ:はぁ? 知ってるわけないでしょ。
ディスト:……やはり切り伏せておくべきか……小童めが……
キリカ:だってわかんないしー。歩いてたら見つかるかなーとか、適当に考えてたわ
グレズ:適当に探して見つかるわけねえだろ!!
ディスト:俺たち、この女神に拘束魔法をかけられた挙句、ただ歩かされていただけとは……今まで何だったのだ
キリカ:だってわからないんだもーん!!!
ディスト:都合よくダダをこねるんじゃない
キリカ:うーん。でもヒントになりそうなものって……何かあるかしら
キリカ:……あ! 思い出した!
グレズ:何かわかったか!?
キリカ:守護兵器よ!
グレズ:守護兵器?
ディスト:そいつが鍵を持っているということか?
キリカ:そう、ね。まぁその……あたしの従えてる守護兵器というか
ディスト:お前が呼び出せばいいだろう。冥府の底から、地獄の英霊を呼び出すくらい、俺でもわけないぞ
キリカ:次から次へと設定を口から出さないで恥ずかしい!
キリカ:呼び出すなんて設定はしてないのよ! でもまあぁデカイし、特徴ある奴だったから、きっとすぐ見つかるでしょ?
ディスト:本当につくづく、俺の女神イメージが壊れていく……まともな考えを持っていない
キリカ:ディストくーん、なにかいったかなー?
ディスト:気のせいだ、気のせい。……ん?
ディスト:……なんだあれは……ゴーレムか……?
グレズ:見かけねえ図体してんな、あいつ
ディスト:お前にも分からんのか?
グレズ:ゴーレムはちっと専門外だ
キリカ:あれは!! イェゴウル!!
ディスト:……もしや、あいつが先ほどの話に出ていた
キリカ:ええ……鍵の持ち主よ
キリカ:「天空の鍵」は、何処の誰かに渡らないようように、強力な守護兵……そう、ゴーレムに守らせてるの
キリカ:普通の人間や生物では太刀打ちできない……そういう仕様ってわけ
ディスト:神の力で何とかならないのか。お前が従えてるんだろ?
キリカ:無理よ
ディスト:無敵のホーリーテンペストでもか?
グレズ:そうだ、それ使えよ
キリカ:あんたら、戦闘前に一発くらいたいのかしら?
ディスト:……本当に、どうにもならないということか
キリカ:イェゴウルは、女神の攻撃を受付けない設定にしている完全自立型戦闘ゴーレム……神が自ら手出しできないようにしているのよ。それは神が世界に関与するっていうことだから……
キリカ:……ってなんであたしこんなにすらすら言えちゃうのかしらあああああああああああああああああ!! もういやあああああああああああああ!!!
グレズ:うるせええええええ!!
グレズ:とにかくあいつを倒したら、てめえは神の世界とやらに帰れるってわけだろ!?
ディスト:目の前の敵を倒す。やることはシンプルだ
キリカ:そういう事よ……。そしてこのイタイ世界とはおさらばする!
キリカ:よし! グレズ! ディスト! あたしのために全身全霊、その身を削ってもあいつを倒しなさい!
グレズ:命令すんじゃねえ!
ディスト:おい、来るぞ
0:イェゴウルは一気に距離を詰めてきた
グレズ:おぉー、でかい図体して、はえーな
グレズ:でもそうやられねえんだわ、これが
0:グレズはすぐにイェゴウルの攻撃を回避し、瞬間、数発の拳と蹴りを打ち込む
0:イェゴウルはその攻撃を受け、ぐっと後ろに下がった
グレズ:ぬりぃぜ。てめえレベルの敵なんざ、ごまんと戦ってきてんだ
0:グレズはそのまま、両手から、紫と赤が混ざったような、まがまがしい爪のようなものが現れた
グレズ:斬りがけろ!
グレズ:魔血混沌!(まけつこんとん!)殺虐王刃閃(さつぎゃくおうじんせん!)
キリカ:あぁあぁぁそんな設定あったぁぁぁー!
0:グレズの必殺技を前面から受けるイェゴウルだったが、まだ倒れない
グレズ:おお、耐えるねぇ~
ディスト:どけ
グレズ:あ? 交代ってか?
ディスト:見学はつまらん
グレズ:気が合うな! んじゃ、たんまりやれや
0:ディストは静かに、懐の剣を取り出し、ゆったりと構える
0:だんだんと、ディストの周りに黒いオーラがたちこみ、それが一気に剣へ集約される
ディスト:煉獄(れんごく)へいざなえ
ディスト:黒魔統一(こくまとういつ)滅連王剣撃(めつれんおうけんげき)
キリカ:うわあああぁぁぁ! ノートに書いたまんまじゃないのよぉぉ!!
0:ディストの剣戟がイェゴウルにあたる
0:しかし、まだイェゴウルは倒れない
キリカ:は、早く倒しなさいよ! あんたら一応最強でしょ!?
グレズ:ゴーレム作ったのはてめえだろ!? 他人事かよ!
ディスト:このゴーレム、やるな。女神製とだけあって、只者ではない
グレズ:なら、同時に挟み撃ちだ それなら行けるだろ
ディスト:ふっ、お前と協力か
グレズ:な、クソみてえな案だろ?
0:ディストとグレズは、イェゴウルの右と左側にそれぞれわかれた
グレズ:魔血混沌!(まけつこんとん!)
ディスト:黒魔統一(こくまとういつ)
グレズ:殺虐王刃閃!(さつぎゃくおうじんせん!)
ディスト:滅連王剣撃(めつれんおうけんげき)
0:二人の技が、イェゴウルの身体を貫く
0:耐えられず、イェゴウルは倒れ、その大きな巨体を大地に落とした
0:落ちた衝撃で、少し地面が揺れた
キリカ:やったわ!
グレズ:……なかなか楽しかったぜ、イェゴウル
ディスト:敗者に言葉をかけるとはな
グレズ:強いやつには敬意を。それが魔族王の掟だ
ディスト:なるほど、誇りだけは別、ということか
0:手には「鍵」を持っている
グレズ:あ、これじゃね?
ディスト:随分と小さいな……
キリカ:あっ……間違いない、これよ! これこそ天空の鍵!!
0:キリカは宝物を見つけたような顔をする
ディスト:瞳がより一層、きらびやかに輝いているな
グレズ:ふぃー。しっかしこれで、自由になれるぜ……!
キリカ:私は……帰れる! 帰れるわぁ!
キリカ:これを使えば……
キリカ:……って、あれ?
0:鍵を手に持つと、突然ひびが入り、粉々になった
キリカ:あ……あ…あ。…ああー-っ!
グレズ:おい、壊れちまったぞ
ディスト:まさか偽物の鍵、ということか?
キリカ:……あっ
キリカ:そうだ……思い出したわ
キリカ:イェゴウルは天界のガーディアンの一体
キリカ:ただそれは、「一体」っていうだけで
キリカ:まだそれが、他にもいるのよ
キリカ:それを倒さないと……本当のカギは目の前に現れない……そういう設定だったわ!
グレズ:なんじゃそりゃぁ!
ディスト:面倒このうえないな
グレズ:……ってことは、このクソアマとの旅も続行かよ!!
ディスト:それはごめんこうむる
キリカ:あたしだっていやよぉ~……!うわあぁぁん! 帰れると思ったのにぃぃ!!(泣く)
キリカ:うわぁぁぁぁん!(泣き始める)
グレズ:お、オイ……そんな泣くんじゃねえよ
ディスト:……とにかく目的は分かっているわけだ。このまま鍵を探す旅を続けるほうが、賢明だと思う
グレズ:おお、そういうこった!
キリカ:う、うう……
キリカ:ありがとぉぉ(泣く)
グレズ:つまり、あのデケエガーディアンがまだいるってことは
グレズ:まだまだ……血のたぎる戦いが期待できるってことか
ディスト:戦闘狂の台詞だな
グレズ:てめえとやりあうのも悪くねえが。このクソアマが作った奴らで楽しむのも悪くねえ。
グレズ:テメエとの最終決着は、この旅が終わった後だ。キッハハハハ!
キリカ:うっ!!
キリカ:その笑い方やめてええ!!
グレズ:ぐほおおおおおお!!
キリカ:(こうしてあたしは、旅を続けることになった。この作った世界で、作った二人と)
キリカ:(それがどれだけ恥ずかしいは……私にしかわからない)
キリカ:(でも、その旅も少しだけ、悪くないと思えるあたしもいたり……いなかったり?)
キリカ:(いや、ぜっっっっっったいに!!無理よ!!)
キリカ:く、くぅ。……旅は、続行よ。
キリカ:必ず! 必ず!
キリカ:私はこの、イタイ世界から抜けてやるわぁぁぁぁっ!
0:END
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