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新型コロナウイルス感染症緊急経済対策を読む -108兆円の”事業規模”とは?


「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策」を読む


新型コロナウイルス感染症緊急経済対策
~国民の命と生活を守り抜き、経済再生へ~(令和2年4月7日)
(内閣府:経済対策等)

を読む


何回かに分けて記事にするが、今回は事業規模とフレームについて述べる

→分けて記事化することはなかった。

(尚、本稿の趣旨は大枠の把握であり、内容の是非を問うものではない)
(忙しい人は財務省「補正予算の概要」読むだけでもイメージ掴める)


先日(4/9,19:00)首相が緊急事態が発生した旨を宣言し、発令したが、
同時に経済対策についても108兆円の事業規模で当たる、と発言があった


「経済対策の事業規模と財政支出について」

内容に入る前に、そもそも事業規模ってなんだ?

nikkei4946.com経済ナレッジバンクに丁度いい記事があった

経済対策の財源のうち、国による直接の財政支出を「真水」と呼ぶ。経済対策では真水を呼び水に民間などの支出も促し、景気のてこ入れを図る。経済対策の事業規模地方自治体や民間金融機関、企業などの負担を真水に加えたものを指す。

より具体的には

国が利子の一部を負担し、企業が民間の金融機関から低利で資金を借りられるようにする事業なら、国の利子負担分が真水にあたり、金融機関の貸し出しも含めた額が事業規模となる。国と自治体が財源を負担する公共事業なども、自治体の支出分も含めたものを事業規模としている。

(nikkei4946.com-経済ナレッジバンク:経済対策の事業規模より)


つまり極端な話

(ほぼ)真水な「国費負担」に「その他負担」を加算したのが事業規模

と言えるかもしれない
(まぁ例によって定義は場合によるのだが、ひとまず上記の認識で進める)


今回の経済対策の場合、
事業規模は108兆円、財政支出(真水?)は39.5兆円言われている

ではここで財政支出39.5兆円の内訳を軽く見ておこう

・台風や消費増税に対応する昨年末の経済対策の未執行分 - 9.8兆円
・予備費用いて年始に行ったCOVID-19への緊急対応策分 - 0.5兆円
今回の緊急経済対策 - 29.2兆円

この内、
台風災害を受けた年末の経済対策の未執行分、昨年度の予備費、計10.3兆円
これらはすでに予算があり、今回特別に予算が増えた、というものではない新たに予算として増えたものは、これらを除いた29.2兆円ということになる

しかし、
29.2兆円のうち10.2兆円は財政投融資

(財政投融資:nikkei4946.com/財務省)(財政投融資特別会計 :財務省

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(-財務省HP:財政投融資とはーより)

財政投融資はあくまで融資であり、支出に入れるべきでないとする声もあるとすると、今回の経済対策で増やした予算は29.2兆円から10.2兆円を引いた


19.0兆円前後、と言えるだろう


まぁこれでも、単体の財政支出としては過去最大級である


(リーマン時の経済対策は最大で事業規模56.8兆円、財政支出15.4兆円
(しかし、行われた4つの経済対策は事業規模で132.2兆円になる)
(これは今回言及された108兆円を上回り、当時のGDP比で25%にあたる)
(よって実はリーマン期の方が大きいのでは?ということも考えられる)

(結局のところ20年度の一般会計補正予算自体16.8兆円/特別会計1.9兆円)

(補正予算以外は計算したりで若干数が合わない、正確な数字は続報を…)



まぁなんとなく、ここらへんが分かったところで、実際に読み進めていく





目次は以下である

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第1章 経済の現状認識と本経済対策の考え方

Ⅰ.経済の現状認識

<新型コロナウイルス感染症の状況>
・いつ急拡大してもおかしくない「瀬戸際」が継続している状況にある
・「基本的対処方針」を改定した

(厚生労働省: 感染症情報>感染症に関わる指針 >基本的処地方針


<経済の現状>
・世界経済:戦後最大ともいうべき危機に直面
・日本経済:個人消費はサービスを中心に停滞
      設備投資は中国経済の減速もあり投資意欲縮小
・海外経済:サプライチェーンめちゃくちゃで輸出も大幅減るかも
        (WTOによれば世界貿易は13〜32%縮小するという)


*メモ:「政権の経済認識」
前回の経済諮問会議(令和二年第三回)に提出された
未曽有の経済危機を克服する対策のとりまとめに向けて

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や自民党 政務調査会の提言-あたり-も踏まえると流れがわかるかもしれない
(誰のどういった観点があり、どのような経緯でこの認識に至ったかなど)

ようするにピンチですよ、と


II.経済対策の考え方

前半部分はざっくりとこれまでの経緯(対応策)が列挙されている
新型コロナウイルス感染症対策本部が決定したこれまでの緊急提言を纏め、
今後も補正予算組んで取り組んでいきますよ、という説明

(前述の通り、一般会計補正予算は16.8兆円となっている)

財務省:令和2年度補正予算

スクリーンショット 2020-04-10 9.47.27

(より詳細なものは各省の補正予算概要を見られたし)


*メモ:一般会計予算の「新型コロナウイルス感染症対策費」

新年度予算案に「新型コロナウイルス感染症対策費」という項目はない
野党は対策費の計上を求め組み替え動議を提出したが、同時にIRとマイナンバー還元事業の削除を求め、この動議を与党及び維新が否決し、最終的には政府案が2/28に衆院を通過し3/27に政府案通り成立となった

日経の記事からの引用

毎年度の当初予算には使途を定めない予備費がある。国会で議決しなくても政府の責任で支出できるため、災害時の緊急な財源手当てなどに回す。2回の緊急対応策は予備費で残っていた約2800億円を使った。
当初予算の内容を変える補正予算については、政府が提出して国会での審議を経て可決・成立させる必要がある。国会で当初予算案の審議が続いている間は、補正の編成に言及すれば野党が当初予算案を組み替えるよう求めるケースが多い。このため政府・与党は補正の議論をしにくい。

(日経: コロナ経済対策、3段階で 減税措置へ法整備も検討)

(吉川議員からの指摘)


ともかく、大枠を理解する上で重要なのは、実は以下の二つの事項である

<2つのフェーズ>
<5本の柱>


<2つのフェーズ>

「緊急支援フェーズ」

感染症拡大の収束に目途がつくまでの間(中略)事態の早期収束に強力に取り組むとともに、その後の力強い回復の基盤を築くためにも、雇用と事業と生活を守り抜く段階

「V字回復フェーズ」

収束後の反転攻勢に向けた需要喚起と社会変革の推進(中略)、早期のV字回復を目指し、観光・運輸、飲食、イベント等大幅に落ち込んだ消費の喚起と、デジタル化・リモート化など未来を先取りした投資の喚起の両面から反転攻勢策を講ずる段階


<5本の柱>

Ⅰ..感染拡大防止策と医療提供体制の整備及び治療薬の開発
Ⅱ.雇用の維持と事業の継続
Ⅲ.次の段階としての官民を挙げた経済活動の回復
Ⅳ.強靱な経済構造の構築
Ⅴ.今後への備え


各省庁の補正予算案もだいたいこのフレームに沿って書いてある


次回はこのフレームを頭に入れつつ、各施策を一つずつ見ていく

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