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サッカー観戦中に考えていたサッカーに関係のないこと

被る帽子のないのを後悔した。14時の試合開始を待つ東側のスタンドは、およそ12月とは思えないほどに力強い日差しを正面からまともに受けている。

横浜F・マリノスの今シーズンを締めくくる試合。ぼくは、クラブを象徴するトリコロールに染められたタオルを頭から被り、両手で庇をつくりながら試合を観ていた。

ふと、対戦相手である名古屋グランパスの応援席が、聴き覚えのあるメロディを歌っていることに気づいた。THE YELLOW MONKEYの「ALRIGHT」だ。確か何か映画の主題歌ではなかったかしらと思って考えてみるが、思い浮かばない。

『南極料理人』(沖田修一)はユニコーンだし、『ジョゼと虎と魚たち』(犬童一心)はくるりだしなあ。しかしどっちもいい映画だよなあ。ときどき野暮にも感じられるけど、ポップスの流れるエンドクレジットだって案外悪くはないよなあ。

そんなことを考えながら、その不甲斐ない試合を観ていた。

あとで調べてみたところ、この曲は特に映画の主題歌にはなっていなかった。なんなんだろうこの記憶は。

後半に入っても、ピッチ上では相変わらず見どころのない運動が続く。さっきまであんなに暑かったのに、日が落ちれば——というか雲がかかって陰るだけで、震えるほどに寒い。

結局試合には負けた。文字通り震えながら帰って、『リバー・オブ・グラス』(ケリー・ライカート)を観た。エンドロールではSammyの「Evergladed」が流れる。自己嫌悪に苛まれるような歌詞だけど、スカスカの演奏もよれた歌声も、ぼくには心地よく響いた。

だとしたら、今日の、今シーズンのとても満足とはいえない結果だってポジティブに受け取ることができるのではないか……なんて思ってみた。

いや、勝負事だから直接的にはそんなの無理だけど、俯瞰で自分の人生に当てはめてみよう。その上で、無理矢理前にでも前向きに捉えてみよう、こじつけでいいから。

そうしなければスポーツの応援なんてやってられないよなあ。

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