「人づくりによって地域活性化に携わる」使命感で飛びこんだ新卒離島暮らし
日本海の隠岐諸島に位置する島、海士町。
人口約2300人のこの離島には、なにかの引力がはたらいているかのように、多様なバックグラウンドを持つ人々が引き寄せられ、生活をしています。
離島の営みを紹介する連載「わたしの離島Life」。第7弾は、インターンから正社員となった村田洋絵さん。神奈川で生まれ育ち、大学生のときに海士町にやってきて、離島で変わった価値観や離島らしさがあふれる暮らしについてお伺いしました。
2週間の短期インターンの思い出
-- まず海士町との出会いを教えてください
はじめは留学に行きたいと思っていたのですが、コロナで行けなくなってしまい日本の地域に目を向けることになりました。ゼミの教授が、徳島県の神山町や、島根県にある海士町の事例を紹介してくれて、自分のまだ知らない規模の小さい地域がとても魅力的で、それを知らないことがもったいない、と感じたことを覚えています。
大学3年生の夏に、そのゼミで海士町でのインターンを募集していて、そのプロジェクトに手を挙げました。ここで2週間ほど短期で離島にインターンをすることになったのが海士町との出会いになりました。
-- そのあとどうなったんですか?
インターンは2週間だったので、すぐに本土に戻り大学に通いながら就職活動を始めました。海士町での経験を経て、やはり働くなら地域活性化をミッションとして掲げている企業が良いな、と思って企業を探していました。
それを考えたときに、以前2週間だけ訪れた海士町での働き方を思い出しました。海士町の人の温かさと地域活性化への想いが特に記憶に残っています。
私が訪れたのはちょうど2年前のEntôがオープンする直前のタイミングでした。島にいた皆さんがすごく忙しいはずなのに、その忙しさを楽しんでいる様子がとても印象的だったんです。「海士町をより多くの人に知ってもらいたい」、「もっと大勢の人に訪れてほしい」という皆さんの強い想いに感銘を受けました。
そして、私は2週間しかいないインターンなのに島民の方が、私のことを家族のように心配してくれて、サザエご飯やおにぎりを作ってきてくれたことにもすごく驚きました。私が離島するときにも、紙テープを握りしめて笑顔で盛大に送り出してくれたんです。
この体験を思い出し、モノを売ることを優先する企業が多い中で、本気で地域を活性化したい、という想いで働いている人が多い株海士に就職することを決めました。海士町に戻って就職することを見越して大学4年生の時にインターンを始めることになりました。
卒業論文のテーマは「人づくりと地域活性化」
-- 海士町に戻ったあとはどんなお仕事をされたんでしょうか?
今年4月にインターンから社員に変わり、現在ではフロントスタッフと人事の業務を兼任して行っています。大学のゼミで地域活性化について学んでから、地域活性化のための教育について興味があったので海士町に戻ってから島の高校生や従業員の方々にインタビューをしながら卒業論文も書いていました。
インタビューを通して、海士町は子どもや高校生だけではなく、大人も成長を大切にしている地域であり、その成長を通して自己実現ができるからこそ、それができる環境である、「周囲の人や海士町への愛着」が湧くのだと思いました。「人と地域の繋がり」に興味があったのでゲストだけではなく、株海士やEntô、そして海士町で一緒に働く人に対してもなにか貢献したい、と思い、社員になった後は人事としての仕事も始めました。
このように地域に愛着を持っている人が集まることによって、地域が活性化して海士町が在り続ける、ということに気が付いたので人づくりによって地域に好循環を起こす方法を探るためにも卒業論文を島で執筆していました。
海士町は、短期的に島に滞在できる制度が充実しているので、他の地域よりも人の循環がより活発な場所だと思います。仲間が離島するときも、もちろん皆で明るく送り出すのですが、私は1年以上働いてみて、「もっと一緒に働きたい」と思う方ばかりでした。そんな仲間に対して、もっと従業員の満足度を上げられたら長くいてくれるかもしれない、と思い、従業員満足度アンケートを実施し始めました。
今後は、自分が現場で働きながら感じることや、継続して行っていくアンケート結果を踏まえて働き方をより良いものにできるような取り組みを考えていきたいと思っています。そのために、本を読んだり他社の事例を参考にしたりして、人事としての知識の幅も増やしていきたいです。
シェアメイトと一緒に「1日限定ランチ」をオープン
-- プライベートではどのように過ごされているんですか?
同じ株式会社海士のメンバーと一緒にシェアハウスで暮らしています。私も含めて3人で暮らしているんですが、同じ会社で働いているので会社のこともよく話しますし、もちろん恋バナもよくします。(笑) 年齢が1個ずつしか違わないので、盛り上がると夜中の3時くらいまで語っていることもあってとても楽しく過ごしています。
私はお菓子作りが趣味なのですが、他の2人はEntô Diningで働いていて料理が好きなのでみんなでご飯を作って一緒に食べることも多いです。最近では隠岐の島で一日限定ランチというプチイベントを開いたりもしました。
-- 村田さんがランチを振る舞ったということですか?
はい、シェアメイトたちと一緒にメニューを考案し、私はデザート担当としてイタリアンプリンを作りました。隠岐の島に初美珈琲という1日数組がゆっくり過ごせるようなカフェがあって、フロントのメンバーが声をかけてくれてそのままご縁で1日限定でランチを提供することになりました。(笑)
私のシェアメイトもEntô Diningで働いてはいますが、やはりそこではコンセプトやメニューが既に決まっているので、自分たちがやりたいような形でメニューを自由に考えて、カフェで提供させてもらったのは初めての経験でした。また機会があればもう一度やりたいと思っています。村田さんが作ったイタリアンプリン
選択肢が少ない島での新たな気づき
-- 都会と大きく違うところもぜひ教えてください。
海士町での暮らしは選択肢の少なさが心地良いな、と思います。地元の神奈川に一度帰った時に、スーパーに行ったんですが時間をかけたかったわけじゃないのに、選択肢が多すぎて1時間くらい滞在してしまいました。(笑)
都会での暮らしは便利だな、と思う一方で選択肢が多すぎることに疲れてしまっている自分がいます。海士町で暮らすうちに選択肢が少ない環境でも満足しながら生きていけることがわかったんだと思います。また、地元に帰るとお金も思った以上に使ってしまうなと感じました。コンビニでの小さな出費やレジャーでお金をかけることが多いなと思います。一方の海士町では、コンビニがないので使うところもないし、日常の中で青く透き通った海や綺麗な星空に癒されるので私にとっては満足度が高い暮らしが出来ていると思っています。
仕事終わりは、シェアメイトの2人と海に飛び込んで遊んだり、隣の島に行って非日常的な崖を見て大自然を感じたりしています。地元の友人に、隣の島に行くのも片道300円で10分程度フェリーに乗っていたら着く、と言うと驚かれました。(笑)
豊かさとは、「自分にとって幸せな暮らし方をわかっていること」
-- 株式会社海士のミッションが「旅をきっかけに豊かさを巡らせる」と明文化されましたが、村田さんにとって「豊かさ」とはなんですか?
私にとって「豊かさ」とは自分に合った、自分にとって幸せな暮らし方をわかっていること、だと思います。都会に住んでいると、Instagramで流行っている髪型やネイルなどを追いかけてお金を使ってしまったり、他の人と比べて感情が揺さぶられることが多かったように思います。モノに左右されている生活でした。ですが、離島に住んでいると新しい洋服を買いに行くのも本土にフェリーでいかなければならず、そう簡単には手に入れることができないので自分が本当に欲しているのか、それを手に入れて幸せになるのかよく考えるようになりました。
せわしく流行を追わずに自分に向き合ってたまに自然に癒される、そんな暮らしが私にとっては幸せで、それに気が付けたことが「豊か」であると思っています。
-- 村田さん、ありがとうございました。これからも人と地域づくりについての取り組みを楽しみにしています。
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