天使になりたい

ふわふわの白い肌にほんのりピンクのチークを乗せて
ちゅるちゅるの黒い髪をふたつに括る
ヘッドドレスをつけて胸元にはたくさんのレースを
身に纏いチュールのパニエを履いているきみは
すぐにでも飛んでいけそうな、そんなかんじ。
儚いを代表する白をとことん身に着けている姿は
まるで天使のようだと思う。
触れたら溶けてしまう
風に吹かれたら飛んでいってしまう
目を離した隙にいなくなってしまいそうな
小さいきみはまるでぼくの天使だと思った。

はじめてみた時から感じていたあの感情は
間違っていなくて、かわいいに固執しているぼくは
きみを理想とし自分を投影した。
どうしても違う。きみにはなれなかった。
可愛げの無いぼくはどう頑張ってもきみみたいに
かわいい天使にはなれないともう1人のぼくが言う。
誤魔化す。
元々は違うところを目指していたはずだと
頬に暖かい雫を感じる。
瞳を閉じればそこには手を伸ばしたきみがいた。
おいで と言われている気がした。
一歩ずつ歩み寄る、やっぱりぼくは、
天使になりたい。
繋いだ手の先には黒く染まってしまったきみがいた