天鳳闘牌録~アマノ~第3話
現代は麻雀好きの人間にとってたまらぬ時代です。
スマホ片手に対局や観戦に質疑応答といったことまでできます。
麻雀を謳歌するに欠かせぬものと言っても過言ではないでしょう。
しかしどんな時代であっても必ず負の側面というものは存在します。悲しいかなそれは世の常なのであります。
自分より若く麻雀歴の浅い人に上を行かれる…
上には上がいる現実…
真剣に麻雀に取り組んでいる方ほど心中穏やかにならざるものがあるのは当然です。
ただ今は少しの間だけ…
スマホで牌譜と文章を共有してみませんか?
予想通りではあったけど…
親の仕掛けが入りタンヤオを色濃く感じたタイミングでした。
そこへ私はどうにも使いづらい7pを持ってきたのです。
ドラは9pで見たところ大して高そうには見えません。
切ってしまえ
私は軽い気持ちで7pを河に放ちました。
見逃すことなく親はその7pを捕らえました。
予想通りの大したことの無い手だったか・・・
けれどもしも9pから切ってたら・・・
横移動やツモがあったかもしれない・・・
安心した心と裏腹に頭はどうしても考えてしまいます。
簡単には正解など出ません。
ただ一瞬・・・
正解へ近づく努力を怠ったことを後悔しました。
しかし感傷に浸る間も無く卓は次局へと進むのでした
幸運の欠片その手に集めて
東2局に生まれた心のスキ
それを卓が許すことはありませんでした。
東3、東4、南1、南2・・・
和了への道に挑み続けては跳ね返されます。
(何度挑んだのだろう?)
挑戦と挫折を繰り返すうちに南3局です。
挑戦の終わりを告げるオーラスは目前となりました。
点棒も無い
ドラも手役も見えない
高さを求めるならば・・・
南は大切に包んでおこう・・・
そんな私の意志に南が応えたのは次巡でした。
貴重な貴重な連風牌
手役と打点の種となるトイツです。
この局はいけるかもしれない
しかし順調かと思われた私の行く先に険しい壁が立ち塞がりました。
なんと険しい道のりでしょう。
こちらはまだ2シャンテンだというのに…
ただ歩みを止める訳にいかない…
そんな私を後押しするかのように3枚目の6pが重なります。
こうして少しづつリーチとの距離を詰めてゆきます。
そこへ私の行く先に別れ道が現れました。
目の前の一枚を取るか?
まだ見ぬ一枚に懸けるか?
刹那の逡巡で私は決心しました。
追いつくにはここしかない。
高くすることは叶わなかった
だが私の所に来てくれた南に今度は私が応える番だ
決意を込めた打牌に予想しなかった声が掛かります
またも僥倖に出くわして少しづつ道が開かれてゆきました。
そしてあと1枚を願う私に最後の1枚が集まりました。
私の集めた幸運の欠片はオーラスの希望を繋いだのです。
その希望はどこへと向かっているのでしょう?
歓喜の一時でしょうか?それとも・・・
繋いだ希望のその先は
希望を胸に祈るように開いたオーラスの手牌でした。
たった1つの和了が運命を左右する点差です。
西に手をかけた瞬間に新鮮な記憶が蘇ります。
もしもあのとき9pから切ってれば・・・
思い出されるのは東2局の放銃です。
あれが無ければ状況が変わっていた点差です。
手牌と点差に重みがのしかかります。
その重みなどと関係なく牌は交わされて行きました。
感じる重みを嘲笑う軽快な仕掛けが入ります。
追い打ちをかけるかの如き進行が続きます。
仕掛けの対応を決めかねている時でした。
頭のまとまらぬ所へトドメの一手
こうなっては都合の良い横移動に懸けるしかありませんでした。
繋いだ希望はみるみる輝きを失っていきました。
そして繋いだ希望は
断ち切られました・・・
集めた幸運が繋いだ希望は簡単に切られました。
いや、切られたのではありません。
東2局の怠った努力が断ち切ったのです。
紛れもない私の一打です。
麻雀は意志の無い一打に残酷な現実を突きつけます。
自らの一打一打に責任を求められるなんと過酷な世界でしょう?
でも、それでも・・・
挑戦する者は等しく受け入れてくれる。
私はそんな魅力に魅せられて今日も牌と共に生きているのかもしれません