ダム散策 桝谷ダム
福井県内でダムカードを配布されているダム巡りの第四弾は南条郡南越前町にある桝谷ダムを紹介!
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ダムカードを頂いた際に桝谷ダムの監視所の職員のCさんから怖い話を聞かされた。
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【森の怪談 くまさん】
それは、Cさんが桝谷ダムの周回のために車で点検をしていた時だった。桝谷ダムの天端を車で渡りきり左岸の周回道路を暫く走り続けていたら、目の前に巨大なサイズのクマがいるのが視認できた。
思わずクマがいるとCさんは思った。
しかし、ここで現れたクマと対峙してしまえば残された家族のことを考えたらクマに対し命乞いをせねば自分の命は助からないと考えたCさんはクマと対峙しないことを決め、クマに対し敵意がないことを示すためにも車を後退しながら後にした。
それからCさんは点検の為に天端を渡った先へ行かねばならないと分かりつつもクマがでてきたら命だけは惜しいから助かりたいという一心で渡りきった先にある施設の管理が全く出来なくなった。
また地元の方のDさんも、住んでいる家の近くにあるという理由からジョギングコースに選んだ桝谷ダムの天端を渡りきり左岸に移動した時に偶然にも山から下りてきたクマと遭遇してしまう。
このままでは襲われると感じたDさんはクマに敵意がないことを示すために静かに後退りしながら天端を後にしたあと桝谷ダムの監視所にクマがいたことを告げてからはDさんは二度と現れなくなった。
桝谷ダムはクマが現れる。
だから撮影時はクマが現れないセキュリティゾーンを監視所の職員の方から教わってから撮影したのだが、監視所の外に出た後から今までに聞いたことがない獣の雄叫びが三回ほど聞こえてきた。
それは、まるでアニメのゴールデンカムイの世界に出てくる、ヒグマの雄叫びに良く似ていた。
ひょっとすると、ますたに湖で優雅に泳ぐ水鳥ではなく、山に棲むクマの可能性が高いと考えた。その時点で撮影はやめるべきだったのだろうが、せっかく頂いたクマに纏わる怪談に対してより恐怖要素を盛り込み話がしたいと考え、死ぬ覚悟を理解してから撮影することにした。
あのときの私には命乞いなんて発想はなかった。
どうしたら聞き手の皆さんが怖いと思う話ができるか、どうしたら提供できるのか、真の恐怖とは何かとばかりに自分の身を投げ打ってでも危険と隣り合わせの立場にならねば、人に恐怖など伝わらないということを一番理解していたからだ。
そのためにはこの命惜しくないと考えた。
恐怖のためならば、心残りはもうない。結婚なんて諦めた。あとは、自分が正社員として親を楽にさせるためにも扶養家族に入れるための手続きを認めて貰うために仕事に真面目に取り組むしかない。
そう、自分の中で残りの人生の余生にはもう楽しみはないのだから死しても後悔はないと腹を括っていた。だから、命乞いしてまで自分の命だけは助かりたいという考えは皆無に等しかった。
長編怪談につき後編へ続く。
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右側の植物の茂みがある方向でふと視線を感じるので何だろうなあと思い振り返ると子グマと目が合ってしまった。
子グマは私にビビって下の方へと逃げていくが、私に今後待ち受けていたのは子熊がいるということは=親グマの存在だ。つまり、私が聞いた獣の雄叫びは親グマが子グマを呼んでいた可能性が極めて高く、そのうえで子グマと遭遇しているのだから親グマがいつ現れてもおかしくない状態だった。
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天端を渡りきり撮影に専念していたら、背後にある山から子グマの親グマの呼ぶ鳴き声が聞こえた。
ぴゃあー
きゃあー
みゅうー
子グマの鳴き声は女性の悲鳴にも近い。そのために野生動物の知識がなければ、こんな山に女性がいたらおかしいという考え方が心霊の怪異譚にも繋がるがクマが出るような山ならば、前もって子グマの鳴き声が女性の悲鳴に近いという認識は持つべきだ。
書いたが、子グマの存在は親グマが近くにいるということになる。親グマのとりわけ雌グマは子グマを守りたい母性で敵とみなした相手に対して非常に攻撃的になり場合によっては襲いかかってくる。
つまり、子グマの鳴き声が聞こえたら逃げろという認識は持つべきだろう。
私の場合は子グマの鳴き声が近くで聞こえてきた際に親グマが近くにいることを警戒しながらもやはりせっかくここまで来たから満足のいく写真がどうしても撮りたかった。だから危険であることは百の承知の上で撮影を続行した。
しかし、そんな私の姿勢を見た子グマは更に怯えてしまったのだろう。
子グマが鳴き声を幾度も発し、ついには親グマだろう山の中の茂みをザッザッザッと四本足で駆け下りてゆく足音が聞こえてくるとやがて足音が私の近くにまで聞こえてきた。
死ぬ覚悟は出来ていたと言えど、やはり桝谷ダムを心霊の怪異譚のあるスポットにはしたくなかった。
そんなとき、人間って恐ろしいほど冷静に考えられるもんで子グマの鳴き声はずっと鳴り響き、親グマは私を見つけ出すために更に足音が近くまで聞こえたときにこれ以上刺激するのは良くないと考え、敵ではないと示すために前方の様子を注意深く見ながら静かに後退ることにした。
私の足音が聞こえなくなり、親グマは安堵したのか足音は遠ざかったが、子グマは私の動きに対し警戒し自分達の縄張りを守ろうと必死で鳴き声をあげていた。何度も何度も聞こえてきたが、次第に山との距離が離れていくにつれ子グマに私が敵意がないことが伝わったのか、鳴き声は聞こえなくなった。
私は鳴き声が聞こえなくなっても警戒し、親グマが現る様子が見えてこないことが分かったところで天端の入口が背後に見えてきたのでもう追わないだろうと判断して天端での撮影を終え帰路に着いた。
車の中に戻ったときは戻ってこれた安心感でいっぱいだった。運転席で座っていたら心臓の鼓動がバクバクといっていたのは未だに忘れられない一方で怖い話を語り手としてリアルな恐怖を改めて体験することが出来たので非常に貴重な体験になった。
桝谷ダムから山を下りていくと、街灯が全くない暗い山道を見た限りでは大人のクマだろう。前方に四本足で道路を勢いよく渡る黒い大きなシルエットを見た。ほんの一瞬ではあったが、道路を渡りきった際にチラッと運転席から走行車線の反対側の右側の茂みを見たら丸い形の耳で角があるようには見受けられなかったため、現れたのはイノシシではなく、クマだと推察できる。
今回のクマとの遭遇を機に、自然の恐ろしさは勿論だが、桝谷ダムの監視所の職員の方が話されていたことがある。
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人間が豊かさを求め森林開発をした結果
クマの住処を奪ってしまったんだと思います
ダムがある場所は本来ならクマがいる
森じゃなければおかしい場所に
人間がダム建設のためにクマの領域に入り込み
クマを追いやったのが一番の問題です
今年は雨の少なさが影響して
作物が不作に陥ってしまったことも
クマが人里に現れる要因にもなったのでしょう
クマは決して悪くないんです
居場所を奪った人間のほうがもっと悪いんです
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この話を伺った際にふと脳裏をよぎったのが1915(大正4)年に発生した日本でもっとも多くの獣害による犠牲者を出した三毛別羆事件だろう。
穴持たずという、冬眠が出来る穴が見つからず越冬するために餌を探さねばならなくなったエゾヒグマによる獣害事件だが、この事件も結論は自然との共存が出来ず、クマのいる森へと宅地開発を進めた結果起こり得るべくして起きた事件でもある。
最近は北海道でヒグマによる被害が報告されているが、こういうニュースを見るとクマが怖いのではなく人のほうが怖いということを思い知らされた。
【森の怪談くまさん END】
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【ダムカードの配布情報】
①桝谷ダム監視所
住所 福井県南条郡南越前町宇津尾95字17-5
配布日時 8:30~17:15
※土・日・祝日を含む
問い合わせ先 0778-45-1314
土日祝日でも配布がありがたかった(´Д⊂ヽ
福井県のダム巡りをされるのならばぜひ足を運んで頂きたいダムである。因みに撮影時は10月だったが最近聞いた話では駆除が行われたとか(らしい)。
福井県のダムカードの詳細は以下リンク先にて
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【おまけ怪談 まだ早い】
おまけの怪談で〆たいと思う。
私が高校一年だったとき、進路に問題があり普通課の学校に行きたくても成績が足りなかったために致し方なく美術系の学校に進学したが、もともと絵が好きではなく学校生活にも、人間関係にも酷く疲れメンタル的にかなり病んでいたときがあった。
人間って弱っているときにこれ以上ないぐらいの試練が必ず待ち受けている。私の場合は、学校の中にある女子トイレでトイレ休憩をしていた際に用を済まし手を洗っていたときに2番目のトイレから黒いシルエットのキツネが現れると、私は何だろうと思いながらも抵抗もできず取り憑かれてしまった。
キツネに取り憑かれてからは、自分の意思では行動が出来なくなっていた。
常に頭の中で指令が聞こえる。
常に悪い内容の指令が頭から聞こえるが、ずっと言われるにつれ自分自身も精神的に病んでしまい寝不足から目の下はクマができ、顔はやつれ明らかに攻撃的な表情になってしまった。ついに抵抗できないと判断したときにはすでに問題児になっていた。
さすがに学校も私の問題行動を見過ごせず、精神病院へ診療になるのだが、精神安定剤を処方されて終わっただけだった。
精神的に問題がないというのが、精神病院の解釈だったが、精神安定剤を服用しても鬱憤は決して癒えず生きていても楽しいとは思えぬ実感から学校の中にあった水やり用のホースに思わず釘付けになったことがあった。
そのときにふと、ホースで首を絞めれば苦しみから開放されるかもしれないと自然と私の手はホースを持ち自らの首をまさに絞めようとしたときだ。
誰かの声が聞こえた。
それは、私が中学2年のときに見た持病で倒れ死にかけたときがあったときにあの世を見た。
あの世の世界は寂しい。
私は枯れ木に腰を掛け、川の向こう側が霧掛かっている岸辺へと足が濡れてもお構い無しに川を渡ってゆく人々を見て私も無意識のうちに渡らねばいけないと立ち上がり皆と同じように川へと向かおうとしたら、後ろからお爺さんが私に声をかけてきた。
渡るには若すぎる、早い。
お爺さんは私に話すと霧のかかる川を思い残すことがないのか振り返らず渡っていった。
私は戻るべきだと気づき、行く人々が向かっていく道順を逆に向かったことでこの世に戻れた。
私が死のうと考えたとき、複数名のお年を召された方々が集まってくると今は苦しくても生きなさいと言われ自殺を思いとどまった。
そして私は学校での問題行動が止まらないと判断された後に退学処分を受け、親しくしていた友人も全ての縁は何もなかったかのように全てを失ってしまった。そして私の前に現れたキツネの霊は二度と現れることもなければ、指示を出すこともなかった。
通信制・定時制の高校に通うのだが、楽しいと思ったのは演劇部でのステージ出演だっただろうか。勉学も頑張り推薦で短期大学に進学したが、体育の成績がアウトで高卒認定試験を受ける羽目になるが何とか合格して短期大学に進学できた。
楽しいとは無縁の10代だった。
そんな苦しかったときをふと彷彿させることが桝谷ダムであった。
それは対岸で子グマの鳴き声が何度も聞こえ親グマと対峙しなければいけなくなったとき、満足のいく写真がどうしても撮りたくて危険であることはわかっていても撮りたかった場所を撮影しようと更にクマの存在が近くにいると分かった場所に向かおうとしたときのことだ。
スーツ姿の男性が私の背後にいる。
お願いだから僕より先に逝かないでほしい。
綺麗な写真を撮るためならば襲われても構わない、死ぬ覚悟があったのにふとワラシの存在が目に止まり冷静に考え後退りすることにした。
あのとき、現れたスーツ姿の男性は何者かは分からない。今日も、見た。あれは、会社の昼休みに事務所を離れ二階にある女子の休憩室で会社の先輩事務員の方々とご飯を食べながらお昼のワイドショーを見ていて兵庫県知事の話で話題になっていたときにふと私の背後に男の囁く声が聞こえた。
お願いだから僕のことは嫌いにならないで。
男の声が聞こえ、話に夢中だった私は後ろの男が何者かはっきりと見ていない。だが、これだけは言える。女子の休憩室に男は居ない。
休憩室から事務所に戻ろうとした際に、背後の気配が気になり振り返ると三階へと続く階段を紺色のパンツスーツ姿の男性が歩いていくが足音が一切聞こえてこなかった。また現れたのか、生霊を祓う動画を見ても効果がないなあと思った次第だった。
理由は霊視で生きている人間と触れ合うような人肌の温もりがあったことだけでなく、死霊とは違う存命である生霊特有のオーラを見た為である。
生霊だからどっかで見たことがあるのだが、暫く思い出すのには時間がかかりそうだ。2024年は色々な事件があり、また同時に怪談師として活動を少しずつ始めるようになった。無意識のうちに出会っているのかもしれない。スーツ姿の男は誰かと聴かれたら多分今の私には答えられないと思う。
【おまけ怪談 まだ早い END】
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