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エオルゼア出向日誌

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FF14プレイ日記(RP成分MAX)です。ネタバレがたくさんあります。いわゆるなりきりプレイ(ロールプレイ/RP)を交えつつ世界観や雰囲気、生活を味わって過ごしたい。自分の創作キ…
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#小説

自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その18(過去回想編)〜

 ベンがベハティについて知っていることは、存外少ない。  ふたりがエオルゼアに出向する数年前。その日はとても寒かった。淹れたコーヒーが片端から冷えてぬるくなるものだから、ベンは早朝の誰もいないオフィスで眉根に皺を寄せていた。  眉間の皺を一段深くしながら、ベンは手元の紙束――資料として上司から渡された文書を睥睨する。今日は職場に「ベハティ」という名のシャーマンが配属される。資料には彼女の経歴や過去、魔術適正、調査の結果判明した家族構成までもが一冊の資料にまとめて綴られてい

自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その16〜

 !ネタバレ注意! ※FF14 メインクエスト Lv17 「カッパーベルで消える夢」  ザナラーンの空は晴れ渡り、作り物めいた青を湛えて押し黙っていた。眩しいほどの陽光が降り注ぐ周囲に比べ、カッパーベル銅山の入口は薄暗い。入口を取り囲むように隆起した岩山が陰になり、陽の光を遮っているのだ。砂塵を巻き上げる風の音だけがいやに大きく聞こえる。  銅山の入口には顔なじみの冒険者、アリアヌが立っていた。歩み寄って挨拶をしたふたりを沈痛な面持ちで迎えた彼女は、目を伏せたまま悲痛な声