自分のこと呪術士だと思っている白魔道士〜その18(過去回想編)〜
ベンがベハティについて知っていることは、存外少ない。
ふたりがエオルゼアに出向する数年前。その日はとても寒かった。淹れたコーヒーが片端から冷えてぬるくなるものだから、ベンは早朝の誰もいないオフィスで眉根に皺を寄せていた。
眉間の皺を一段深くしながら、ベンは手元の紙束――資料として上司から渡された文書を睥睨する。今日は職場に「ベハティ」という名のシャーマンが配属される。資料には彼女の経歴や過去、魔術適正、調査の結果判明した家族構成までもが一冊の資料にまとめて綴られてい