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家から駅までの距離。680m

イヤホンをスマホにさすのに1分かかった。まって、選曲をバラードにしてしまっていた。歩くスピードがゆっくりすぎた。間に合わない。走らないと、暑いのに。こういう時に限って影がない。ああ、もう最悪だ。

これでいつも、680mが終わる。ボルトなら一瞬。わけてほしい。

そんなバタバタしている(ただどんくさいだけかもしれない)毎日ですが、時間があった日があったので、いつも以上にきょろきょろしながら道を歩いてみた。そしてそのあたりまえの情景を記してみた。

***

家から駅まで一本道。

水路への転落を防ぐ柵には、謎の入れ物がある。そこには「キャップを入れてください」というメッセージが。誰が設置したのだろうか。結構な量が入っている。誰がいれたんだろうか。

近くの花壇に植わっているのはポーチュラカ。高校生の時に校内のお花をきれいにしてくれてた公務員さんに教えてもらった。公務員さんは異動してしまって、今はどこにいるかわかりません。卒業の時に種をくれたの懐かしい。その花が花壇にたまたま咲いていた(気がする)。日が上がっている時にしか開かないのが特徴。

そんなことを思いながら田んぼを眺める。おととしくらいまではこの通りに3つあった田んぼも、残り1つになった。田植えが遅かったので、この田んぼまでもなくなってしまうのではないかとドキドキした。無事、田植えを終え、今はネットを張っている。なかなかまとまった緑を見る機会がないからか、田んぼは癒される。夜は元気いっぱいなカエルも、昼間は静かだ。

この田んぼの前にあるクリーニング屋のガラスに映る自分を見て、変な服装じゃないかいつも確認してます。すんません(変だとしても手遅れ)。クリーニング屋さんのおじいさんは夜になると阪神戦か時代劇をみている。さては、サンテレビユーザーやな。昼間にはおじいさん同士で立ち話をしている。阪神の優勝は99%無理らしい。

飛行機が通った。ANAだ。いってらしゃい。いいなあ、飛行機ってワクワクする。旅行行きたい。お金ない。

さて、田んぼを通り過ぎるとマンションが続く。左のマンションには同級生が住んでいた(今は知らん)。10年前、「上の階の人が大太鼓持っていてうるさいんだ」って言ってたけど、本当か疑っている。今も。大太鼓単体を購入してそれを演奏している人なんて変人だ(すんません)。本当だったら大太鼓の人と友達になりたい。

右のマンションには一本の木が植わっている。今の時期はただの木に見えるが、春と秋になるとピンクの花が咲く。バラだ。小ぶりで可愛い。花壇でもない敷き詰められた石の間で咲いている(こういう植物を見ると応援ソングと照らし合わせがちな気がするが、ひねくれものなのでそれはしない)。近所のバラがきれいな公園から種が飛んできたのか(やとするとそれは遥々過ぎる)、昔このマンションが建つ前にあった畑のバラがそのまま咲いているのか、昔は一軒家の庭でその家のおばあちゃんが大切に育てていたのか(妄想)。

ちょっとすぎたところにある小さな畑がある。今は何も育てていない。転用するとしても、この敷地面積だったら何も建てられない気がするなあって思いながら通過する。そうだ、昔この畑で初めてイタチを見ました。

そのまま歩いていくと、駐輪場が見える。去年までは広大な駐輪場だったが、敷地が狭くなった。おじいさんに150円を渡せば、「この機械の上にとめてくれたら100円だよ!」っておしえてくれた思い出の地。おじいさんやさしい。放置自転車の方がお金は取られないけど、おじいさんが「いってらしゃい!」って言ってくれて何となく心が温かくなるので、課金してもいい気になっていた。今では、おじいさんはいない。100円玉と50円玉しか入らない機械にお金を投入しないといけない(おつりはでない)。50円玉を持ち合わせていなかったらコンビニに走らないといけない。自販機とかカフェみたいなんあったら絶対お金使っちゃうだろうなそこで。

駐輪場の敷地が狭くなった分、今は何ができているかと言うと、ビル(建設中)。整形外科が入るらしい。他には何が入るんでしょうか。歯医者はざっと10箇所あるので、もういりません。それにしても暑い中、いつもお疲れ様です。いつも警備員さんと会うけど挨拶できない。A型らしい。ちなみにそのビルの前には、店前しかかいてなくて、すりガラスのなにかよくわからない閉鎖的な店?がある。

さ、駅まであと少し。病院には花壇がある。咲いている花は何だろう。

その病院の前にあった2つの田んぼは、なくなった。去年くらいにぴちぴちのシャツを着たおっさんとおばあちゃんが田んぼの前で会話をしているのを見てから、もしかしてこの田んぼがなくなるのではと勝手に様子を見ていた。案の定、看板が立った。

一つは冬くらいから土地を整えて、マンションの建設を始めた。もう一つは建設車両?の駐車場として使われている。去年までいたカエルはどうなっているのだろうなんてことを考えてしまう。毎年、春になると、近所のパン屋に巣を作ったツバメが気持ちよさそうに飛んでいたので、今年はさぞかし困ったことだろう。その田んぼの前にあった謎のビニールハウスがあった土地も今は診療所とマンションとなった。

最後は信号機のない横断歩道を通過する。そんなこんなで駅に到着。暑い。

***

今、私の住むまちは怒涛の変化が繰り広げられている。マンションやビルの建設ラッシュだ。ぱっと思いつくだけでも5箇所は工事をしている(多すぎへん?どうしたん?なんか時代来たん?)。それも全部、大規模である。不動産屋が目を付けたのだろうか。それにしてもよくわからない工事車両がたくさんくるので、工事車両マニアはテンションが上がりそう。今がチャンス!

さて、田んぼに対して、癒されるとしか思っていなかったが、開放感や見晴らしのよさがあることに気づいた。気候以外で季節を感じさせてくれるし、目や音(カエルの鳴き声)で季節の変化をわかりやすく感じられる。たまにイタチが出現したり、田んぼがあったり、ビニールハウスがあったりした少し田舎っぽい所が好きだ。

最近まで、なんでこんなにみんな田んぼつぶして建物建てるの⁉ねえ!!教えて!って思っていたが、宅建の勉強をしているからか、何となく理由がわかる気がする。

観光地でもないし、商業地でもない。どこにでもある住宅街だ。でも、視点を一つ変えるだけで新たな発見がある。

まちは変化する。今あるあたりまえの風景はいつでも変わりうる。ずっと同じということはあり得ないし、今の情景は一生見ることができない。なくなってしまったものは思い出せないものである。(クリーニング屋の前にあった店を一生思い出せない。)

バタバタしてしまってなかなか余裕がない日もあるが、家の周りの情景に目を馳せてみるのもたまには良いかもしれない。

今回はテイスト違う感じのうつみでした(最近自己紹介忘れてました)。


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