ショートショート『ライオンの身体を持つコーヒーメーカー』

男「ライオンがコーヒーを淹れるんだって。」
女「どういうこと？ライオンさんの喫茶店？」
男「いや、コーヒーメーカーなんだけど、本物のライオンらしい。」
女「形がライオンのマシンってこと？」
男「違う。ガチのライオン。」
女「謎が深まるばかりなんだが。」

男「コーヒーメーカーに身体を乗っ取られたライオン…みたいな？」
女「なんか切ない。」
男「で、コーヒーの実を食わされて、消化された豆でコーヒーを抽出して出てくる、らしい。」
女「もう飲む気ゼロなんですけど。」

男「ジャコウネコのフンから取れるコーヒーってあるでしょ？」
女「あー、聞いたことある。」
男「あれの比じゃないくらい高級なんだって。」
女「高級なら…ちょっと興味あるかも。」
男「ドバイに専門の店があるらしいよ。」
女「ドバイかぁ…。」
男「ライオンに食わせるコーヒー果実も、特別に厳選して育ててるんだって。」

男「でもね、たまにご主人の目を盗んで、好きなもの食べちゃうらしい。」
女「え、肉とか？まさか飼育員とか…？怖すぎるんだけど。」

男「いや、チョコレートとか。」
女「ドバイチョコレートかい！てか、古い！」