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GO AHEAD KUMAMOTO 2019(ガルパンはいいぞ)

14時ジャスト、ホテルにチェックイン。
熊本城の対岸にある熊本ホテルキャッスル。スタンダードなビジネスホテルだが、清潔ながらもレトロで懐かしい感じ。
今年でなんと60周年だそうだ。
サービスはしっかりしているが従業員の方はアロハシャツ姿で、南国リゾート感が程好く出ている。

部屋もキレイで快適だったのだが、あまりのんびりしている時間はない。
半日活動して30%にまで消耗したスマホのバッテリーをしばし充電するかたわら、いらない荷物を鞄から下ろし、さっとシャワーを浴びる。
所要時間10分。携帯は40%くらいまでには回復した。

急いで市電に乗る。
これまた古風な路面電車で、ヨーロッパの都会のトラムを見るような、レトロでお洒落な感じだった。
乗り心地も悪くない。

目的地は、namcoワンダーシティ南熊本店。
ここでアニメ『ガールズ&パンツァー』のトークイベントがあるのだ。

https://girls-und-panzer.at.webry.info/201906/article_4.html

主人公西住みほが故郷の熊本に帰省するという主旨のイベントで、あんこうチームを演じる声優5人と、みほの転校前の母校黒森峰女学園の同級生逸見エリカ、赤星小梅の2人が参加する。

僕は黒森峰のファンなのと、もしかしたらサプライズで隊長でみほの姉の西住まほ役の田中理恵さん(『ローゼンメイデン』水銀燈、『ストライクウィッチーズ』ミーナ中佐、『Fate/Grand Order』殺生院キアラなど、僕が好きなキャラを多く演じている声優さん)が出演するかもしれないという淡い期待もあって観覧したいと考えた。
それに祖父が鹿児島出身だけれど九州に行ったことがなくて、訪れてみたいと常々思っていたのだ。

会場のある南熊本は熊本の繁華街から少し離れている。
市電で中洲地帯から橋を渡って対岸に行き、途中でJRに乗り換える。地方ということもあって単線で、電車は20分に一本。駅に着いて書き込みの少ない時刻表を見て驚いたが、5分後に電車が来ると知り安心した。
東京都心と同じ感覚だと通用しないと反省し、今後は時刻表をちゃんと調べようと誓った。

さて、5分経っても電車は来ない。
特にアナウンスはないが、先程来た逆方面行きの電車がどうやら5分遅れだったようなので、こちら方面も遅延しているのかもしれない。

時計を見る。
14時45分。
イベント開始は15時ジャスト。
…ギリギリだ。

そんなことを考えているうちに、やっと電車が来た。
急いで飛び乗る。

南熊本駅は隣なので、5分足らずで到着した。
14時51分。
駅からの道をgoogle map片手に早足で歩く。
車で入れるレジャー施設だから大通り沿いで、道は分かりやすいと踏んでいた。

14時58分、会場前に着いた。
が…

まさかの信号待ち!

「規則は破るためにあるのよ」

某風紀委員の悪魔の囁きが聞こえてきたが、我に帰っておとなしく待つ。
ドイツのロードムービー『knockin on heaven's door(1997)』で、パトカーが大挙して全速力で犯人追跡をしている途中信号が赤に変わって、パトカーが一斉にピタリと、呼吸を合わせたように同時に停車するという、typisch deutsch(ドイツ人気質、というかカジュアルに訳すと「ここがヘンだよドイツ人」)をパロディーにしたシーンがある。
まさにあんな感じで、今までの緊迫した雰囲気が続きながらも急停止したせいで中弛みし、ユルい時間の中で心は急いていた。

さて、やっと信号が青になる。
解き放たれた猟犬のように、僕は横断歩道を駆け抜け、建物の奥にある野外特設会場へと急ぐのだった。

トークイベント自体は撮影禁止だったので、残念ながら写真は残っていない。
公式や声優さんがtwitterに上げているのを見つけたけれど、転載していいのか微妙なのでやめておきます。
また、ネタバレになると差し障りがあるかもしれないので具体的な話はしないでおきます。

(西住まほ隊長がまさかあんな登場の仕方をするとは…!)
(西住みほのイベントTシャツにあんな意味が…!)
(トンボが…!)

ネタバレを避けつつ総合的な話をすると、

ガルパンはいいぞ!

これは僕ら受け手のファンだけでなく、作り手の声優さん達にとっても当てはまるのだ。

そう感じた。

特にあんこうチームは、アニメ声優で大きな役を初めて務めたのがガルパンだった人が多いらしく、自分のキャリア、自分の人生をガルパンと共に歩んできたという気持ちが強いように感じた。
極端な言い方をすると、彼女達自身がまず、ガルパンという作品の「第一のファン」なのだ。

Panzer vor! (戦車前進!)

西住みほの号令一下、集合写真を撮る。
ちょうど秋になり始めた9月の頭、トンボがよく飛ぶ昼下がりだった。
よく知られているように、トンボは後ろに下がることが出来ない。薩摩の二の太刀不要の示現流の基本の構えが「蜻蛉」であるように、振り上げた刀は地軸の底まで打ち下ろさなければならないのだ。

僕らの戦車道、そしてガルパン道も、一度進みだした以上、止まることは出来ない。
今この時も、そしてこれからも。

Panzer vor!

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