テレ東ドラマシナリオ、案1


魔界とつながった近未来。

主人公は、「本当に愛してる人」に「好き」というと、死んでしまう魔法をかけられる。

「愛してない人」だと、言ってもなんともない。

主人公は愛している女性がいて、お互いに好き同士だとわかっていたが、

つい「好き」だと言ってしまって、死んでしまうのを恐れて、

(心を隠して)愛してない人と結婚してしまう。

それから数十年がたち、

主人公は年老い、たくさんの孫に囲まれ、穏やかな日々を過ごしていた。

この年まで一緒にいると、妻にも愛着がわいてくる。

なので、時々は妻に「好きだ」とささやく事がある。だが、死ぬどころか、気分が悪くなる事さえなかった。

今はただ、三人目の孫の誕生が近づき、それを楽しみに待つ日々だった。

そんなある日、主人公は、昔、好きだった女性が、逝ったと知らされる。

彼女は、誰とも結婚せず、寂しい最後だったらしい。

主人公は車をとばして、人里はなれた、丘の上の墓地へ向かう。

そこにあったのは、名もなき小さな墓だった。

主人公は彼女の墓にすがり、後悔の涙を流し、一言いう。

「好きだ」と。それは初めての告白だった。

そして主人公は、静かに、安らかに、微笑みながら、息絶えていった……

今でも、あの丘には、名もなき墓が二つ、仲良く並んで建っているという。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?