学園祭とカブトムシ
あれは確か3年前のことだった。
私は寮住まいで(また寮の話もさるかも)、サークルにも入ったいた。
その両方が学祭で店を出すことになり、寮にいることが多く、仲の良かった先輩に誘われたこともあり、寮の店の手伝いをすることになった。
寮の店とはいっても、有志の運営で人も多かったわけでなく、一回生ながら方針を決めさせて貰うことになった。
学祭なんてどこの店も似たようなものを売るに違いない。
そう考えた私は、珍しさに目をつけ、クマ肉入りの鍋(クマ汁)と焼いたワニ肉を売ることにした。
また、やるからには利益が欲しかった。
そこで当時の私達は悩みに悩んだ末に、鶏肉界を牛耳ってると言っても過言ではない【ねぎま】に目をつけたのである🐷。
ネギまという言葉を聞いたことがない人はいないだろうが、どんなものか知っている人はいるかもしれないので説明をしよう。
ネギまとは、串に刺さった鶏肉と鶏肉の間にネギを刺した料理である。
私は昔、子供ながらに思ったことがある。
ももやささみなどの鶏肉と同じ値段で間に刺さったネギを貪る大人を見て、あんなふうにはなりたくないと。
話を戻そう、そうねぎまである。
間にネギをはさんでワニ肉を売ろう!
業務スーパーの100円で三本の中国産白ネギと、600円で20ピースくらいのワニ肉(正確な値段は覚えてない)を一緒に売ったのである。
これは、ネギとワニ肉をお金に変換して考えてみたらどうなるかがわかりやすいと思う。
50円玉の間に5円玉である。
この例えをするためだけに、この2硬貨は穴が空いているのだろう。
ありがとう造幣局。
さて、学園祭本番である。
寮の良くない噂も味方し大繁盛であった。
クマの肉入り鍋は原価が高かったのもあり、利益はほとんどなかったもののワニ肉はなんか売れた。
中には賢い人もいるもので、ネギ抜きを要求する輩もいたのだが、ネギと一緒に食べるのが1番美味しい食い方だといったら納得してたのでそうでも無いのかもしれない。
しかし、物事は順調にいってる時がいちばん怖いとはよく言ったもので、突然ピンチが訪れる。
そう、ネギが……無くなったのである……。
そこで私と先輩は追加のネギを買うべくして、自転車に乗り業務スーパーに向かった。
その帰り道の事だった。
突然、一緒にネギを買いに行った先輩が自転車に乗りながら転倒したのである。
私は驚きながらも自転車を引き返し彼女の元に向かった。
倒れはしているもの彼女に怪我はなく、彼女もなぜ転んだのかわかっていない様子だった。
ここで話は変わるが、中学校や高校で心臓マッサージの講習を受けたことがあると思う。
まず初めに、倒れてる人の周りの安全を確認し、次に意識を確認するというような手順であるのだが、今回は意識があったのでその先を行うことは無かった。
だから、私は次にネギを確認した。
ネギの周りの安全を確かめ、ネギに意識がなかったので、ネギの気道を確保しようした時であった。
私はなぜ彼女が転んだのかにきづいたのである。
そう、ネギが……自転車の前輪に……はさまっていたのである。
私はあの時のネギの無惨な姿を生涯忘れることは無いでしょう。
aikoに誓おう。