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Crash Landing On You

こんにちは、あめです。

実は2020年、コロナ真っ盛りの自粛中、例に漏れず『愛の不時着』にはまった。実は韓国ドラマをすべて見切ったのは初めてだった。『北朝鮮をテーマにしたドラマってなんだ…!?』とわくわくしながらトレーラーを眺めたのを、丸3年経った今でも覚えている。英語で『ドラマや映画を一気見すること』を"Binge-watching"というけれど、まさにそんな感じだった。一気にぜーんぶみた。

いま、その熱が再燃していて、毎日少しずつ見直している。韓国ドラマは1話が1時間と長めである上に、13話-15話とエピソードも多いので、1話見るだけでも結構体力を使う。それでも見続けてしまうのが『愛の不時着』の素敵なところなのだけど。

このドラマには、政治や体制についての言及は最小限だ。南北統一や平和的融合といった外交的テーマについて少し言及されることはあるけれど、メインの話ではない。よって、このドラマが南北の融和をもたらす直接的な円滑油になることは、きっとないだろう。

それでも、このドラマは北朝鮮の人たちを、とても人間らしく描いているという点において大きな功績を残している。一般的にメディアで登場する北朝鮮の一般の人たちは、一糸乱れぬ隊列を組み、ばね仕掛けのお人形のように歩く兵隊さんたちだ。そこからは人間らしさが一切感じられない。彼らにも喜びや悲しみといった感情や、大切な家族や、友人や、はたまた恋人もいるはずなのに。人間らしさを一切排除されてしまっているのだ。

しかし、『愛の不時着』に登場する北朝鮮の人たちはとにかくパンチがきいている。もちろんドラマだから脚色しているはずだけど、それでも一人一人の個性が際立っている。見た人なら、ジョンヒョクの部下たち4人組も、宿舎に住む強烈なおばさんたちも、名前がぱっと出てこなかったとしても、顔がもう既に浮かんでいるはず。
総じて言えるのは、家族やコミュニティのつながりを大切にする人々として描かれているところだ。喜びも悲しみも分かち合い、大切な人が困っていたら真っ先に助けにいこうとするし、特に自身を危険を冒すこともいとわない。

『愛の不時着』の『愛』はおそらく、主人公であるセリとジョンヒョクの間に生まれた愛を指しているであろうと想定できる。所謂、異性間での『愛』。
しかし、よく目を凝らしてみると、ドラマの中では多様な愛の形が描かれている。例えば、家族愛。マンボクさん一家の強く結ばれた絆、ウンドンが故郷の村に残してきた妹やお母さんを慮る気持ち、ダンのお母さんが娘に対して抱く親心、セリの母がセリに対して抱く、暗い過去を乗り越えてでも向き合いたいとの願い…。大事な人に対して抱く優しい気持ちは、万国共通だ。政治体制の違いも、38度線も、関係ない。
至極当たり前のことだけど、そんな重要なメッセージがギュッと詰まっているのが、このドラマだ。
中でもダンのお母さんが失意にあるダンを慰めるシーンは大好きで、何度も見返しているのに毎回、今のところ百発百中で泣いてしまう。

韓ドラでよくあるな、センチメンタルな音楽が流れるとともに始まる『泣かせシーン』よりも、実は家族同士で繰り広げられる、小さなシーンで泣いてしまうことが多かった。私は、いうまでもなく、家族をテーマにした物語に弱い。(ほかの身近な例でいうと、鬼滅の刃・遊郭編のラストシーンとか。あれは実際にアニメを観なくても、頭の中で回想しただけで泣いてしまう)

そしてこんな記事を書いていたら、また『愛の不時着』を見たくなっちゃった。今夜は徹夜かもしれない。


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