環境計量士(濃度関係)環化を攻略してみる そにょ5 (酸のつもりが活動度:サボりぐせついてゴメンナサイ)
酸性?アルカリ性?
今回、ネタにしてみようかなと思って何回かに分けてしつこく聞いてみたのが酸塩基の話です。濃度終わったから次わかりやすいのってこのあたりかなぁというだけの単純な動機だったりします。
ところが、考えてみると意外と難しいわりに意外と飛ばしていたりするので困った分野なのです。
さて、まずは酸・塩基ってなんやねんというのを雑に調べてみます。が、これがなかなか難しい概念ぱたり。仕方がないのでよく聞くpHからにしましょうか。リトマス紙とか小学校でやったかもしれません。でもあれ意外とお高いのです。たぶん万能pH試験紙よりお高い。とりあえず英語版Wikipediaでも読んでみましょうか。
ここからしばらく引用:Wikipedia (EN) https://en.wikipedia.org/wiki/PH
あと、まずとっかかりネタでもういっこ画像引用。画像は英語だけど、イラストだけ見たらいいです。pH7が中性で、それより小さいと酸性、大きいとアルカリ性(塩基性)とか習った覚えがあるかもしれません。アルカリ性洗剤使うと毛糸縮むから中性の高級洗剤つかいなさいといかいうのです。あとレモンは酸っぱい、酸性とか。
引用元:https://openstax.org/books/anatomy-and-physiology/pages/2-4-inorganic-compounds-essential-to-human-functioning
じゃあ、pH(ぴーえっち)ってなんぞや、というとたぶん高校では水素イオン指数(濃度じゃないよ。似てるけど)って習ったと思います。早弁してたから梅干しすっぱくて忘れた?まあいいでしょう。日本語版Wikiの画像、あれはあかんでしょと思いますが。計量法規の計量単位令[2]にはちゃんと書いてますね。
ピーエッチ モル毎リットルで表した水素イオンの濃度の値に活動度係数を乗じた値の逆数の常用対数
高校生の皆さんは、活動度係数はとりあえず大学受験受かるまではテストでは1として試験問題解いてもろてやけど、これは結構難しいです。
まず、なんでものに溶けてるものが濃度に比例して反応がはやくすすむかってところから考えましょうか。これわかりやすくいえば、10連ガチャひいてレアが1枚入ってるより2枚入ってるほうが2倍やったね。これはレアの濃度がとーたる10枚のうち1枚(10%)から2枚(20%)になったから2倍やったね、ひきまくったら2倍の速さでレアがたまるです(通常の10連ガチャだとそんな高い確率でレアカードは入ってません)。もののいろんな反応でも濃度に比例して反応が比例して進む、たぶん、ごく少量のアルミ箔を希塩酸(1%)に入れるより2倍の濃度の希塩酸(2%)に入れたほうがおおむね半分の時間で解けるという感じですね。あくまでこれはいろんな条件がからみあうのでてきとーな話です。専門的には、反応速度が濃度に比例するような反応を一次反応といいます。
ただし、極端にものが濃かったり薄かったり、その他いろんなことで単純に濃度に比例しないってことが多々あります。何でそうなるかは対象原子や分子同士の相互作用とか難しいとこもあるので今回範外で。pHがらみだと濃度高いと頭打ち傾向になるパターン多いですね。多くの人数でなんか仕事しましょってやるとお互い雑談してサボる人出てくるような感じです。働きアリですらサボるみたいです。そういうアリがいないとコロニー絶滅らしいのでサボりはまあ生き物はいいけど化学の検討ではせめて補正。そういうのを補正するのに、活動度(a)と活動度係数(γ)を考えます。実際活動してる人数は、人数×サボってないのの割合みたいな感じですね。(活動度係数(γ)に関しては1以上もありうるけど今回のpHの議論では概ね「0≦γ≦1」で差し支えなしで)
単純に a = γ×濃度
になります。水素イオン濃度を[H⁺]、水素イオンの活量係数をγₕ、活量をaₕとおくと計量法上の定義と活量係数での定義[4]がつながって
pH = -log (γₕ×[H⁺]) = -log aₕ
となってきます。で、テストとかだとメッチャ[H⁺]の濃度が高い時はあまり見ないし、γₕなんてそう簡単に測れるものでもないし取り扱い上1としてかまわないので
pH ≒ -log [H⁺]
という高校でならう、で実務上大抵そうやって使う式になるわけです。あくまで、溶液に入ってる [H⁺]ですぞ。入れた [H⁺]とは限らないことは十分注意してもろてです!
塩基は、逆にOH⁻のことになります。普通に純水製造装置の水なんかでもごくわずかに電離していて、
H₂O ⇔ H⁺ + OH⁻ 完全な中性だと[H⁺] = [OH⁻] =約10⁻⁷ (mol/L)
って感じになってます。H⁺の反対側ですね。水酸化ナトリウム (NaOH) が代表的強塩基ですよね。もちろん、サボるやつを考えると活量aₒₕ、γₒₕを考えたげてください。もちろん、普通の濃度なら[OH⁻]で考えて差し支えありません。
まとめ
・pH = -log (γₕ×[H⁺]) = -log aₕ。通常の範囲ではいつもの「pH ≒ -log [H⁺]」で許してもろて
・pHの議論に於いてメッチャ濃い時は活量係数(γₕ)が下がってくる。
・あくまで、考える溶液のなかの[H⁺]ですよ!
参考文献
[1] Wikipedia (EN) (https://en.wikipedia.org/wiki/PH, Acid)
[2] 計量単位令(平成四年政令第三百五十七号)
[3] 化学・生命科学系のための物理化学 Raymond Chang著 岩沢 康裕, 浜口 宏夫, 北川 禎三訳 東京化学同人 p136-p137
[4] Covington, A. K.; Bates, R. G.; Durst, R. A. (1985). "Definitions of pH scales, standard reference values, measurement of pH, and related terminology" (PDF). Pure Appl. Chem. 57 (3): 531–542.