力学の超基礎を令和2年環境計量士過去問(環物問10)でやってみる
1.はじめに力学シリーズも、ようやく積み残しがあるけど最後の問題ですね。未履修な力学の内容もありますがまあ良いとしましょう。最後の問題です。これも高校の定期テストなんかではよくありそうですね。
質量mの物体が斜面と物体の間を摩擦により静止している。斜面の角度を大きくしていったところ、角度がθになったところで斜面上を滑り出した。斜面と物体の間の静止摩擦係数を求めよ。ただし、重力加速度をgとする。
アリがち問題ですが、きちんと理解しておきたいところです。何が起きているか、とりあえず理解しましょうか。まず物体は地球から重力で下向きに引っ張られています。力は重さ×重力加速度でmgですね。
さて、この斜面は斜め向きです。そこがポイント。こういう時は、斜面と垂直にかかる力と水平にかかる力に分けましょう。垂直にかかる力については、斜面が実は押し返してくるのです。手で壁を押してみましょう。手も、壁から力を受けますね。それです。斜面と水平にかかる力、こいつは物体を滑らそうとします。この物体が地球に引っ張られて床を押す力と床が押し返してくる力は、mg cosθ、地球がこの斜面に沿って物体にかけてくる力はmg sinθになります。
次に、摩擦力ですが、これは通常の性質として、かかる力に比例するだけの摩擦力が最大でかかります。最大で、というのがポイントです。動かさないようにする力なので、動かそうとする力がかかると、最大で、[静止摩擦係数μ]×[押される力]だけかかるやつです。これが動いているときの摩擦になると、止まるまでは[動摩擦係数μ']×[押される力]になります。なお、たいていの場合、静止摩擦係数は動摩擦係数より大きいです。重たいもの動かすとき、動き出したら結構動くというやつです(例外は、あります)。
今まさに、動き出そうとするときちょうど最大になるわけです。なので、この時の摩擦力は、μmg cosθなので、
μmg cosθ = mg sinθ
両辺をmg cosθで割ると
μ = sinθ/cosθ = tanθ(こたえ)
になります。
あと、力学で未履修なのは円運動、ばねの話とか反発係数とかありますが、この過去問だけであらかた勉強できそうかなと思います。この次から波の話になります。騒音振動で一番出る問題ですし結構難しいですね。でも、チクチク絵にしていけばたとえ忘れても何とかなるはずです。
物理の勉強は、手を動かして式を解いてみる、絵を描いてみる。わかるところは実験してみる、物体の気持ちになって考えてみるあたりかと思います。
あ、前の振動の話はもう少し待ってください。時間のある時に頑張りまーす