2024年度(第4期)海士町未来共創基金採択事業者が決定しました!
2024年度海士町未来共創基金は、4月に公募を開始し、6件の応募がありました。審査の結果、この基金からの未来投資で11月に3つの事業が採択されました。
採択されたのは、
「海士町全体を担う新設農事組合法人の販路を担う「継ぐ米」販売事業」
「島を丸ごとナースステーションにする、島ステーションプロジェクト」
「The Pocket Yacht in Ama」
です。
海士町全体を担う新設農事組合法人の販路を担う「継ぐ米」販売事業
1件目は、
「海士町全体を担う新設農事組合法人の販路を担う「継ぐ米」販売事業」
新設農業組合法人設立を見据え、お米の販路を確保していく事業です。
この事業の目的は「海士町の田んぼを守ること」
前田さん・坂下さんは島で唯一の高校「島前高校」出身。3年間、寮で生活をし、二人は寮長・副寮長の関係性であったといいます。
高校卒業後、二人はそれぞれの道を歩みますが、島前高校時代にお世話になった農家の方たちから学んだことが、未だに忘れられず、農家の力になりたいと今回応募してくれました。
海士町の田園風景を守りつつ、島の農家さんが安心して引退できる状態をつくるのがこの事業のミッションです。
そのためには、米づくりから得られる収益をあげること、後継者をみつけることが必要不可欠。そこで前田さんたちは、販促を強化するために、島外向けお米の定期便という形で海士町のお米を高単価で販売していく予定。Entoと連携はもちろん、SNSでの販促や加工品の開発もしていくと言います。
農家の高齢化、人手不足により年々農家の数が減ってきています。
そこで、新設農事組合法人を設立し、機会や人員を適切に分配することで、副業人材が就農しやすい環境を整えていきます。
この取り組みは、田んぼを耕作放棄地にしないためにも有効になります。
将来的には、島外のBtoC販路を開拓拡大し、新設農事組合法人の販売機能として譲渡することをゴールとしています。
島を丸ごとナースステーションにする、島ステーションプロジェクト
2件目は「島を丸ごとナースステーションにする、島ステーションプロジェクト」
期巡回随時対応型の訪問看護介護事業です。
この事業の目的は、「誰もが島で最期まで暮らせる不安のない未来を作る」こと。
島では今、高齢者が要介護状態になると「人生最期まで島の中で過ごせず転出する」という深刻な課題があります。
老人施設では定員などの問題から受け入れ限度があり、また身元引受人が必要なので独居の方はそもそも入所ができません。
その他の居宅支援サービスも生活が自立できる方でなければ受け入れが困難なのです。
必然的に介護が必要になると、島内に介護をしてくれる家族がいなければ都会に住む子供の近くの施設に入る、または隣の島施設に入る事例が多数見受けられます。
またそんな状況を見越して、中には60代の元気なうちに島を出るという選択をする方も。
生まれた町で、最後を迎えるという都会では当たり前の環境が島にはないのです。
そこで、独居でも在宅看取りができる介護保険サービス「定期巡回随時対応型訪問介護看護」を立ち上げ島を丸ごとステーション化することで島全体で高齢者を見守ります。
また介護だけでなく、最後まで元気で暮らせるよう予防医療にも力を入れていきます。
海士町民が涙を流しながらフェリーに乗り離島し、数十年過ごしてきた人情の熱い大好きな故郷を離れずに済む現実を作りたい。島の高齢者が安心して最期まで暮らせる島にし、在宅看取り率日本1位の市町村にしたいと田口さんは言います。
将来的には、各所にサテライトステーションを作り、島留学生や複業人材にこのプロジェクトに参画してもらうことで見守り人材を増やし、島全体で高齢者を見守るための基盤を作っていきます。
The Pocket Yacht in Ama
3件目は「The Pocket Yacht in Ama」プロジェクト
ヨット造りを通して、海士町の資源「海」や「遠隔地」という利点を活かすことで、様々な観光コンテンツや、教育事業(フォースクール)を行っていくプロジェクトです。
この事業は、米国出身の木造ボート製作者・指導者であり、冒険家でもあるハワード・ライスさんにより開始されます。
目的は、海士町の新たな観光の原動力を創っていくことです。
ハワードさんの問題意識は、2つあります。
1つは、海士町の観光資源である「海」が十分に活用されていないこと。
2つめは、高齢化社会に伴う孤立や社会参加の機会の減少です。
ハワードさんは海士町に移住後、様々な取り組みをしてきました。
ボート製作教室や、海士町で長い間利用されてきた「かんこ舟(手漕ぎの木造和船)」の修復、地元の漁師の木造船の修理に取り組んだことも。
かんこ船の修繕プロジェクトやかんこ舟競争大会には、多くのシニア世代が参加されました。
世界的にも珍しいこの船と、一度途絶えた「海の文化」を残したい。
このような社会的な交流や活動を通じて、シニア世代の認知能力の向上が期待できるとハワードさんは言います。
島内では、高校でのボート教室や、小学生、大人、観光客向けのセーリング教室を継続。「シニア向けヨット体験」プログラムも実施していきます。
将来的には、船の建造や木工教室を特色とするフォークスクールへと展開します。
フォークスクールでは、実地学習、芸術、工芸、音楽、ガーデニング、環境教育などの文化や実用的なスキルに重点を置き、地域社会を中心に学習していきます。
海士町のユニークな観光体験、ファームツーリズムのクラス、例えばファーム・トゥ・テーブル(農場から食卓へ)体験型漁業、稲刈り、畜産なども体験できるようにしたいと言います。
また、日本全国でボート製作教室の実施を計画しており、それと同時に海士の存在をPRしていくことで、富裕層やインバウンド観光客の増加を目指します。
この未来共創基金は、皆様からの海士町ふるさと納税のご寄付を原資にしています。2025年度(第5期)の海士町未来共創基金は2025年4月ごろに説明会を行う予定です。これからも、海士町の挑戦への応援をよろしくお願いします。