見出し画像

人口2,300人の小さな島で「挑戦」をつくる 〜前編〜

AMAホールディングス株式会社・代表取締役の大野佳祐です。こんにちは。
2023年4月に代表取締役になりました。

最初に少し自分自身の話をすると(後から関係してきます)AMAホールディングス株式会社の代表の他に「教育魅力化プロジェクト」や「大人の島留学」を手がけている一般財団法人島前ふるさと魅力化財団の常務理事、再生可能エネルギーを手がける交交株式会社の代表取締役なども務めています。元々のバックグラウンドは「教育」です。

東京のイベントで講演をする大野

私たちAMAホールディングス株式会社は、島根県隠岐郡海士町(あまちょう)という本土から北に60km離れた人口2,300人の小さな島にあります。
不思議なことに、その小さな島に若者が続々と移住しています。私も10年前に東京からその海士町に移住したひとりです。

海士町も20年前には多くの過疎地域がそうであるように衰退の一途を辿っていました。それがなぜ、若者が移住する島になったのか。
その過程で立ち上がったAMAホールディングスという会社が何をしてきたのか、そしてこれからどんなことをしようとしているのか。
この記事でお伝えできればと思います。



海士町に「横串」が必要なタイミングだった

数十年前、海士町は、周辺の町村との合併の話が持ち上がるなど、まさに危機的な状況でした。
こうした状況を乗り越えようとまず町の三役が給与カット。役場の管理職や町民も一体となり、必死で財政再建に挑みました。

私が移住した10年前は、様々な政策が功を奏し、危機的な状況に光明が射し始めたタイミングだったように思います。

光明の1つは、廃校寸前だった地域唯一の島根県立隠岐島前高校の生徒数が増え、学級数が2クラスになったことでした。日本全国で学校の統廃合が進行する状況で、離島の公立高校の学級数が増えるのは本当に奇跡的なことでした。

私自身、地域の熱量の高まりを感じていましたし、「ああ、こんなふうに社会って変えていけるんだ」と実感できた瞬間でもありました。

町として一丸となって何かを行うことの重要性、つまり「横串」の必要性を感じたのはちょうどその頃で、まさに人材採用をしている時でした。
おかげさまで様々なメディアに取り上げられ、教育分野で人材採用の募集をすれば10人以上の応募があるような状況でした。皆さんとても魅力的で、お世辞にも雇用条件がいいとは言えない離島に移住しようと決意してくれていましたが、採用できるのは「たった1人」ということがありました。
つまり移住の意志があっても9人は不採用になってしまうのですが、ふと周りを見渡してみると、どの事業所も「人が足りない」と嘆いてる。

これはものすごくもったいないことだなというのが最初の「横串」への思いです。

みんながそれぞれの場所で、個々に、死ぬ気でがんばっていました。当時は、目の前のことに精一杯で周りを見渡す余裕もなかったし、もっと言うと町の中でも切磋琢磨するライバルのような関係性だったように思います。

そんな時だったからこそ「海士町に横串を刺す」ことへの興味関心が高まりました。
横串を刺すことで、ライバルとして切磋琢磨しながらも、連携して何かできるのではないか。ここから先は、その横串の価値が出てくるのではないか。そんな感覚を持っていました。

そんな時に、当時観光協会にいた青山敦士(前AMAホールディングス株式会社取締役・現株式会社海士代表取締役)と飲みに行く機会があり、(諸々細かい話しは省きますが)結果的にそれがAMAホールディングス株式会社を誕生させるきっかけになりました。

AMAホールディングスの立ち上げメンバー

自分たちは町のために何かできるか?

さて、AMAホールディングスを立ち上げたものの、自分たちには何ができるのか。

当時は課題感から「島の人事部になる」というアイディアが取締役の中で持ち上がりましたが、マネタイズの難しさに苛まれました。事業は立ち上げられても行政の支援なしに継続性が担保できない。

一人ひとりが自ら取り組む 「自助」、地域や身近にいる人どうしが一緒に取り組む「共助」、国や地方公共団体などが取り組む 「公助」があった時、それまでの海士町は「公助」によって新しい事業を立ち上げてきました。
公的資金の支援はとても重要ですが、未来永劫、公的資金や補助金に依存していく形ではこの地域は長く続かない。だからこそAMAホールディングスを立ち上げたのに、また同じような落とし穴に入ってしまうようなジレンマがありました。

そんな時、宮崎県某町でふるさと納税を町から委託されて運営している団体の代表が来島する機会があり、寄付金額を800%に伸ばしていることを知りました。
ふるさと納税寄付金を伸ばせば、町のためにも返礼品を提供する一次産業等の事業者も、そして自社のためにもなる。それを知り、ふるさと納税の探究を始めました。

一方で、積み上がっていく寄付金は町にとってどんなインパクトをもたらすのか。
仮にふるさと納税寄付金額を10倍に伸ばせたとしたら、この資金を単純に基金に積み上げておくだけでは絶対にもったいない。
それを海士町らしく「挑戦者を応援する」風土につなげることができないか。
個人・会社を問わず、海士町のために未来への可能性を秘めたプロジェクトや事業へ投資し、サポートする。その財源として、関係人口の方々からいただいたふるさと納税の一部で基金をつくる。
そんな仕組みを構想しました。

数ヶ月にも及ぶ検討の末、紆余曲折を経て生まれた仕組みが、現在、一般社団法人海士町未来投資委員会が運営する「海士町未来共創基金」です。

前編はここまで。後編では、これらの仕組みをどう使って、AMAホールディングスが何を実現していきたいのか、お話します。

後編はこちらからご覧ください!




AMAホールディングスでは、様々な形での関わりが可能です。
どんなことでも構いません。ご興味をお持ちいただいた方は、ぜひお気軽にAMAホールディングス株式会社 公式HPよりご連絡ください!