見出し画像

企業変革への道

企業の悩み。それは外部環境への適応にある。売り上げが落ちてきた、リピート率が低い、優秀な社員から辞めていく。そんな状況に直面した時に組織を変えなければならないという危機感が生まれる。しかし、実際に経営トップが動こうとしても部長・課長が動かない。動いたフリをして、物事が解決されない。いつの間にか社内の反対勢力に押し切られて、変革がうまくいかなかった、ということが起きている企業は多い。

そもそもなぜ組織は変われないのか。それは「組織ルーティン」にある。組織の中で当たり前のように取り組んでいる業務を変えるというのは非常に難しい。このルーティンは、システムとして出来上がっているがために、日々の行動をより強化指定しまう作用がある。何より厄介なのはその組織ルーティンを行えば一定成果が出ていたという成功体験と、組織の機能分化により、取り組みの全体像が見失われてしまい、手段の目的化が起きてしまう。この手段の目的化が起きるのは、目的と全体像を常に把握し続けることが困難になるからだ。日々の業務に追われると、つい短期的な成果を追ってしまう。ただ、本来実現するべきはもっともっと遠くにある。この視界のずれが、手段の目的化を引き起こしてしまう。

もう一つは組織の機能分化だ。組織の機能分化は、業務を分業化してより効率的に業務を推進するための取り組みとしては有効に働く。しかし、分化をしすぎると「意識」の分化も起きてしまうため、組織のサイロ化が起きてしまい、目的を見失う。また機能分化は「合理的な思考」のもとに行われがちだが、実はマネジメントのやってしまいがちな行動で起きてしまう。それが「無意識」にメンバーの「やりたいこと」を引き出して、それを実行してしまうことだ。マネジメントは「Will」を大事に、と言われ続けてきている。しかし安易に個人のやりたいことを引き出しても、組織の成果につながるわけではない。より一層機能の分化を引き起こしてしまう。そして機能の分化だけならまだしも、思考の分化(目的と全体像に紐づかない思考)が起きてしまい、手段の目的が起きてしまう。

こうなってしまうと、組織ルーティンから抜け出すことは難しい。組織ルーティンを守り抜くことが目的になったり、自分にとって利害のあることしか行動しないような組織になってしまう。よかれと思ってやったことが逆に組織の硬直化をもたらしてしまうことがある。

組織ルーティンから抜け出す方法、そして個人・組織の認識を変えて、行動を変化させていくためには、目的の設定と理解が必要になる。経営層の目的の設定や理解で言えば、ミッション・ビジョンの理解や解像度を高めていくこと。マネジャーの観点で言えば、ミッション・ビジョンに紐づく戦略や方針の理解、施策の目的の設定。メンバーで言えば、業務の目的や施策目的の理解など、どの階層にも目的の設定と理解が必要である。組織は目的の階層システムと言われるが、目的によって組織は変化し、行動を変える。まずは目的を捉え直すところから企業変革の道は始まっていく。

いいなと思ったら応援しよう!