#18ソーラン節団結
その学年は小学2年生の時から、学級崩壊を繰り返しているような学年で、中学校も3年間持ち上がりの教師がいなかった学年でした。今こうして書いていると、「かわいそうな学年だな」と思う事はありますが、当時の私たち教師の立場から考えると、「この学年を持つのは少し勇気がいる。」そんな気持ちになるような学年でした。
実際担任を持ったのは新しく来た先生で、正直子どまたちは「またか。」というような気持ちでクラス発表を聞いていたと思います。でもその先生はとても愛情があり、情熱のある熱血体育教師でした。
もちろん4月のスタートなんて全く良くありません。授業は成立しない。エスケープはたくさんいてる。いじめなんかも起きる。蓋を開けてもやっぱり大変な学年だといわれる始末。実際に大変だったと思います。
2学期になっても、その雰囲気はなかなか拭い切ることができず、このままズルズルと卒業までいってしまうのかなあと思ってたんですが、体育大会を機に生まれ変わったように真面目なクラスになったんです。
それは確実にソーラン節が原因でした。
その学校の体育大会といえば、ほぼほぼ記録会みたいな内容です。フィールドとトラックに分かれ同時進行で行われる体育大会はどこに注目していいのかが難しく、一致団結して取り組む行事が少なかったんです。
そこに転勤してきたのが熱血体育教師でした。彼は3年生のためにソーラン節をしようということで、大変な3年生を指導したんです。
私たち他学年の立場からは「彼らにそんなことが本当にできるのだろうか」と冷ややかな目で見ていたと思います。私も協力はしていましたが、実際あそこまで変わるなんて想像もしていませんでした。
ソーラン節を終えた3年生はボロボロと涙を流し、感動の渦に包まれていました。それは保護者も同様でとても良い雰囲気でした。そんな成功体験があってか、次の日から本当に真面目になったんです。
何がきっかけで変わるかなんて誰にもわかりませんが、変わるきっかけを作ってあげるのが私たち教師の仕事だと思っています。熱血体育教師先生のような大改革は難しいかもしれませんが、心に刻んでおくべきエピソードなのかなと感じた瞬間でした。