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花を買って帰れる日は

映画も音楽も舞台も本も好きだけど、余裕がない時って好きだったことを忘れかけてしまう。

電車に揺られながら15時の日差しを浴びて、あと42分どう過ごすか考える。
本を読むか、音楽聴くか、周りでも見渡してみようかな、寝ようかな。

こんな選択肢を自分で出し、選択できるようになったのは最近になってから。

6時半に家を出て満員電車に揺られていた日々は、そんなこと考えられなかった。この疲れをどうとるか、いかにしてストレスと感じないか。そんなことばかり。
だから花屋でバイトしたいって思ったこともある。嫌でも四季を感じられるし、そんな日常が少しでもクリアになると思ったから。

駅を降りると花屋がこじんまりと佇んでいる。
季節によって変化する外観。もう1ヶ月経ったんだって驚きもする。

駅前でぼーっとしてると、花屋からスーツ姿のおじさん。右手に花、左手に仕事の鞄。

あ、私もこんな風になりたい。日常が0.8倍速くらいのあの感じ。マスク越しでも季節を感じられるあの感じに。


そんなことを考えていた私を現実に戻すかのように携帯が鳴った。

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