見出し画像

ふるさと祭り

 この曲がり角を左に行ったら、どんな事が起こるのだろうかなんて考えなく曲がる。
 それが日常なのだ。
 世の中は、進歩して数時間先のこの場所の天候が分かる。それもかなり正確に分かる。
 今日は、お彼岸の中日だが、我が街のふれあい祭り開催日でもある。
 ところが、天気の予想がつかない。
 ふれあい祭りは、君津駅前ロータリーをイベント会場にし、
・14時00分〜 オープニングセレモニー
・14時30分〜 スポーツイベント表彰式
・15時00分〜 日本製鉄(株)吹奏楽団
        君津市消防音楽吹奏楽演奏
・15時30分〜 アクアラインマラソン      
        2024PRステージ
・15時45分〜 みこし練り歩き
・17時00分〜 いやさか君津踊り
は、本日の予定だが、日鐵見学や亀山ダムでの花火大会なども別日に行われ、なかなかの大きな「ふるさと祭り」である。
 ボランティア活動で参加している国際交流協会も踊りの連に加わる。
 その時に外国の方が浴衣を着て参加したいとの要望があれば着付けをするのが真愛のボランティア活動の一つである。
 ところが、1週間ほど前から今日に傘マークが付いていた。
 台風14号の影響で日本海側は大荒れ、石川県はお正月の地震から1年も経っていないのに河川の増水・氾濫で無惨な姿となっている。
 その雨雲の影響もありお祭り会場の上空にも傘マークが大きく開いた。

2022年

 今年は、新たに「着物着付け隊」と名打って小さなボランティアグループを結成させてもらった。
 大々的な事はしない。
 国際交流協会の事務所に保管されている寄付された浴衣や着物を着たいという方に着せるだけのことだ。
 今回も「ふるさと祭り」に向けて「着物を着たい」という方が数名いらっしゃるので、活動をするのだ。
 しかし、この天候である。
 朝から曇っていて降り出しそうである。

 9:00  防災無線からの発表はなかった。
【決行】である。
 前々日に全ての準備をして来たので、焦る事はないが、浴衣を着て土砂降りの雨の中を歩くわけには行かない。まして,踊るなんてなんかの映画の撮影でもなければしないだろう。
 いつも着物を着て行く真愛は悩んだ。
 用意しておいた絽の着物を浴衣に変えた。
 
 今日は、お彼岸の中日である。
 一番厚洋さんに近づく日なのでお参りに行きたい。
 いつも通っているスポーツクラブ(プール)はメンテナンスのために火曜日から1週間の休みとなる。勿体無いのでできるだけプールに行きたい。
 しかし、行ってから着替えると集合時間ギリギリになる。やめるか…。
 1時間も考えた末に、お墓参りに行って、ポイント5倍デーのスーパーで買い物をして帰って来てすぐに着替え始める事になった。
 雨は、お墓参りの最中に数滴落ちた。
 厚洋さんに頼んだ事は、
「今日はふるさと祭りです。
 予約した外人さんにちゃんと着せて
 ちゃんと踊らせてあげられますように」
だった。
 一番近くなった日になんとも勿体無い話であった。

着付け隊

 13:00
   早く行き過ぎたので、大風の中我が連の給水車作りを手伝った。
 14:30
 新たに結成した【着付け隊】の顔合わせもしながら、希望者に浴衣を着付けて行く。
 

着付け隊と副会長

 5年近くやっているが、着付け隊の仲間がいる事が心強い。
 毎年、誰にも着付けたか分からないまま終わっていたが、今年は着付けた人と写真を撮る事が出来た。

写真は後ろに居る方がいい
好きな事をする事はいい!

 外国の方に日本文化を知らせたい!
 着物が好きで着物を着せたい!
 人の喜ぶ顔が見たい!
 着付け隊の仲間たちの良さである。

 着付けが終わると必ずブラインド越しに外を見た。
「雨、いつ降るのかね?」

練習の時に振って来た☔️

 16:30
 出発式をして、元気に「KIES」の連は、会場に向かった。
 その後、(踊りには参加しないが、浴衣を着てお祭りに行きたい。)というネパールの女性に浴衣を着せた。
 外に出ると大きな虹がかかって居た。

虹と

 雨は降らなかった。
 強風が雨雲を吹き払ったのだ。
 書き出しに「世の中は、進歩して数時間先のこの場所の天候が分かる。それもかなり正確に分かる。」と書いたが、世の中が進歩しても
「確実に分かる未来」なんてない。
 常に「…かもしれない。」なのだ。
 天気も人の心もである。
 折角、浴衣で来てのだから、ひとりでお祭り会場に行った。
 26年前も厚洋さんの着物を掴んで必死でついて歩いた。
 綿飴も買ってもらった。
「イカ焼きは高いからダメ!」と言われた。
 浴衣でひとりで歩いているとよく見られる。
 厚洋さんは真愛が着物を着ていると必ずどこかに連れて行ってくれた。
 ひょっとしたら、「着物を着た妻」を見せたかったのかもしれない。会場や行きつけのお店で
「おっ!お揃いで着物かい?」
とか
「おっ、良いね。似合うじゃない!」
と褒めてもらうのは、真愛も嫌いではなかった。
 その頃は、着物を着るためには少々ダイエットするのでキレイになる。ちょっと綺麗になった真愛を連れて歩いてくれた厚洋さんを思ってひとりで歩いた。

ふるさと祭り

 真愛は最後まで雨に降られなかった。
 そして、幸せな思い出と厚洋さんの思いを感じる事が出来た。
 やっぱりお彼岸の中日にお墓参りに行くべきである。
 願い事は150%叶う。
 

ありがとうございます。 愛しい亡き夫厚洋さんに育てられた妻「真愛」として、読み手が安らぐものが書ける様頑張ります