エストニア留学、孤独な船出の記録
こんにちは、Yamatoです。
今回の投稿は、少し趣が異なるかもしれません。正直に言うと、内容は普段よりも暗めになる可能性があります。
エストニアに到着してから、予想以上に多くの困難に直面しています。新しい環境、言語、文化...全てが一度に押し寄せてきて、正直なところ、戸惑いや不安を感じることが多々あります。
ただ、これらの感情は急激な環境の変化によるもので、一時的なものだと理解しています。どんな新しい経験でも、適応には時間がかかるものです。
このブログでは、そんな適応過程での喜怒哀楽を、できるだけ率直に綴っていこうと思います。良い側面と負の側面、両方を含めてこれも貴重な留学体験の一部だと捉えています。
みなさんには、そんな飾らない留学生活の記録を見守っていただければ幸いです。
予想外の旅路:日本からタリンまで
ヘルシンキに向かう旅は、思いのほか平凡なものでした。出発時、天候の悪化でフライトが少し遅れるというトラブルはありましたが、それ以外は特に変わったこともなく無事に飛び立ちました。
13時間のフライトは、想像していたほどの苦痛ではありませんでした。それには二つの理由があると思います。一つは、隣の席が空いていたこと。もう一つは、搭乗客に日本人が多くいて、自分が特別な存在ではないと感じられたことです。この「特別ではない」という感覚が、意外にも心の支えになりました。
初めての海外の地、ヘルシンキに降り立った時も、特別な感動などは一切ありませんでした。むしろ、日本での電車の乗り換えをするのとあまり変わらない感覚でした。期待していた「海外に来た!」という高揚感は、どこかに置き忘れてきてしまったようです。
ヘルシンキからタリンへの飛行機での移動も、特に心境の変化を感じるようなものではありませんでした。窓の外を眺めながら、ただ黙々と目的地に向かうだけの時間でした。
ただ、タリンに近づくにつれて、一つだけ予想外のことがありました。エストニアの首都に近づいているはずなのに、窓から見える景色が予想以上に田舎っぽかったのです。広大な森林と点在する小さな集落。これが本当に首都近郊なのかと、少し戸惑いを感じました。
日本の首都圏の密集した街並みしか知らない私にとって、この広々とした風景は新鮮でした。しかし同時に、これから1年間過ごす場所がこんなにも都会的でないことに、少し不安も感じました。
タリン空港に着陸する頃には、私の中で「海外に来た」という実感よりも、「知らない田舎町に来てしまった」という感覚の方が強くなっていました。これが留学生活の始まりなのだと、改めて思い知らされた瞬間でした。
孤独な奮闘:タリンからタルトゥへ
タリンからタルトゥへの移動は、想像以上に厳しいものでした。
バス乗り場に着いた時、すでに疲労困憊でした。早く目的地に着きたい一心で来たのに、目の前の現実は厳しかった。一番近い目的地行きのバスが8時間後と機械に表示され、心が沈みました。
待つ余裕なんてありません。仕方なく、とにかくタルトゥ方面に向かうバスに飛び乗りました。座席に腰を下ろした瞬間、不安が襲ってきました。「どこで降りればいいんだ?」
その不安は、窓の外の景色を見て更に深まりました。見渡す限り何もない。家も、畑も、人の気配すらない。ただ広がる平原と森。これが本当にヨーロッパなのか、と疑わずにはいられませんでした。
東京の喧騒に慣れた僕には、この静寂が重苦しく感じられます。この先に何が待っているのか、まったく想像がつきません。タルトゥはこんな場所にあるのでしょうか。不安が胸に重くのしかかります。
バスが進むにつれ、心の中の不安は膨らむばかり。知らない土地、知らない言語、知らない文化。これから1年間、本当にやっていけるのだろうか。
こんな始まり方、想像できませんでした。孤独感と不安に押しつぶされそうになりながら、それでも未知の目的地に向かって揺られ続けました。これが留学生活の現実なのかもしれない。その思いが、さらに心を重くするのでした。
バスが停まった時、幸運にも目的地である寮まで徒歩20分ほどの場所だと分かりました。ほっとしたのも束の間、重いキャリーバッグを引きずりながらの最後の奮闘が始まりました。
道中、周りの風景を楽しむ余裕なんてありませんでした。ただひたすらに、「早く着きたい」「安心したい」という思いだけが頭の中を占めていました。普段なら興味をそそられるはずの異国の街並みも、写真を撮る気にもなれず。ただ黙々と、キャリーバッグを転がし続けました。
車道の段差を越えるたび、キャリーバッグの重さが増したように感じます。疲労と緊張で足取りは重く、20分の道のりが異常に長く感じられました。
周りを歩く人々の言葉も、店の看板も、全てが異質で遠い存在のように感じられます。でも、そんなことを気にする余裕すらありませんでした。ただ、地図アプリの青い点が目的地に近づいていくのを確認しながら、機械的に足を進めるだけです。
「あとどれくらいだろう」「本当にここで合っているのか」そんな不安が頭をよぎりますが、立ち止まる選択肢はありません。ただひたすらに前へ、前へと進むしかないのです。
この20分の歩みは、これから始まる留学生活の縮図のようでもありました。不安と疲労の中、それでも目的地に向かって進み続ける。その先に何が待っているのか分からないまま。
初めての海外:現実との対峙
やっとの思いで寮にたどり着きました。ドアを開けた瞬間、静寂が私を迎えました。ルームメイトはまだ来ていないようで、部屋は空っぽ。一番乗りのはずが、妙な寂しさが込み上げてきます。
荷物を置いて一息つく間もなく、空腹を感じました。仕方なく、近くのスーパーに向かうことに。「食料さえ確保できれば、少しは落ち着けるはず」そう自分に言い聞かせながら歩き出しました。
しかし、スーパーに着いてみると、そこにも失望が待っていました。品揃えの悪さに驚きます。棚には見慣れない商品が並び、欲しいものが見つかりません。野菜や卵を手に取ってみても、あまり新鮮さを感じられない。「これで何を作ればいいんだ...」献立を考えるだけで頭が痛くなります。
仕方なく、なんとなく分かりそうなものを買って帰りました。部屋に戻り、買ってきたインディカ米を炊いてみましたが、これがまた口に合わない。粘りがなく、パサパサして、日本の米との違いに愕然とします。一口、また一口と無理に食べようとするたびに、精神がすり減っていくのを感じました。
結局、日本から持ってきた食べ物に手を伸ばしてしまいました。インスタントラーメンの湯気が立ち上る。その香りと味わいに、思わずほっとしてしまいます。でも同時に、その温かさと美味しさが、逆に今の状況を際立たせてしまう。
食べ終わった後、窓の外を見つめながら、これからの生活のことを考えています。慣れない環境、分からない言葉、そして何より、この孤独感。
小さな一歩から
期待に胸を膨らませて日本を出発したのが随分前のことのようです。でも、たった1日で現実の厳しさを痛感しました。慣れない言葉、見知らぬ風景、そして何より、この深い孤独感。「留学」という言葉の裏に隠れていた、こんな現実に戸惑っています。
食事のこと、コミュニケーションのこと、勉強のこと...解決すべき問題が山積みです。正直なところ、この先の1年間がどうなるのか、想像もつきません。不安で胸が締め付けられそうです。
でも、ここで諦めるわけにはいきません。だって、ここに来るまでに乗り越えてきたことだってたくさんあるはずです。確かに今は辛いけど、きっとこの経験も、いつかは自分の糧になる...そう信じたいです。
明日からは、一歩ずつでいい、この新しい環境に慣れていく努力をしよう。完璧を求めるのではなく、小さな進歩を積み重ねていけばいい。今はそう自分に言い聞かせます。
Yamato