2周目に入った「あちこちオードリー」と大人達がオードリー若林さんに抱く思惑
今週の「あちこちオードリー」、ゲストはCreepy Nuts、前回の出演から約1年振り2回目の登場だ。
この1年でテレビの出演が増え、テレビに対する考え方や所作が変わってきた事を中心に話が盛り上がる(来週も楽しみだ◎)。
「あちこちオードリー」もレギュラー化して1年と4ヶ月が過ぎ、2周目のゲストを迎え、いよいよフォルムが固まってきた。
ゲストにとっては、普段のテレビでは言えない本音やメディアでの発言の裏に隠されている思惑などを語れる場となっており、
ゲストの違う一面や潜在的なポテンシャルを確認できる場となっていることから、業界関係者の視聴率が高いことも肯ける。
そしてオールナイトニッポンと同様に若林さん本来のフォームが見られることからも、若林さんのファン視聴率も高い(はずだ)。
視聴率という数字が同じでも、例えばアニメ番組とは番組の持っている意味合いが全く異なる。(もちろんアニメにはアニメの意味合いがある)
「あちこちオードリー」の位置づけと意味合い、「あちこちオードリー」を軸に今後関係者や若林さんが取り得る展開とは何なのか、今回はこれを紐解いてみたい。
オールナイトと1軍のテレビ番組の間
若林さんの活動をランク付けすると、上から以下のような並びとなる。
① エッセイ・note
② オールナイトニッポン
③ あちこちオードリー
④ 1軍のテレビ番組(激レア、しくじり等)
⑤ 2軍のテレビ番組(ヒルナンデス、潜在能力等)
ランクは、若林さんの本音や本来のフォームからの近さが指標であり、だいたいファン視聴率(購買率)とも連動する。
「あちこちオードリー」は1軍のテレビ番組という枠を超え、オードリーの新たなプラットフォームとなっており、先述の業界関係者の視聴率と若林さんのファン視聴率が高いことからも、ここを起点とした戦略的展開が図られる環境だ。
業界関係者を通じた展開
業界関係者の視聴率が高いということは、「あちこちオードリー」でのムーブが他の番組や企画へ繋がるという事だ。
若林さんが腰を据えてゲストの新たな一面を花開かせていく様を見た各局のプロデューサーさんやディレクターさんは、若林さんを活かした次の番組を思い描く。
次の番組として、例えば、芸人さんやタレントさんから水平展開して、スポーツ選手・経営者・芸術家等とのトーク番組はどうか。
芸人さんとの話のように、若林さんによる強い共感を持っての話の展開は図られないが、例えば著書を出している方を対象に、
著書の内容や執筆時の話を起点としたトークであれば、若林さんとして深堀っていけるはずだし、アメフトの経験や岡本太郎さんへの想い等もあり、切り口には困らないだろう。
若林さんや事務所としても今後年を重ねていくに際して、フィールドを拡げていくのは悪い話ではない。
1つの問題は番組としての数字か。芸人さんやタレントさん以外だとゲストの持つ数字は大きくない。故に普通は人数を集めて回すが、そこは若林さんのトーク番組としての深堀りのコンセプトと相反する。
どこまで赤裸々に語ってくれるのか、という面も不安が残る。スポーツ選手・経営者・芸術家等といった方々からすればあくまで本業ではなく、当然イメージを壊さないようなムーブになって然るべきだ。
見てみたいというファン心理はあるのだが、いきなり別番組として条件を揃えるのは難儀か。となると先ずは「あちこちオードリー」の中で、探りとしてゲストで読んでみるところから、という事だろう。
トライアルとしてはやはり若林さんが好きな卓球の石川佳純選手か。個人的には、例えば将棋の渡辺王将なんてどうだろうか。軽快なトークに定評があり、多少胸襟を開いた内容も期待できる。
佐久間さんはバラエティの人なので今今考えにないかもしれないがお試し企画を期待している。
ファン視聴率をテコにした展開
もう一つの切り口であるファン視聴率に着目してみよう。テレ東としては、既にオンライン配信にて若林さんのファンをテコにした企画の前例がある。
最近では、日テレもNFL倶楽部でスーパーボールのオンライン配信を1,500円で販売したりと、各局コアなファンの心理を突いた有料コンテンツ化を少しずつ展開している印象だ。
テレ東としても「あちこちオードリー」で更に仕掛けていきたいところだろう。1つの考え方として、西野さんのギフトの発想を用いるのはどうだろうか。
友人に「あちこちオードリー」を薦める際に過去の回(例えば又吉さん・ベッキーさんの回とか)を見てもらいたい時に案内する方法がない。
TVerは過去2回分だし、paraviも契約しても過去16回分だ(違ってたら教えてください)。
1回分300円でもいくらでもいいので、こっちで払って動画を贈って友人に見てもらいたい。1周年のオンライン配信用に作ったアカウントを使ってできないだろうか。因みに過去分は自分用にも切り買いしたい。
さて、事務所としては「あちこちオードリー」で掴んだコアなファンを、本来であればストック型の若林さんのnote へ誘導したいはずだ。
若林さんの意向で表向きに宣伝されないものの、「若林正恭の無地note」は日々フォロワー数が伸び、今や1万5千人に届こうかとしている。
月1,000円×1万5千人の1,500万円/月から、決済手数料が8%(クレカ5%,携帯決済15%、クレカ多数として8%と想定)を引き、そこから更にnote定期購読の手数料20%を引くと1,104万円/月、
そこから事務所の取り分40%として、若林さんのnoteで事務所は441万円/月が見込めるというわけだ。(ケーダッシュは6:4で事務所が4とどっかのWebで見ました)
事務所としては、安定収益の確保として可能な限りここへ誘導したい思惑はあるはずであるが、「あちこちオードリー」限らず若林さんオープンにする事に首を縦に振らないだろう。
事務所としては先ずは「あちこちオードリー」自体のコンテンツの持つ価値をデリバリーの多様化で最大化すべきだろう(切り買いしたい、、)。
✳︎ 若林さんのエッセイの投稿が仮に約束ラインの月2本として、エッセイ1本分で若林さんの取り分はざっと331万円。これがマスから深い支持を得た人の持つパンチ力ということだろう。
若林さんは何と言うか
「あちこちオードリーは自分の中でも大切にしていきたい番組なんですよ〜だからあんまり邪念なく楽しみたいんですけどね。憧れの先輩も来ていただけて普段聞けない話もして頂けますし」
「あ〜そうなんやな、まぁ先輩言うても中堅までくらいやろ。そんな深夜のテレ東に売れてる芸人も出えへんやろうし、色々試して利用したらええやん」
「いや東野さん笑、東野さんも出ていただいたじゃないですか。ディレクターの夢叶えてるって、けっこう業界揺るがした名言でしたよ」
「俺なんてまだ中堅やでこの業界。売れてへんし。ベテランって言われたら終わりやで。役割と居場所なくなったら仕方なく言われるのがベテランやから。俺は一生中堅でええねん」
これが吉本No.5まで登り詰めた芸人の意識か。