オードリー若林さんは『審査員長・松本人志』のフォーマットでは、くりぃむ上田さんに勝てないのか?
『審査員長・松本人志』の第3回が4月28日(水)に放送された。
時間は21時からの2時間に拡大。
3回目にしてついにゴールデン進出だ。
番組を観て、改めてこれは若林さんの番組ではないのかな〜と感じた。同じように感じた人も多いのではないか。
今回は、この感覚的な「若林さんじゃない感」を、前回投稿で用いた
『おもしろい』=①事実②見解③発想の総量
の切り口を用いて紐解いてみたいと思う。
1.『審査員長・松本人志』のおさらい
まず『審査員長・松本人志』のおさらいをしたい。番組の見どころは以下の通りだ。
若林さんがMC、松本さんが審査員長、ゲストを審査員として、新しい切り口の技術や体験を紹介・審査するという番組で、審査員長と審査員が審査対象の斬新さや体験の面白さを笑いを交えて伝えるところが見どころ。
審査の形式はM-1グランプリの最終投票と同じ投票形式で、審査員長の松本さんだけが2票持っているところがミソ(死語)である。
番組の裏側など、詳しくは、以前の投稿をご参照いただきたい。
『オードリー若林さんが「審査員長・松本人志」に独自色を加える為のmoveとキャスティングとは』
第3回放送の内容は以下の通り。
進行アシスタントを付けた若林さんを見たかったが、今回も若林さんの1人MCであった。
● 出演者: MC 若林さん
審査員長 松本人志さん
審査員 木村佳乃さん
フワちゃん
劇団ひとりさん
IKKOさん
朝日奈央さん
野田クリスタルさん
● コンテスト一覧(◎はグランプリ)
1. 映画のシーンが現実に! 近未来テクノロジーコンテスト
⚫︎ Voidol(ボイドル) ◎
: リアルタイムで別人の声に変換
⚫︎ レイアディスプレイ
: 何もない空間に映像を映し出す技術
⚫︎ 壁登りアシストスーツ
: 壁に引っ付くことができるスーツ
2. スゴいっちゃスゴいけど全然うらやましくない特技コンテスト
⚫︎ 垂直落下式握手
: 相手を倒してしまう握手
⚫︎ フィンガースピンサーブ
: 指でピンポンに回転をかけるサーブ
⚫︎ 逆再生ラン
: 逆再生すると走ってるように見える
⚫︎ 手首コイントス ◎
3. スリル満点!手に汗握る超ドキドキ体験コンテスト
⚫︎ VR黒ひげ危機一髪 ◎
⚫︎ 痛み測定器
: 定量化した痛みを発生させる装置
⚫︎ 箱だけのブルース
: 段ボールがコントローラーの体感ゲーム
✳︎ 他2つのコンテスト
⚫︎ 食料不足を解消するかもしれないグルメコンテスト
⚫︎ 一生見ていられる振り子コンテスト
2. 『審査員長・松本人志』の『おもしろい』とは?
前回の投稿で、コンテンツの持つ情報は、
以下の3つで構成されている、と整理した。
① 事実 : ありのままの事象・事柄
② 見解 : 事実に対する意見
③ 発想 : ゼロイチのアイデア
✳︎ここの整理がないと、今回は理解が難しいので、できましたら以下の前回投稿を読んでいただければと思います。
『オードリー若林さんの『おもしろい』の正体とは?』
『審査員長・松本人志』は紛れもなく、
①事実を中心とした番組だ。
情報番組のワンコーナーで取り上げられるような、面白い技術や体験を充実したラインナップで紹介しており、これだけでも興味深く『おもしろい』。
そこに一流のスキルを持つ芸人さん・タレントさんのリアクション(コメント含む)と、若林さんの突っ込みを加えた番組構成だ。
審査員には、リアクションで外さない人がチョイスされている。
リアクションと突っ込みは③発想の分類だ。
(1)それ自体に『おもしろい』が存在し、
(2)対象となる原液である①事実②見解③発想の『おもしろい』の量を増す作用がある。
『審査員長・松本人志』は、以下の構成で『おもしろい』を積み上げている。
1. 新しい技術・体験の紹介(①事実)
2. 1.に対する審査員長・審査員のリアクション(③発想)
3. 2.に対する若林さんの突っ込み(③発想)
3-(1) 突っ込み自体の『おもしろい』
3-(2) 原液の『おもしろい』の量増し
3. 若林さんと上田さんのスタイルの違いとは?
MCである若林さんには、番組を回すことに加え、審査員長・審査員のリアクションに対する突っ込みのキレを期待されている。突っ込みをベースとしたMCのスタイルだ。
若林さんの特性である①事実②見解の深掘りによる『おもしろい』の積み上げを行う時間的スペースはなく、目の前のリアクションを一撃で仕留める必要がある。
若林さんのMCは、主に共感や違う角度の観点により話に拡がりをもたらすスタイルであり、真正面から一撃で仕留めていくことを基本スタイルとしていない。
突っ込みをベースとしたMCといえば上田さんであり、一撃での狙撃確度は凄まじい。
その狙撃手としての圧倒的な腕前は『太田上田』での太田さんの乱打を的確に撃ち落とすことからも見て取れる。
上田さんの狙撃は、正論や王道からのギャップへの反応によって成り立っている。
僅かなギャップも逃さずに感知し、そのギャップを分かりやすく言葉で表現する。
その感知する速度と的確さが尋常でなく、説明の明解さが群を抜いている。
『太田上田』では時に感動的な程の瞬発力と正確さが垣間見られる。
視聴者が欲しいと思う突っ込みをキレイに入れてくれるし、あぁそう言うことか、とボケの意図を気づかせてくれる存在だ。
4. 『審査員長・松本人志』への適性
改めて『審査員長・松本人志』の『おもしろい』は以下の積み上げだ。
1. 新しい技術・体験の紹介(①事実)
2. 1.に対する審査員長・審査員のリアクション(③発想)
3. 2.に対する●●さんの突っ込み(③発想)
3-(1) 突っ込み自体の『おもしろい』
3-(2) 原液の『おもしろい』の量増し
番組のフォーマット上、番組のMCとしての適性は3-(1),3-(2)でバリューを出せるか、であり、他のスキルは『おもしろい』の積み上げにならない。
キレのある狙撃型のMCが力を発揮する『審査員長・松本人志』では、
上田さん>若林さん、だ。
しかし、そもそも、なぜ若林さんだったのか?
若林さんの適性を活かした番組のフォーマットではない。
想像するに、まずTBS内に松本さんと番組フォーマットが企画として存在していたのだろう。
番組のチーフ・プロデューサーはTBSのダウンタウン担当の坂本さんだ。この前提は間違いないだろう。
そこでMCどうするか、となり、MCができる中堅から、新しい組み合わせであり、松本さんとの支持層が異なる若林が抜擢されたという構図だろう。
実際、ここに上田さんというのもおじさん臭い番組になってしまうので、新しいものを紹介する番組としては「ない」のだろうが、ピュアな『おもしろい』の積み上げでは、上田さんだろうと思う。
5. 若林さんは何というか?
「上田さんはホント凄いからね。頭の回転が速いし、ボキャブラリーは豊富だし、いやもうバケモンよ。でも業界のことは、びっくりするくらい知らないし、努力してる感じがしないんだよな〜どうやって磨いてんだろうな〜」
「うーん、上田さんね、そりゃ努力もしてるでしょうよ、あれだけの人ですから。読書とかさ、ほら、こないだ本も出されてたし」
「『経験』ね、読みましたよ。えなりくんと仲いいのとか知らなかったから、意外だったのと、あとやっぱり、文章ってその人の思考回路を表すって言うけど、上田さんに関してもある意味納得したというかさ。上田さんって凄いピュアなんだと思うのよ。ピュアだからボケとか違和感のあるコメントに純粋に突っ込みとして向き合えるんだと思うわ。俺とか、やっぱ色々想像しちゃうわけ、他の見方があるんだろうな、とか、もう少し泳がせてみるか、とかさ。上田さんの文章って、テレビの上田さんそのままなんだけどさ、文章の中でも素直に物事を見て、それが普通とズレてるかどうかを見ていると言うかさ。何というか、いい意味であんまり深く考えてないというかさ、純粋さを感じるんだよね」
「うーん、なるへそ。わたしなんかは単純に『浅い』と思っちゃったけどね。上田さんの本だから何か含蓄のある深いのを期待してたんだけど、意外というかさ」
「お前、まじ調子乗んなよ。俺がどんだけ気を遣って表現したと思ってんだよ。それをお前、、、ホント、一回死んだ方がいいわ。それだけ言うんだから、お前も何か書けよ、早く、むつみ荘のやつ書けや!」
「うい」
いや、上田さんはホントにテレビ・ラジオで力を発揮する人で、活字の人ではないですね。