ミツメの休止とモラトリアムの終幕

まだ私が大学生で一人暮らしをしていた頃、夏になると毎年暑さにやられ、無気力となり、頭がぼおっとしてもうすべて辞めてしまいたくなる日々が続いていた。
どこにもいけないという感覚。
あたたかい泥の中にズブズブとはまっていくような安心感と諦め。
自分が何をしているのかよくわからなかった。
でもこの感覚が自分自身のような気もしていた。

日中は何もする気が起きないので、寝て起きて、ただYouTubeを見ていた。窓の外は日差しが強く、東向きの部屋は午後になると陰っていた。
そんなときにミツメのfly me to the marsを見ていた。
今でもその時の部屋と状況をなぜか俯瞰的に思い出すことができる。
団地の公園の中でひょろひょろのミツメが歌っている。その様子を食い入るように見ていた。


9月の末ごろ、LIQUIDROOMのライブへいった。
ミツメのライブに行くのは初めてだった。
ステージのライトに照らされている姿と、団地の公園で歌っていたミツメの姿が重なった。
なんだか勝手に感慨深かった。
私が部屋でYouTubeを見ていた時から、遠いところまで来ていた。
それは私自身もそうだった。

成熟したんだろうな。完全にではないけれど、いけるところまで。
そして昔の自分も、今に確かに含まれているんだな。

その数日後、ミツメが活動を休止するとInstagramの投稿があった。

多分これから、人生は次のステージへ進んでいく、そんな気がする。

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