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4コマ小説『道』

「まさかお前に手錠を掛ける日が来るとはな」
「み、見逃してくれ」

「私情を挟むわけにはいかない。なぁ、どうしてこうなっちまんだ?あれ程野球を愛していたお前が、どうして野球賭博なんかを……」
「金が……金が必要だったんだ。妻に先立たれ、4人の子供たちを養うために金が……頼む!」

「こいつを連れていけ」
「待ってくれ!お願いだ!子供たちが――」
「子供の面倒は俺が見てやる……罪を償ってお前が出所するまではな。だから心配するな。行けっ!」

 *

「あの男、警部の同級生だったんですか?」
「そうだ。小学生の時のな」
 目を閉じる。記憶が蘇る。あの頃の記憶が鮮明に――。

「おーい磯野、野球やろうぜ」

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