ムツゴロウさんとまぼろしの大麻ムツゴールド
ムツゴロウさんが亡くなりました。ご冥福をお祈りいたします。
色々な分野で活躍された方で、小さいころからテレビで見て親しみを覚えていたのですが、自分が真っ先に頭に浮かんだのはこのエピソードでした。
チラッとTwitterでも検索したのですが実はこの大ウソを信じてる方も少数ながらいる様子。ならば故人の名誉を回復させるためにちゃんと証明していきましょう。
まずはこの「ムツゴロウさんが大麻を栽培してアムステルダムで賞をとった」というヨタ話を否定できるソースを確認していきますか。
そもそもアムステルダムで賞をとったのならば公式に記録が残っているはず。この賞とはいったい何なのか?
……まぁひとつしかないでしょう。大麻専門雑誌の『HIGH TIMES』が主催するカナビスカップですね。
この雑誌が行った品評会の記録はここで見られます。https://www.cannabiscup.com/norcal/past-winners/
日本で言うと米の品評会みたいな感じか。コシヒカリとか、つや姫がおいしいから賞をあげますよ、みたいな感じ。ここにムツゴールドがないってことはやっぱりそんなもん存在しないしムツゴロウさんは大麻を栽培していないんでしょう。
しかし「カナビスカップじゃない別の品評会で賞をとったのではないか?」猜疑心が強い人はそういう風に勘ぐるかもしれません。
では古今東西あらゆる大麻の品種が使用者によりレビューされている、大麻の食べログみたいなサイトがあるのでそこで調べてみましょう。
確かここは海外のネットコミュニティで話した大麻好きの外国人に教えてもらったはず。「Northern Lights(大麻の品種のひとつ)はマジでぐっすり眠れてサイコーにリラックスできるんだ!」と前のめりに語られた覚えがあります。
「Mutu Gold」、「Mutsu Gold」、あとは念のため「Gold」 で検索して出てきたすべての品種をチェックしたのですがムツゴールドはありませんでした。
まぁこの記事を書く前にそもそもWikipediaをチェックしたら
との記載がありましたしね。出典つきなのでソースもちゃんとしてます。『ムツゴロウの東京物語』の134-135ページに記載されているのだとか。
「Wikipediaに書かれていることなんて何も信じられねぇよ!」と僕も以前は考えていましたが、ソースが提示されている場合は信用するようになりました。
※4/14ソース元の本を購入して確認したので追記
あとは吉田豪によるムツゴロウさんの興味深いインタビューにも
と答えていますね。ムツゴロウさんは色々と人がやらないようなことはやったものの、ポリシーとして麻薬だけはやらなかったようです。
そしてこのインタビュー死ぬほど面白いので読みましょう。本当は書籍に載るはずだったのですが、内容がアレすぎてお蔵入りになったといういわくつきの代物です。もしインタビューに特級呪物があるとしたらこれがそう。
・メスのヒグマに本気でサカられた話
・ライオンに指を嚙みちぎられた時の裏話
・現地人に金を渡してすべてを解決するダークサイドのムツゴロウさん
・妻が妊娠したのに突然家を飛び出して麻雀で生計を立てる話
などなど盛りだくさんです。
というか小さいころはテレビで見て「動物好きのちょっと変わったおじさん」というタレント的な好感を抱いてたのですが、実はかなり破天荒な人物だということが分かってからは畏敬の念を抱いています。
好感度の高い部分をテレビでは切り取っているけど、実は業が深い人物ってかなり好きなんですよね。蛭子能収もそう。知れば知るほどヤバみが加速する。
まぁこういうキャラクターだから「ムツゴロウさんなら大麻を栽培しかねない。なんなら麻薬の本場アムステルダムでも賞をとるに違いない」といった幻想が独り歩きし、まるで事実であるかのように語られたのでしょう。
ムツゴロウ王国が北海道にあった話と、北海道では大麻が自生しているという話がミックスしていった感も否めない。日本で自生している大麻はハイになる成分であるTHCが非常に少ないためそういった用途で使うのは難しいけれど。
というわけで訃報を聞いた時に浮かんだ僕のムツゴロウさんに対する想いを綴ったものがnoteでの最初の記事になりました。本当は漫画や本のレビューをバンバンしたかったんだけれどね……。
まぁこういうのは習慣づけて少しずつ前進していった方がいいです。ここまで読んでくれた方ありがとうございます。
※またすごいインタビューを見つけたため追記
「阿佐田哲也に負けた記憶なし」など、本物のギャンブラー・博徒としての異様な思考が記録された名インタビューです。やっぱりムツゴロウさんはすごかったよ……。
※4/7さらに追記、打線と吉田豪がムツゴロウさんについて語ったやつ
おそらく5ch発の、麻雀エピソードのみで組まれた打線。真偽は不明だけど面白い。
麻雀以外の普通の打線もあるんだろうな、と探したらあった。エッセイとかを読み込んでいけばこういう記述があるのかもしれない。
本文中でも貼った、書籍では掲載できなかったインタビューのことを吉田豪が語ったもの。根本敬が語る蛭子能収と同じぐらい、吉田豪が語るムツゴロウさんはすごい。