創造性の泉、愛しき沼ーVol.3ー
2020.3.20
Tour JAPANESEMENU 岐阜Club-G
良き日だった。
不安や鬱憤、抑制と圧力、果ては悲しみもすべて打ち消してしまえる程の美しく大きな深い愛の日。
私達の愛の巣はけして広大無辺ではないけれど、ひとつの大きく深い愛に導かれ、各々が各々の立場や場所からその愛を理解している。そして、その愛に応えようとしている。
"正しくはないね"
ーそう、それでも私達は選択する。
それを信じているから。ー
愛を交わす時間を過ごしたTour JAPANESEMENU 岐阜Club-Gでのリズムレスライブの感想文です。
直前のアナウンス
経由地の名古屋へ向かっている時に届いたお知らせは、ライブの開催確定と通常のバンドスタイルではなくプラグレスになるというアナウンスだった。
清春さんの活動はバックにバンドを置くスタイルと、ギターとボーカルのみで行うプラグレス(リズムレス)スタイルがあって、今回は社会的状況から後者となった。
直前のお知らせであっても動じる人はいなかったように思う。清春さんのこのプラグレススタイルも長く続けたきたライブ活動のひとつであって、ファンの間で愛され、清春さん自身も最終的にはこのスタイルだけになると言うほど自信を持って届けられる表現方法だから。
手づくりのステージで愛を交わす時間
会場に入るとステージにはギターが置かれ、マイクと裸電球のついたライトスタンド、モニターが置かれていた。通常のスタンディングで600人ほどが入る広さだけど、後ろの方は余裕を持ってパーソナルスペースを取れるほどの参加人数だった。
オープニングSEが鳴り、ギターの中村佳嗣さんがステージに。そして清春さんがステージに上がると大きくなった拍手が少し長めに続いた。言葉には出さないけど、この状況でライブをどうにか開催しようとしてくれたことへの感謝とか、会えて嬉しいとかそういう気持ちを込めて拍手で迎えた。
MESSIAH
tanatos
And I can't feel nothing
影絵
ストロベリー
三日月
シャレード
YOU
ALICE
rally
LEAP
UNDER THE SUN
LAW'S
Survive of Vision
美学
飛行船
その時々の気持ちで歌詞を変化させる清春さんのスタイルは、毎回心に響いて深く残る。すべての曲の歌詞を貼り付けたいくらいだけど。今回のセットリストも、清春さんがファンと自分自身に向けたメッセージだと感じた。
ー待ち構えているだろう悲劇ー
ー願わくば これを愛して
どうか これを許してー(MESSIAH)
いつも以上に丁寧に紡がれていく言葉の一つ一つが刺さってくる。息をするのを忘れて聴き入ってしまうほど感情が込められた歌。圧倒される。"誰も踏み入れたことのない真っ暗な道を照らすような"裸電球の光を客席に向けて照らす清春さん。
先が見えない不安を払拭させ、歩むべき道はここだと導いてくれているような光だった。
迷う理由があるだろうか。清春さんについていくのは間違いではないのだといつも思う。
MCでは相変わらずの清春さんトークで、会場は笑いの渦が起きる。換気も兼ねて3曲ごとにMCすることになったと。
いろいろな事情を押して集まってくれたことへの感謝やどうしても来れなかった人たちへ「またちゃんとした状態で会おう」と思っていること、今後のツアーがどうなるか、ということまで清春さんは誤魔化すことなくファンへ伝えてくれる。そして、ファンに対する愛もまっすぐ言葉にしてくれる。
「深くて大きな愛をありがとう」
「みんなのために」
「愛してます」「宝物だと思っています」
たくさんたくさん、言葉で伝えてくれる。それが本当に嬉しくて。
ー堕ちることを君が願ったって僕はこの声できっと救ってみせるよー(飛行船)
時折マイクを離して、凄まじい声量で会場を震わせる清春さん。踏みしめる足音も表現のひとつとなって、私には生命の鼓動に感じた。
【生きている】【生きていける】
そう感じて、泣いた。
漂うクラゲ達
客席の気持ちがひとつになったアンコールの時。
拍手をコール代わりに、みんなで合わせるように自然となっていって、くすくすと笑いが起きつつ、なんて愛しい時間だろうと思った。
最終的には控えめに「アンコール」が起こったけど、飛沫感染について考えてたとMCでも言っていた清春さんの、このライブの意図を組んだ行動だった。
私達はクラゲ。清春さんのまわりでふわふわと漂い浅瀬から深海にまで住まう。(SADSのラストツアーのMCで清春さんがファンをクラゲに例えていた)
「個々」ではあるけれど、清春さんという存在に集ってその愛に応えようとするファンと清春さんとの間には強い絆と信頼と愛がある。誰も邪魔なんてできない、私達の愛の巣。
清春さんの歌も言葉も明日からの糧になる。希望に変わる。
ーThis is mylifeー
ー I love all ー(Survive of vision)
美学
子供のときに切り抜きを集めて読み漁った清春さんのインタビューに、なんてかっこいい考え方なんだと感動して憧れた。そんな人が今もなお自分に刺激や影響を与えてくれるのって、どれだけ奇跡的なんだろう。
長く離れていた時間を経て、ここに戻ってこれたことを幸せに思う。戻らざるを得なかった。衝動、変わらない本質、影響力、芸術性、美学。信じていたものが本物だったと思わせてくれた。
そして、過去に私を救ってくれた音楽で、今でも私を救ってくれている。
私も誰かを救える大きな愛を持った人になりたい。清春さんを見ているといつもそう思う。
ツアーがこれからどうなるか、日々刻一刻と状況は変わって行くけれど、私は清春さんの意思に賛同して着いていくだけだ。
ー哀れだったらこれを言うよ
僕らは誓って屈しないー(三日月)
今回、岐阜の公演を様々な覚悟を持って開催してくれたズームエンタープライズさん、岐阜Club-Gさん、スタッフのみなさん、二つ返事で参加を快諾してくれた佳嗣さん、そして、清春さん。
人生の中で、思い出すだけで幸せになれるような、深く刻まれる良い1日をありがとうございました。
ありがとうございます。言葉のチカラで誰かを癒せたらいいな。