日常にラジオを。
育児というものは、すこぶる大変である。
育休も2か月が過ぎたここへ来て何を今更という話だが、何年か経ちこのブログを読み返したとき、この大変な日々を懐かしく愛おしい思い出として振り返れるよう、いまの苦労をしっかりと書き出しておこうと思う。
少し前の話になるが、育休を取る前の私は「1か月も育児を続ければあらゆる育児タスクを自在にこなし、自分の時間を取る余裕も作れるだろう」というおめでたい誇大妄想を膨らませていた。どうしようもない阿呆である。
確かに、曲がりなりにも育児を経験した私は、ミルク、オムツ、沐浴、寝かしつけなど、ある程度のことはできるようになった。しかし、育児はそんな簡単な話ではないのだ。
ブラック企業に勤める訪問営業マンのゴリ押しセールスのごとく粘り強さで訴えてくる我が子の泣き声は、私をことごとく呼び止め、一杯の珈琲タイムすら与えてくれないことも少なくないのが実際の日常だ。
ただ「やり方を知っている」だけでは、日々に余裕を生むことなど到底無理なのである。
さて、「大変」というのも様々ある。何がどれだけ大変に感じるかというのは、子の特性や親の性格などによってもきっと色々違うのだろう。
最近の私の「大変」は、我が子のご機嫌がすぐ悪くなることだ。
抱っこをしているときは天使の微笑みでこちらを油断させておきながら、ベッドに下ろし1人になると、ものの3分でぐずぐずのスーパーかまって抱っこちゃんに大変身だ。
まだ首のすわっていない我が子は両手で抱っこせねばならず、そうなると両手を塞がれた親は何もできず、全自動赤ん坊抱っこマシーンと化すしかないのである。
何もできない時間が続くと、私は結構精神的にきついタイプだ。抱っこをしている間、せめて何かしながら子をあやしたい。私は、何か良い方法がないか模索してみた。
まず、読書である。言わずもがな、暇つぶしの代表格だ。
だがこれはすぐにだめだとわかった。当然のことだが、本を読み進めるためには手でページをめくるという動作が必要になる。我が子が泣くたびに本を置き、抱っこをしに行かねばならない。これでは一冊読み終わる前に次のオリンピックを迎えることになってしまうではないか。却下!
次に、映画やドラマなどの動画鑑賞である。
幸い、我が家はアマゾンプライムとネットフリックスに加入していたため、映画もドラマも見放題だ。早速面白そうな動画を選択し、再生スタート!さあ、いつでも泣くがよい!と思ったのも束の間、すぐに深刻な問題に直面した。
私は「流し見」というものが苦手だったのだ。ストーリーやセリフ、登場人物の表情など細かいところまで見逃したくないし、後に回収される伏線がどこかに張られていないかなど、とにかく色々気になる質なのだ。
読書に比べ両手をフリーにできる点はよかったが、映画やドラマは集中してその世界に没入したい私にとって、育児をしながらの動画鑑賞は相性が悪かった。
もし鑑賞していた動画の佳境で何度も一時停止を余儀なくされようものなら私は怒り狂い、メロスよりも激怒した人間として有名になった挙げ句、小説の冒頭が自分の名前に書き換わってしまうだろう。却下!
さてどうしたものか。良い方法が見つからないまま業を煮やす日々だったが、ある日、ふと何の気なしにラジオをつけてみた。
・・・これだ。
私が求めていた最高のコンテンツはラジオの中にあったのだ。
両手が塞がっていても、我が子を抱きながら家中をウロウロしていても、耳さえあれば楽しめるラジオは育児のお供に最適だ。
そして特筆すべきは(番組にもよるが)、内容のとりとめのなさである。私が聴いているラジオは深夜ラジオが多いため、特に地上波にはないとりとめのない話がパーソナリティのリアルな口調でお届けされる。このゆるさが、育児をしながらには丁度良いのだ。
ラジオはもともと非常に興味があったのだが、聴き出せば沼にハマるのもわかっていたため、これまで本格的な一歩を踏み出せずにいた。
だが、育児をきっかけについに扉を開けてしまった。
きっと私は一生ラジオの魅力に取り憑かれて生きていくのだろう。こんなことをブログに堂々と書いてしまうあたり、どれだけ私がラジオに心酔しているかお分かりいただけるだろう。
さて最近は、オードリーのオールナイトニッポン(以下ANN)をよく聴いている。
これはもう神がかっている。中高6年間男子校で過ごしたオードリーのふたりが、当時のノリのまま、解き放たれたように自由に会話している感じが最高なのだ。
先日、家に客人を招いた際にもオードリーのANNを部屋で聴いていたのだが、地上波では確実にピーが入るであろうド直球すぎる下ネタが大音量で流れ、多分本当に2秒くらい時間が止まったと思う。勘弁してちょ〜よ〜、である。
来年の2月18日には「オードリーのANNイン東京ドーム」というイベントがある。是非とも生オードリーを東京ドームで拝みたいものだ。
先日の最速先行チケットに落選してしまった私は、次の二次先行に全ての望みをかけているため、毎日合掌している。(どうか当選しますように…)
育児の片手間に楽しめるものとして見つけたラジオだが、いまでは育児以外の時間でもラジオを聴くようになり、すっかりラジオリスナーだ。
これからも、ラジオのゆるくて深い面白さに耳を澄ましながら、親と子ともに良い時間を過ごしていきたいと思う。
日常にラジオを。