ジャズの老舗、ミスターケリーズでの物語
大阪の梅田にある「Mister Kelly’s」というジャズの演奏を聴ける素敵なお店が、2023/7月末で閉店となりました。
大阪に住んでいた時に、とてもお世話になった場所、思い出のある場所です。
当時のエピソードを小節風にしてみました。
数分で読めますので、ゆっくりどうぞ!
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ミスターケリーズ物語
ヨシは喫茶ペネロープで働きながらジャズピアノを学んでいる。
極貧の生活だが、彼にとっての至福の瞬間は「ミスターケリーズ」で極上のジャズを聴くことだった。
ある夜、大好きなミュージシャンの演奏があるとの情報を得て、久しぶりに「ミスターケリーズ」に足を運ぶことにした。
店内はほぼ満員で、ヨシは2人テーブルで相席をお願いされた。特に問題はなく、お店の提案に従うことにした。
相席した男性はスーツを着たサラリーマンのようだった。
男性はヨシに向かってニコリと微笑みながら質問した。
「よく来られるのですか?」
ヨシは笑顔で答えた。
「はい、実はここが大好きで、時々訪れるんですよ。特に今日は大好きなミュージシャンが演奏すると聞いて、久しぶりに来てみました。」
男性は興味津々の表情を浮かべて続けた。
「私も時々来るんです。あ、良かったらこれ飲んで下さい」
そう言って、男性はキープしているハーパーのボトルで、水割りを作ってくれた。
二人は時折談笑しながら、ミュージシャンたちの演奏を楽しんでいた。
ミュージシャンたちの演奏は、とても素晴らしかった。ヨシも男性も、心が躍り、魂が揺さぶられるような音楽に身を委ねた。
セカンドセットが始まる前、男性は
「用事があるのでこれで。好きなだけ飲んで下さいね。」
と言いながら、お店を後にした。
彼はテーブルにハーパーのボトルを置いたままにしていった。
ヨシは、ほろ酔いのまま、極上のジャズを最後まで聴き続けた。
ヨシにとって、その夜は極貧の生活の中での勿体ないほどの極上で、少し心が温まる夜だった。
ハーパーのボトルを見る度に、ケリーズでの最高の瞬間を思い出す。
数年後、ケリーズが閉店するのを聞き、ヨシはこの時の思い出を、曲にする事を決めた。
曲を弾く度に、お店を思い出せるように。
あの時のハーパーの味と香りを感じられるように。
〈終わり〉
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また、曲が出来たらアップします。
島さんに吹いて貰いたいなと。
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