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最新シングル「Where will we go?」の物語

広島・岡山を中心に活動するピアノトリオAlter Egoの最新シングル「Where will we go?」が、Playwrightレーベルより配信リリースされました(2023/7/5)。

そこで、作品が作られた背景について、小説風に物語にしてみました。

読んだ後に、曲を聴くと、また違った感じに聴こえると思います。(最後に配信リンク貼っております。)

短い話ですので、読んで頂けると嬉しいです。

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「where will we go?」

2011年3月。
震災の後の瀬戸内の島にて。

ヨシは、1年前に仕事を辞め、東京の学校へ行く準備をして、まさに東京へ行く直前だった。

一本のメールが届く。

とても信頼している方からだった。その人は、九州の原発で働いていた方だった。


内容は「今は東京は行かない方がいい」。


ヨシは、時間があったので、出来る限り調べてみた。正直なところ、よく分からない。

色々な意見、論文がある。
多分、殆どの人も、分からなかったはずである。

誰もこんな経験した事がなかったからだ。



ヨシは、誰も来ないであろう、秘密の浜辺に行った。

秘密の浜辺



白い砂浜に、そのまま座りこみ、海を見つめた。波の音と、時々通る船の音しか聞こえなかった。


ヨシは「どうしたらいいのだろう」と、何度も何度も自問した。

まだ昼を過ぎたばかりで、時間はいくらでもあった。


何時間も海を見続けた。
変化し続ける波を、ただ見つめた。




すると、「あ、自分は波なんだ」と腑に落ちる瞬間があった。

自分の意思で動いている様で、
実は「何か・誰かに押されているんだ」

そして「自分自身も何か・誰かを押してるんだ」


そう思ったら、少しだけ楽になった。



ヨシは、東京へ行くのを止めた。


理由は(後付けかもしれないが)、

よく分からないなら
「信頼する人(波)に押されてみよう」
というもの。


そして、
「これで自分の人生設計は変わったな」
と思った瞬間に

東北の地で、
とてつもなく多くの人の人生設計、将来が、
一瞬にして変わったんだ…


そう思うと、頭の中が真っ白になり
ただ波の音だけが聞こえた。



もう、空は暗くなっていた。


「Where will we go?」
(私達はどこへ行くのだろう)。

大人になっても、この問いは繰り返される。


そんな時、この時の「波の音」を思い出す。

そして、この時に作った「曲」を弾いてみる。

〈終〉


Alter Egoの最新シングル(2023/7/5リリース)「Where will we go?」の背景について書いてみました。

この時、そのまま東京へ行っていたら、そもそもAlter Egoは結成されていませんでした。(この曲をリリースする事も当然なかったでしょう)


今、どんな波にのって
どこへ向かうのか?



楽曲を聴きながら、
物思いにふけてみて頂けると嬉しいです。

終わり

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