モニター環境をMANLEY ML10にアップグレードした件
モニター環境をTANNOY Super Gold Monitor(通称SGM 10B、2558Rドライバー)から、MANLEYが販売しているキャビネット/クロスオーバーのセット「
ML10」にアップグレードしました。
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TANNOYの2558RユニットをMANLEYのクロスオーバー付きキャビネットに移植しただけ。
だけなんですが、音は激変しました。
今までレンジが広いと思っていたSGM 10Bは「こぢんまりとした音が鳴っていたんだなあ…」と感じてしまうほどに表現力が爆増し、
SGMを使っていた時に感じていた中域の余計な歪みは解消されました。
定位感も増し、明らかにローエンドの表現力が増しました。
ローが綺麗ってあんまり使わない表現ですが、ML10に限ってはローが綺麗という言葉が正しい気がします。
ローが綺麗ってことはハイも綺麗なんですけど…でもローが綺麗。
キャビネットのサイズが2回りくらいSGMより大きい影響なのかもしれません。
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あと、このキャビネットめっちゃ硬くて重い。
正面からだとわかりにくいですが、厚みもSGM 10Bより分厚くなっていました。
取り付けは
2558Rドライバーの場合、六角穴ネジを取ってドライバーを抜き取りカプラーを外し、ML10にそのままカプラーオンして同じようにユニットを六角穴ネジで閉めて取り付けするだけでした。
(SRMの2558ドライバーはカプラーオンできるのかは知りません。一緒な気がするけど)
この時面倒なことに、取り付けネジが2個だけ付属しておらず(しかもインチネジ)、名古屋市中のネジ専門店を回って全く同じネジを購入しなければならないというクソめんどくさいことが起きましたが、無事見つけて取り付けできたので満足しています。
ほんまにアメリカ人はよぉ〜〜〜〜
話は戻ってサウンドの傾向ですが、
どちらかというとローがふくよかなアメリカ西海岸サウンドを踏襲しているようなサウンドだと思います。
MANLEYがカリフォルニアのメーカーなので当然と言えば当然ですが。
でも嫌なふくよかさではありません。語彙が足りないので例に挙げるとボン・ジョヴィやドートリーなどの楽曲を手掛けているマイク・プロトニコフ氏のような音…わかりにくいか。
一番わかりやすいのは渡辺敏弘さんのサウンドです。
僕が大好きなエンジニアさんですが、そこはそんなには深掘りはしません。
その渡辺敏弘さんが使っているのがこのML10です。
先輩を通じて脈々と受け継がれてきた系譜でもあるのですが、学生時代に聴いていた曲たちの多数をトシさんが手がけていたことを後で知り、「遺伝子レベルでこの人のファンなのかも知れねえな…(BLジャナイヨ)」と思うこともあったりと、非常に尊敬しているエンジニアさんです。
この人が使ってるから欲しい、というのも今の時代非常に大事な感性なんじゃないかなと個人的に感じています。
(トシさんが使ってるもので、僕も欲しい機材あと10個くらいある)
正直ML10にアップグレードするまで「同じドライバーだし違いわからなかったらどうしよ〜」くらいに思っていましたが、アップグレードという言葉が相応しいと言える程度には全ての意味で上位互換だなと感じています。
実は僕はKSDなどのクリアなスピーカーが結構苦手なのですが、
その理由は基準をどこに置いたらいいのかわからなくなるというところで(リファレンスとかそういう話ではなく、自分のミックスをする上での感覚の話)、
初めて先輩のスタジオでSGM 10Bを試聴した際にこのスピーカー相性いいかも。と直感的に感じて、直後にヤフオクで出品された状態の良かったSGM 10Bをバトルして購入しました。
多分あれヤフオクSGM史上最も高い価格に近い金額だったんじゃないかな。23万弱くらい。
使い始めて2年くらいでようやく「自分はモニターの歪みを基準にミックスをしているんだな。」と自覚が芽生え始め、いろいろ聞きましたがやっぱりML10が僕の目指すところだな…と思い、結構無理して買いました。
結構無理しました。いやマジで。
本体の代金が604,672円(カードの手数料を入れてレートが159円ちょっとでした。その時の為替レートは154円くらいなので、大体5円は手数料が乗るイメージ)
ここに輸入時の消費税が44,600円請求されまして、総額ほぼ65万円で海を渡ってこのスタジオまで届きました。
言われた時に買っていれば40万くらいだったはずなんですけどね…
でも、2023年から外観にアップデートが入ったようでイタリア製のメラニン素材でコーティングした…みたいな見た目のアップデートが入ったので、それに25万か〜と思いながらも今は納得しています。
お金はすっからかんだけど。
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音の話に戻りますが、TEAC AI-503で今までSGM 10Bを鳴らしていたんですが、最近はApogee→coaxialケーブルでTEACに接続→TEACでDA、そしてSGM 10Bという流れの中のTEACのDAの音が気になり始めていて、
これを機にパワーアンプを買ってApogeeのDAで作業しよう、と思い立ち
YAMAHA PC2002を購入しました。
これも系譜の一つです。
TEACはD級アンプなのでやっぱりローの押し引きはいいんですが、やっぱりハイが妙に歪んでいるように聞こえてしまって、環境の限界を感じていました。
その点、PC2002はA級。
しかもかなり昔のアンプ。TEACに勝てなかったら戻すか〜と思っていましたが、さすがにYAMAHAが勝ちました。
A級なのでローの押し引きは少しだけ劣る気がしましたがハイがとても綺麗でローは逆にタイトに聞こえて、むしろD級並みに制動力があるように感じました。
僕はA級の方が好きかも。
モニター用の業務機アンプって少ない上に高いんですよね。パッシブの弊害。
いつかはアンプも更新したいけど、今はマイクやら買わなきゃいけないものも多いのでとりあえずML10に慣れて精度を上げていこうかなと思っています。
あ、バイアンプ接続もいつか試してみたい。