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今日、どこかの教室で #2
昨日から始まった休校。定期テストがなくなって歓喜している学生もたくさんいるようですが、そうはいかない人もいるようかもしれません・・・。
学生は登校しませんが、僕は平日は毎日投稿していくつもりです。
#1はコチラ !!
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3月3日 ☆■%高校・2年A組
生徒・蓮見奈緒(17)と先生・東条香織(27)の場合
奈緒「えーもうなんでウチだけ補習?」
香織「しょうがないじゃない。このままの成績だと留年なんだから」
奈緒「でもさ、安倍ソーリが休めっていってるんじゃないの?」
香織「あれはあくまで要請だから、別にまじめに従わなくたっていいのよ。一人くらい登校させても感染は拡大しないだろうってことで、蓮見さんだけ特例」
奈緒「いやいや、そこは特例で進級だったでしょ。一人くらいってことは成績ヤバいのウチだけ?」
香織「そう」
奈緒「薄々勘づいてはいたけど、ショック・・・」
香織「黙って問題解いて」
奈緒「ちぇっ」
香織「・・・」
奈緒「もうなんで勉強なんてしなきゃいけないのー」
香織「はぁ」
奈緒「先生って勉強好きでしょ?そういう人にはわかんないよ。あたしみたいなバカの気持ち」
香織「大事よ、勉強。特にこういうときだからこそ」
奈緒「こういう時?」
香織「得体のしれないものが出てきて、命が危険にさらされるかもしれないって状況で、嘘か本当かわからない情報であふれる世の中で、自分を助けることができるのは、自分で調べて、知ってることでかみ砕いて考えて行動すること。ちゃんと勉強してないとできないことだと思うわ」
奈緒「うーん。じゃあ検索の仕方とかだけ教えてくれればいいじゃん」
香織「そういうわけにはいかない。全部の科目に大事なこと詰まってるから」
奈緒「全部かぁ。英語ならわかる。海外のニュースとか記事読めたら世界広がるもんね」
香織「そうね。英語はそこそこみたいね」
奈緒「ウチ、ビリーアイリッシュみたいになりたくて、動画いっぱいみてるから」
香織「そうなの・・・頑張って」
奈緒「他はビミョーじゃない。例えば?国語だったら、文章からちゃんと正しい情報読み取れるようにとか?」
香織「それはもちろんだし、みんながいろんな意見をぶつける中で、この人がこういうのはどういうバックボーンがあるのか、思想の源流はどこにあるのかわかるとその人の言いたいことが鮮明に見えてくると思う」
奈緒「シソウノゲンリュウ?」
香織「あぁ・・・どういう本を読んだのか、育ったのがどういう環境なのかとか、そういうことかな」
奈緒「へぇ。じゃあ数学は?」
香織「知っていることの中から物事を筋道たてて考える力。『AならばBである』って言ってるのに、『CはBじゃないのか』って怒ってる人見ると、この人数学できないんだろうなぁってイライラするでしょ」
奈緒「うーん。たとえの方がよくわかんなかった」
香織「ごめんなさい。前半わかれば大丈夫」
奈緒「理科は?」
香織「今度は逆に、起きたことを知ってることに照らし合わせていきながら、新しいルールを見つけていく力かな。今回のウイルスの話だと、こういう状況で感染がおこってるから、このウイルスはこういう性質だろうって正体突き止めていくのを、今詳しい人が頑張ってるところなのよ」
奈緒「詳しい人が頑張ってるんだったら、お任せで良くない?」
香織「基本的な考え方わかってないと、どれだけかみ砕いてもらっても理解できないものよ」
奈緒「確かにそうかも。。。ニュースでしゃべってる白髪の人の言ってることイミフだもん」
香織「でしょ?ニュースはちゃんと見るのね、偉いわ」
奈緒「いや、水ダウ見た後つけっぱなしにしてるといつの間にか始まってるから」
香織「そう・・・」
奈緒「あとは・・・社会!」
香織「社会っていっても広いけど、自分を助けてくれる社会の仕組みの基本とか、歴史上で同じことが起こった時どうしてたのかとかいろいろ」
奈緒「結局知識じゃん」
香織「言葉とかものごとを種類つけて分けるっていうことが出来ているかどうかで、身につけられる知識の量が違ってくるわ」
奈緒「へぇ。確かに。大事そうな気がしてきた」
香織「ならよかった」
奈緒「今まであんまり話してこなかったけど、今度から色んなこと教えてよ。香織ちゃん」
香織「香織ちゃんって・・・」
奈緒「なんか嬉しそうじゃない?」
香織「そんなことない!ちゃんと先生つけて」
奈緒「あはは。お堅いイメージしかなかったけど、こうしてみると話しやすいんだね、香織先生」
香織「そ、そう」
奈緒「じゃあいろいろ聞きたいんだけど、手始めに・・・保健とかも詳しい?香織先生」
香織「ほ、保健!?・・・まぁ勉強なら・・・」
奈緒「先生今エロいこと考えたっしょ」
香織「そ、そんなことないって!」
チャイム『キーンコーンカーンコーン』
奈緒「よしっ、補習終了~♪」
香織「あっ!!」
奈緒「いろいろ教えてくれてありがとう、香織ちゃん。じゃあね」
香織「・・・はぁ」
ー了ー